少年期編

第4話 友(1)

第四話 友(1)

『俺の友達をお前が殺したのか?許さない。よくも。よくも。お前は絶対に殺す。』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『お母さん、行ってきます!』

 

 その言葉とともに僕は首都マルセイユにでた。


 昨日、あのでっかい城で、この街の王『クール=マルセイユ』様と会ったのだ。

 そして、一年後に学院に入学をすることになった。

 一年間は自由に過ごしていいと言われたので、家、最低限の資金と共にこの街で住まわせてもらった。

 家は結構豪華だ。


 そういえば、僕はこの街をしっかりと見たことがない。

 そういえばこのマルセイユでは、『町』ではなく『街』と言う言葉を使うらしい。

 この街に来る時、クルスさんから教えてもらった。

 なぜかと言うと、街の方がかっこいいかららしい。

 そんなこんなで街の中心部?というより、商店街?屋台?みたいなところに出た。

 僕たちが城に行く前に通った道だ。

 

『ここはどこなんですか?』


 そう、少し体の大きい人に聞いてみた。

 その人は優しく、


『ここは、首都マルセイユの中にある『港街道』と言うところだ。ここを真っ直ぐ行くとあのでかい城に着くぞ。後、ここは屋台などがいっぱいある。ここに住んでる人はだいたい買い物などをしているんだ。』

『なうなんですね!ありがとうございます。』


 しかし、一つ疑問に思ったことがあった。

 なぜ港なんだ?

 港なんてないぞ?

 

『あの、なんで『港街道』なんですか?』

『あー。それはな、昔までここは港街として盛んだったんだ。俺が生まれるもっと前になんだっけな。獣龍?だっけな。なんかそんな奴が攻めてきて、それでなんかあって水がなくなったらしい。説明下手でごめんな。』

『いえいえ、全然。ありがとうございます、』


 獣龍?なんなんだそいつは。

 まぁ細かいことは気にしないでおこう。

 それから僕はこの港街道を歩いた。

 この街道を歩いて気づいたことがある。

 魔人っていうのかな?僕もよくわからないけど、兎の耳をした人とか、羽を持ってるような人とか、狼の人形?と言うのもいた。

 聞いてみると、ここはどうやら魔族と人間が共存して生きている街らしい。

 魔族の人たちは人間?って思うほど一緒に暮らしている。

 すごい街だな。

 そう思い、街道を一周し、家の近くまで戻ってきた。


 やっぱりすごかったな。

 こんなにすごい場所に住めるなんて。

 まさか、僕がこんないい場所に住めるなんて。

 あの時は思ってもいなかっただろうな。


 そう思いつつ、家に帰った。


『レオンおかえり。どうだった?この街は。』


 帰ってきたのと同時にお母さんが聞いてきた。

 お母さんはベットがあまりにも気持ち良すぎて、家から出なかったのだ。

 

『ほんとに凄かった!屋台がいろいろあってね。僕の知らない食べ物とか服とか、……。』


 話しすぎちゃった。

 

『すごかったのね。私も明日行ってみようかしら。』


 こんなに話したのにしっかり全ての話を聞いてくれた。

 やっぱり、いいお母さんだな。


『レオン。今日は家にあった食材で料理を作ったの。早く食べましょう』


 お母さんはなんだか嬉しそうだ。

 あの時よりも。

 とても。とても。

 涙が出てきた。


『どうしたのレオン?』

『いや、なんでもない。さっきニンニク切ってる人がいて。』

『そうなのね。』


 なんとか誤魔化せたが、涙が止まらなかった。

 何分かたち、ようやく涙がおさまった。

 今思ったが、玄関からまだ一歩も動いていなかった。

 食事をするところにドアを開けて入った。

 すると、目の前には、豪華なものが置いてあった。


『な、なにこれ!?』


 目が飛び出そうだった。

 全部見たことない食べ物だった。

 美味しそう。

 あれも美味しそう。

 これも絶対美味しい。

 でも、食べれないのか……。

 あれ?でもなんで来ないんだ?

 ギース様は。

 そうだった。

 僕は完全に忘れていた。

 ギース様がいると思い込んでしまっていた。

 あの時の記憶がまだのこったままなんだ。

 とりあえずこのことは忘れよう。

 

『早く食べよう』


 そういい僕とお母さんはこの豪華な食事を食べ始めた。


『美味しいね。レオン。』

『うん!めっちゃ美味しい。これうま!』


 そんなこんなで僕たちは全部食べ終わった。


『美味しかったー。』


 そんなこんなで、今日の一日は終わった。

 楽しい一日だった。

 


〜次の日〜

『行ってきまーす!』


 今日もまた、この街を見てみる。

 昨日は、港街道を見たから今日は逆方向を見てみよう。

 逆方向は、城から離れていく方角だ。

 多分だけど、原っぱとか、野原とかが広がってるんだと思う。

 そして、そっち方面に歩いて行った。

 予想通り、野原が広がっていた。

 誰もいなかった。


『おーい。』


 叫んでも誰もいなかった。

 

『あ?なんだ?』


 あれ?いないと思ってたが奥の方から、僕と同じくらいの子が出てきた。


『あっえっと。』


 少し戸惑った。

 まさか本当にいるとは。

 周りを見てから言ったんだが。


『あっなんだ?要でもあんのか。』

『い、いやなんでもないです。』

『そうか、魔法の練習してんだから邪魔してくんな』


 魔法?

 魔法ってなんだ。

 なんかの、遊びか?食べ物か?

 でも、練習って言ってるから違うか。


『あの、魔法ってなんですか?』


 僕がその子に質問すると、その子はとても、とても、とても、とても、驚いた表情をしていた。

 え?そんなに当たり前のことなのか?


『魔法知らないのか!?』

『うん。』


 そういうと、その子は手を前に出し何かを言い始めた。


『我が水の精霊よ。力を解き放て。ウォーターボール!』


 なんだ!?

 その子がその言葉を言った途端、手の平あたりに水の小さな玉ができた。

 

『す、すごい!!!』

『ま、まぁな。』


 その子はとても照れた顔で言った。

 

 すごい。

 クルスさんみたいだ。

 こんなすごいことができるなんて。

 僕もやってみたい。

 そう思った。


『お前名前は?』


 突然その子が名前を聞いてきた。

 僕は


『レオンです。』


 そう言った。


『レオンか。いい名前だな。俺の名前はレイ。よろしくな。』


 よろしくな?

 え?

 僕はその言葉に驚いた。

 

『よろしくな?』

『俺たち今日から友達になろうぜ。』


 なんでかはわからないけど、はじめての友達ができた。

 

 それからというもの、僕は毎日レイと遊ぶようになった。


『レオン。お前魔法まだ打てるようにならないのか。』

『うん。難しくて、できないよ。』


 僕はレイに魔法を教えてもらった。

 しかし、僕は魔法が打てるようにならなかった。

 レイはというと……


『我が水の精霊よ。力を解き放て。ウォーターボール!』


 このようにして、毎日8発近く撃っている。

 なんで、10発とか撃たないの?って聞いてみると、『危険だからだ』といっていた。


 まぁ、そんなこんなで、僕には人生ではじめての友達ができた。

 

 



 












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『クール=マルセイユ様。第139代目魔王討伐軍が発表されました。』

『そうか見せてみろ。』


1.クール=マルセイユ   首都『マルセイユ』

2.ベリー=マナセイト   首都『マルセイユ』

3.ロード=チャートリー  都市『デドロイド』

4.ルビー=ヘラネクス   都市『魔国家』

5.ボルタニッカ      都市『センジュク』


『今回は5人なのか。そこまで脅威ではないというわけか。ベリーをここに呼び魔王討伐の準備だ。』



 


 

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