第21話 集合

 遺跡を抜けると、森に出た。


 正規の攻略ルートに使う入り口だ。


 トレント・バーサーカーと戦っていた場所から離れてはいるが、同じ森だったはず。


 頭上に木々が生い茂っていない場所を探すと、頭上に炎の魔法を打ち上げた。


 音を出すとモンスターが寄ってきてしまうので、炎だけ。


 これで気づいてくれればいいが……


 と、心配していたが、あっさりと目的の人物たちは現れた。


「ミツキ、マイア!?」


「無事っ!?」


 ルナとリーゼがすぐに来てくれた。


 あのあと、2人はうまく合流できたようだ。


 リーゼは赤毛がちょっと燃えている。


 きっとトレント・バーサーカーを倒すときに放った魔法で焦げたのだろう。


 それを直す時間も惜しんで探してくれていたようだ。


「心配かけたな。なんとか出口を見つけられたんだ」


「まったくよ! 遠くに投げとばされたから急いで戻ってきてみれば、ルナが大穴の前でオロオロして泣きそうになってるんだもの!」


「焦ってはいたけど、泣きそうになってはいないわ」


「えー! 本当?」


「本当よ!」


「ああ……ふたりとも、心配してくれてありがとう。けど、ちょっと静かに……」


 俺は2人に背負っているマイアを見せた。


「え、マイアが……?」


「うそ……この子、のほほんとしてるくせに、勘だけはモンスター並みに鋭いのよ。誰かの前で寝るなんて、今までなかったのに……」


 ルナとリーゼが声を潜めながら、話し合っていた。


「ともかく、俺はこの通り手が離せないから、町まで護衛を頼むよ」


「わかりました」


「ミツキもびっくりするくらい、華麗に護衛してあげるわ」


 こうして、俺はマイアを背負ったまま、ルナとリーゼと共に王都へ戻ることができた。

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