空想殺人
ゆめのみち
第1話 悲しかったから
私が殺した理由?
悲しかったから。
それももう何に悲しいのか分からないくらい、体に痛みを感じた。でもこうやって言葉にしてるけど、不思議よね。だって、言葉にできないもの。これだけじゃ足りないくらい。
だからと言って、自分が悲しいからと言って他の人の傷を理解できる訳じゃない。
小学校の頃、学校終わりの校庭で友達と遊んで時間が来ると更に鬼ごっこしながら帰って公園で門限まで遊ぶ。もしくは一度家に戻って野球道具やサッカーボールを持って行って遊んだりする。そうして家へ帰る。
たったその工程の中にどこにでも悲しみなどはやってくる。私はそういうタイプの人間だ。だけど、同じ、もしくは似た人の気持を理解できるとは限らない。その人がボロ泣きしても家に帰りたくないと言っても自分より深いものだったり微妙に違うからどう理解したらいいか分からないのだ。
だから殺した。
悲しいから殺した。
最初は、そうだね、小学生の頃。何年生だったかな。高学年の頃。
いつも仲良くしてる友達と学校でギリギリまで遊んで、さらに家に帰って待ち合わせをして公園で6時まで更に遊んだ。
ばいばい、また明日ね、とその子は走っていった。少し暗くなった空を見る。あぁ、1人なんだな。どんなけ仲良くても、たとえ夫婦になったとしても実際の所は1人だ。だって、こんなに助けを求めても、子供の嘘だって言われてずっとそのままなんだもの。
そうして公園で、この心のやるせない感情をなんとか明日の為に希望を作っていた所に、1人の女の子がやってきた。
その子は、1人で暇なんだという。どうやら私より小さいから、家に帰らないとだめだよ、と言ったら、毎日家には誰も居ないからいいんだと言った。なんだか理由が似ていたから遊びに誘った。ちょうど持ってきていた、子供用の柔らかいテニスボールと同じ見た目をしたボールを持っていたのでキャッチボールをした。それじゃすぐ飽きたので、その小さなボールでサッカーをした。暗くもなってきて見えにくくなったから、余計に難易度が上がって盛り上がった。
何時頃だろうか。そこの公園には時計がないから分からない。ただ、完全に暗くて街頭がついていた。
その子はそろそろお腹が空いたから帰ると言ったのだ。
その時、夢が崩れた。
ふと現実に戻って、また1人なんだと感じた。それがまたなんとも世界が広く見えて。
歩いているその子を、カバンに持っていたロープで首を締めた。
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