第6話 収納の魔道具

 清々しい目覚めだ。

 魔力の低い土地で過ごしても体調に変化はないんだな。

 もしあったとしたら、地球産のミネラルウォーターで補給するつもりだった。


 さて、今日は買い物だ。

 買い物が終わったら、もう一泊して、朝から帰路に就く予定だ。


 部屋で朝食を摂って待つ事しばし、ロバート達が現れた。


「今日は買い物したい。まずは換金と口座を開きたい」

「なら冒険者ギルドだな。魔導金属も売る事が出来るぞ。もちろん口座も開ける」

「よし、案内を頼む」


 朝の冒険者ギルドは混雑してる。


「昨日と反応が違うな」

「お前の情報が行き渡ったのだと思う。冒険者の商売は情報が大事だからな」

「なるほどね」


 いよいよ俺の番だ。


「魔導金属と魔水を売りたい」


 俺はペットボトル5本と五円玉を10枚出した。


「ただいま査定いたします」


 品物は奥に運ばれすぐに結果が出たみたいだ。


「魔水の方が容器込みで金貨530枚です。銅の魔導金属が金貨910枚です」

「それで頼む。それと口座を開きたい」

「かしこまりました。入金はどうされます?」

「金貨100枚は預ける。残りは貰おう」

「ではそのように」


 ナップザックに入れた1340枚の金貨はずっしりと重い。

 子供の体重ぐらいありそうだ。


「半分、持とうか」

「ああ、頼む」


 一気に金持ちになった気分だ。


「さて買い物はどこに行く?」

「まずは金貨や荷物をどうにかしたい。収納の魔道具なんてあるか」

「あるぞ、金貨60枚からだ。なら最初の行先は魔道具店だな」

「よし買いに行こう」


 魔道具店に到着した。

 めちゃくちゃ高級そうな店だ。

 品物の値札を見ても高いのか安いのか分からない。


「数字を教えてくれ」

「これが1だ」


 ロバートが指を指した。

 覚えたぞ。

 それから順番に数字を覚えた。


 魔道具の機能は分からないが、値段は大体分かった。

 魔道具は金貨1枚からのようだ。


「収納の魔道具がほしい」


 店員は俺を眺めた後に間を置いて、はっとした後に口を開らいた。


「容量の違いで金額が上下しますが」

「一番沢山入るのが良い」

「そうなりますと、金貨128枚の物になります。だいたい家一軒が入ります」

「ではそれを。それと俺は魔力が多すぎて光って見えるらしい。他人が目にすると落ち着かないのでこれを抑える魔道具がほしい」

「ふむふむ、それですと特注になります。大体、金貨13枚ぐらいで出来るはずです」


「次に来た時に受け取ろう。それと部屋を防護する魔道具はあるか?」

「ございます。金庫室などを防護できます。特定の人間しか入れないようにできてます」


 これで倉を防護する予定だ。


「都合が良いな。いくらだ?」

「金貨132枚です」

「高いが貰おう。それと護身用に何かほしい」

「電撃の魔道具はいかがでしょう。3メートル先でも攻撃できます」

「それも貰おう」


 代金を支払って、ふとスマホみたいな物が置いてあるのが見えた。

 手に取ってみた。

 スマホみたいな魔道具が起動する。


「すいません、触ったら動き出しちゃって」

「これが動いたんですか。100人分の魔力を注がないと動かないはずなのに。でもお客様の魔力量を考えたら、ありえますね」

「これはなんの魔道具なんですが」

「インテリジェンスブックです。さまざまな知識が入っていて、思念で伝えるだけで答えが出て来るという優れものなのですが。いかんせん必要魔力が大きすぎる。大学なんかでは使っているらしいですが、一般にはどうも」


 欲しいな。


「いくらですか?」

「金貨281枚です」

「買おう」

「ほんとですか。これが売れるとは。勢いで仕入れてみたものの、売れなくて困ってたんです」


 インテリジェンスブックの金を払って店を出た。


「この収納の魔道具はどう使うんだ?」

「この魔道具は特殊でな。亜空間に穴を開けるのと閉じる時に魔力を消費する。このボタンに魔力を注いでみろ」

「魔力ってどう注ぐんだ」

「まあやってみろ」


 言われた通りボタンに触る。

 黒い穴が空中に現れた。

 魔力なんか注いでないぞ。

 でも使えたんだから、問題ないか。

 持っている金貨を残らず収納した。

 閉じるボタンに触ると穴が閉じる。


 開けるボタンと閉じるボタンだけ分かっていればいいのか。

 簡単な魔道具だな。


「取り出しはどうするんだ?」

「穴を開いたら手を入れろ。品物のリストが脳裏に浮かぶ。選択すれば手につかめるはずだ」

「おお、ハイテクだな」


 収納の魔道具があると重たくなくていいな。

 次は服屋だ。

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