前世は兄、今世はお嬢様、第一王子が前世で弟って嘘でしょう

冬猫

第1話シェリル令嬢

私はいつも同じ夢を見る……

シャカシャカ…ジュ~ッ……トントン、カタッ!

『よし、出来た!お~い、○○○出来たぞ』

『やった!○○ちゃん、俺だけ全部良い?』

『ああっ、お前用に作ったんだ良いよ』

『やっーた!○○○○○~す』

『……』

『…』

チュンチュン……カーテンの隙間から朝日が射し込み私は目が覚める…夢の中ではとても楽しく、その場所から離れたく無いといつも思ってしまう。

コンコン!

「お早う御座います。シェリルお嬢様、お目覚めですか?」

「お早う、アニー今日もとっても良い気分よ」

「また、良い夢を見たのですか?どんな夢なのです?」

メイドのアニーは、シェリル嬢がベッドから出た後シーツを外し夢の事を聞いた時、シェリル嬢が「ん~」と暫く考えていた。

「忘れちゃったわ…さっきまで覚えて居たのに」

「夢は忘れますのが普通ですよ、シェリルお嬢様」

「まぁ、いいわ、また見れば良い事だもの」

シェリル嬢は化粧台へと身体を向き、背中まで伸ばされた長い銀色の髪の毛をメイドのアニーが髪をとかしていた。

「いつも綺麗な髪の毛ですわシェリルお嬢様」

「ええ~っ、髪の毛だけ?」

クスクスと二人は笑い、シェリル嬢は学園の制服を着終えると自分の部屋を出、家族が集まる食事の部屋へと足を向けていた。

「おはよう、シェリル!」

後ろから声を掛ける男性の声に気が付いたシェリル嬢は、歩く足を止めくるっと後ろを振り向き、自分よりも身長が高い男性を見上げていた。

「カインお兄様!」

笑顔を見せるシェリル嬢は小走りで兄であるカインの側に駆け寄った。

「お早う御座います、カインお兄様今日も素敵ですわ」

「クスッ、有り難うシェリー今日も綺麗な髪だね」

「もうっ、お兄様までアニーと一緒に私の髪の毛だけを褒めるんですもの」

「ふふっ、シェリーは可愛いから男子が寄って来るのが心配だよ、学園へは行かせたく無いな」

「お兄様ったら、そう言うお兄様もアメリー様と仲が良くてよ、図書室で一緒に居ます所を見ましたわ」

「シェリー図書室に居たのかい?声を掛けてくれたら良いのに」

「……お邪魔してはいけない雰囲気でしたわ」

「?」

(お兄様がアメリー様に勉強を教えて居ます姿を見ましたが、アメリー様は教科書を見ずにお兄様の顔を頬を染めて見ていましたので声掛けが出来なかったのですわ…お兄様は知らない様子でしたけど)

「あっ、お兄様、明日お兄様と一緒にお茶をしたいのですが」

「ごめん、明日は駄目なんだ……」

「そうですか…最近私が誘っても断ってばかりです…アメリー様と約束でも?」

「彼女は関係無いよ、アルフレッド王子の誘いで断れ無いんだ」

「アルフレッド様?!お兄様とアルフレッド様は親しかったのですか?」

「…最近彼が誘い始めたんだよ、それまでは何も誘われる事は無かったけど……私が女子に追われていた時に廊下で彼と会い助けて貰った日から時々会う事に成ったんだ」

大好きな兄を取られた様な気分でシェリル嬢はアルフレッド王子に嫉妬していた。





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