第6話 友(3)

『特訓を始めようか』

 

『はい!』

 僕とレイは今クルスさんのもとで特訓をしてもらっている。


『まず2人ともの適正を調べる。ちょっと待っていてくれ。』

『わかりました。』


 そういうとクルスさんは城の方へと走っていった。

 僕たちはクルスさんが帰ってくるのを待っていた。

 15分くらい経ったとき、戻ってきた。そして、とてもでかい石を持っていた。


『それはなんですか?』

『あー、待たせてごめんな。これは魔法の適正をはかる装置?石?まぁそんな感じのやつだ。火なら赤に、水なら青に、風なら緑に光る。そんな感じだ。2人ともかざしてみろ。』

『わかりました。』


 そういい、石に手をかざした。すると石は緑に光った。

 緑ということは…、風か!クルスさんと同じだ!


『俺と同じ風か。だから水魔法が撃てなかったのか。それはしょうがないな。じゃあレイもかざしてみろ。』

『あ、はい!』

 

 クルスさん、先生になりきってるな。

 レイはやっぱり水魔法が適正なんだろうな。

 そして、レイが石に手をかざすと、青に光った。

 やっぱり水だったか。


『レイは水、レオンは風だな。それじゃあまず魔力を扱う練習をするぞ。後、レオン、お前は【魔力視気眼能力】があるからそれも同時に鍛えるぞ。』

『はい!わかりました。』


 僕は『わかりました』と言ったがレイはなにも言わない。

 レイを見てみるとこっちを向き驚いた表情をしていた。

 どうしたんだ?レイ。なにをそんなに驚いているんだ。

 後ろを見た。何も無い。

 上を見た。何も無い。

 本当に何に驚いているんだ。


『レイ、なににそんなに驚いてんの?』

『だぅ、だぅ、だっ、だだだっだ、だって、て、』

『え?』

『お前、まさか【魔力視気眼能力】を持っているのか!?』


 ここでようやく理解した。

 そうだった。

 【魔力視気眼能力】は1億人に1人くらいの確率の能力だった。

 だからそんなに驚いてんのか。

 無理はない。

 僕もその話しを最初に聞いたとき驚いたから。

 まさか、元奴隷だった僕にこんな能力があったなんて知らなかったから。


『【魔力視気眼能力】って1億人に1人、1万年に生まれてくるか来ないかだぞ。それをまさか。レオンが!?』


 1万年に1人!?

 1億人に1人ってのは知ってたけど、1万年に1人だなんて。


『あぁ。レオンはその能力を持っている。俺も王(クール=マルセイユ)から聞いたときめちゃくちゃ驚いた。そんなの本の中の作り話かと思ってたからな。』


 クルスさんが話しに割って入るのようにして喋った。


『すげーな。レオン。お前マジでやべーよ。』

『うん。ありがとう。でもそれって魔力が見れるだけだからそんなに使えるわけじゃないんじゃないの?』

『レオン。それは違うよ。』


 クルスさんが説明を始めた。


『【魔力視気眼能力】には5段階存在する。1段階目は『魔力を見ることができる』、

 2段階目は『遠くの魔力を感知することができる』。しかしこの2つは【魔力視気眼能力】を持ってなくても鍛えれば誰でも出来る。しかし3段階目からは話が変わる。

 3段階目は『魔力を宿らせることができる』。他のものに自分の魔力を人あげるようになるんだ。俺らでも物に移すことはできるが、人には移すことができない。しかし、あげると数秒間うごけなくなるらしいぞ。

 4段階目は『魔力を吸収することができる』。触ったものの魔力を吸収することができるようになるんだ。触るという弱点はあるものの、数秒間触ることが出来たら相手の魔力はなくなるらしいぞ。

 最後。5段階目は『魔力を自由自在に操れる』。自分の近くにある魔力を自由自在に操ることができるようになるんだ。ここまで来るとほぼ最強といってもいい。』


 クルスさんは丁寧に説明してくれた。

 5段階か。僕はまだ1段階目にも届いていないのか。

 というより、なんでそんなことをクルスさんが知ってるんだ?


『どこでクルスさんはそんなことを知ったんですか?』

『これはな。【魔力視気本】という本で読んだしったんだ。本から知った情報だから本当かはわかんない。でもただ一つ言えることは、この能力は『最強』であるということだな。』


 最強。

 僕は決めた。

 この能力を使いこなす。と。

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