【資料】伝書鳩もとい伝書カラスの生態と使用法
『7番目のシャルル、狂った王国にうまれて【少年期編】』を完結設定にしてから2年余り。ご無沙汰しています。
即位後のエピソードは、『7番目のシャルル、聖女と亡霊の声【青年期編】』で連載中ですが(https://kakuyomu.jp/works/16816927859769740766)、訳あって久しぶりにこちらに投稿します。
いつだったかの仕様変更で、カクヨムでは50万文字から「大長編」として条件検索できるようになりました。少年期編がちょうど49万文字だったので、未公開の参考資料やスピンオフなどをいくつか追加したら、大長編50万文字の大台に乗れそうじゃないですか……! もうちょっとさ、頑張ってみようよ!!
というわけで、今回は【参考資料】編です。
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本作『7番目のシャルル』シリーズでたびたび登場する伝書鳩もとい伝書カラスの使者コルネイユは、実在する「伝書鳩の使用法」と「レイブン(Raven)とクロウ(Crow)の違い」を掛け合わせた創作です。
このページでは本作の参考にした資料の一部を紹介します。
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伝書鳩の使用法
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参考資料:『ニュースマンズ・ハンドブック』(1949年、共同通信社)
伝書鳩を利用して連絡輸送をする場合、ハトの飛べる距離に限界があることを考えなければならない。共同通信社のハトの場合は、大体百五十キロ程度が最高距離であるが、二百キロから二百五十キロの通信もできないことはない。東京を中心にすると、沼津、軽井沢、水上、日光、宇都宮、水戸、銚子、館山などの地点が百キロ内外である。
ハトの取り扱いについては、ハトは驚きやすく馴れやすい鳥であるから、持ち運びや取り扱いには静かに取り扱うことが大切である。
鉄道または携行して目的地に着いたならば、ハトはなるべく静かなところで休ませるとともに、水を与えなければならない。水は常時与えておくことが必要で、至急使用するときでも水を与えることを忘れてはならない。
原稿をハトにつけるときは、左手の人差し指と中指でハトの足をはさみ、親指を背中にまわしてつかみ、ハトの頭部が自分の方に向かっているようにする。この場合、ハトは多少あばれるが、右手をハトの左背にあてると逃げられるようなことはない。ハトを左手で持ち、自分の胸にハトの胸をかるくあてると、ハトは動けないから右手で容易に信書管をつけることができる。原稿はかならず同一文を二羽以上のハトに託さなければならない。
写真筒の場合は、ハトの背中につけるが、一本のゴムを首から胸に深くかけて、小翼で少し引いてもずれてこないようにする。残りのゴムは尾羽をまわして「人間の腰」のところでとめると写真筒はハトの背中に密着する。この場合、注意することは、胸にかけたゴムがハトの首と肩の骨の間にかかっているよう、なお、背中の写真筒がハトの中心部についているかどうかをよく注意することで、この際ハトの羽根を傷めないようにしなければならない。
ハトを放つときは、必ず二羽以上の集団でなるべく障害物を避けたところから放すようにする。なお、濃霧や風速二十メートル以上の逆風、雨天、降雪の場合は放すことを中止しなければならない。
ハトの速力は一定しにくいが、平均時速五十から六十キロとすれば大差なく、優秀なハトは時速七十から八十キロを飛ぶことができる。
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レイブン(Raven)とクロウ(Crow)の違い
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参考資料: 日本鳥学会誌57(1): 11–19『北海道東部地域におけるワタリガラスの越冬状況』(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjo/57/1/57_1_11/_pdf)
カラス属の鳥は、その体の大きさによって呼び名が変わる。英語圏ではカラス属のうち、大型の種が「レイブン」、小型の種が「クロウ」として区別される。
日本に生息するクロウは、ハシブトガラスとハシボソガラスの二種。両者は私たちが日常的に「カラス」と呼ぶ鳥の代表格だ。
英語ではハシブトガラスを「Jungle Crow」、ハシボソガラスを「Carrion Crow」と呼ぶ。一方、日本でみられるレイブンは「Common Raven」ことワタリガラスのみ。
クロウとレイブンは生態が異なる。クロウが都市部に生息する「留鳥」であるのに対し、レイブンは冬に飛来する「渡り鳥」で海辺を好む。
・計画を立てる『レイブン』
カラス科の鳥は全般に、先を見越してエサを貯めこむための計画能力に長けている。なかでもレイブンこと、ワタリガラスの計画性は類人猿顔負け。さまざまな実験で、かれらの知性の高さが実証されている。たとえばワタリガラスは、より多くのエサを得るために、目先のエサを我慢するという高度な自制心を持っている。さらにかれらは、訓練を受けることで「物々交換」を覚える。
カラスの飛行速度は時速60キロ。移動距離は巣を中心に20〜30キロ。
ワタリガラスの飛行距離は最長で60キロ、海岸まで21〜40キロの距離が全確認回数中の83%(78回)を占めた。
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