現実改変の表計算使い~親友に裏切られた俺は、ビルから落とされた。落下の巻き添えで人を殺した贖罪の為に、報われぬ者を異世界で救う。最強無敵のスキルでざまぁしてやるぜ~
喰寝丸太
第1話 裏切りのダイブ
俺は
親友である
そしてある日、借金の事で話があるとビルの屋上へ呼び出された。
「よう、
振り返った俺が見たのはこちらに飛んで来る黒い十字の何か。
それは、俺の腹に当たり、俺をビルから突き落とした。
「保険金、ありがとう」
そう確かに聞こえた。
親友が俺に保険を掛けるというので手続きしたのを思い出した。
くそっ、初めから俺を殺すつもりだったな。
怒りで俺の心は真っ白になった。
そして、何かに当たって俺の意識は途絶えた。
目覚めたのは何もない空間。
いや、目の前に一人、真っ白い長い髭を生やした人物がいる。
「お主には、人を殺した罪を償ってもらう」
「俺は殺してない」
逆だ、俺が殺されたんだ。
殺された怒りがこみ上げる。
手を握り締めようとして、手が無いのが分かった。
俺は光の玉になっているらしい。
「たわけが。ビルから落ちた時に人を巻き込んだのじゃ」
「俺の責任は無いはずだ」
「落ちている最中、視界にチラッと人が映ったはすじゃ。身をよじれば当たらなかったと出ておる」
「……」
あの時は怒りで頭が真っ白だった。
すまん、見ず知らずの人。
俺は大変な事をしてしまった。
「情状酌量の余地はある。お前さんには、異世界で報われぬ魂を救ってほしい」
「ああ、やるぜ。それが償いになるのならな」
「魂が体に入ったら、スプレッドシートと唱えよ」
スプレッドシートと言ったら、日本語で表計算だ。
特技というほどではない、ほどほどに俺が使える技能だ。
突如、体の感覚が戻る。
なんで俺は地面に寝ているんだ。
痛い、物凄く痛い。
なんだこれは。
体の持ち主の記憶が流れ込んで来る。
ここは魔法学園。
魔法を学ぶ所だ。
僕たちは16歳で、魔法高等科1年生。
「なぁ、マーク。金貸してくれよ」
こいつはザケル、同級生だ。
僕に何時も金をせびりに来る嫌な奴。
金を渡さないと殴るので更に嫌な奴になる。
貴族の子息なので、みな意見が出来ない。
「嫌だよ。そんな事言って返してくれた事ないじゃないか」
もうお小遣いは無いんだ。
だから、勇気を出して断った。
「やめてやれよ」
止めてくれたのはジャス君。
ザケルは貴族の子息でジャス君は平民なのに、なぜか口答えできる人物。
僕の相談にも乗ってくれるし、頼りになる友達だ。
「ちぇ、興が醒めた」
「ジャス君、ありがとう」
「良いって、俺もああいうのは嫌いだしな。もうお金は持ってないんだろう」
「うん、お小遣いは無いよ。またアルバイトしないと」
「授業が始まる。早く行こう」
修練場で魔法の授業だ。
「ザケル、お手本を見せてやれ」
「はい、劫火よ火球となりて飛べ、ファイヤーボール」
火の玉が的に向かって飛ぶ。
的に着弾して燃え上がる。
「さすがだな。次マーク」
僕の番だ。
「はい、劫火よ火球となりて飛べ、ファイヤーボール」
火の玉は出ない。
笑い声が聞こえる。
ちくしょう。
なんで出来ないんだ。
「マークは復習しておくように」
「はい」
憂鬱な授業が終わり。
「やった、これで明日から夏休みだ」
「ようマーク、これから魔境の森に遠征に行くぞ。もちろん一緒に行くよな」
「駄目だよ。魔境の森は禁止されているはずだ」
「生意気だぞ。殴られたいのか」
僕は散々に殴られた。
「行くのは絶対に嫌だ」
「俺が一緒に行ってやろう」
いつの間にか現れたジャス君がそう言った。
「ジャス君が行くなら、行くよ」
夏休みになって、僕達は魔境の森に足を踏み入れた。
魔境の森は魔力が濃い場所で、魔獣のテリトリーで物凄く危険だ。
そのかわり木の一本に至るまで高値がつく。
ぱっと見はそこいらの森と違わないな。
ガサガサと草が揺れる音がする。
「ウサギだろう。マーク、捕まえておけ。逃がしたら飯抜きだ」
僕は音のする方に近づいた。
音の主はオークだった。
オークはCランク魔獣。
僕達では敵わない相手だ。
「ひゃ」
僕は立ちつくした。
「劫火よ火球となりて飛べ、ファイヤーボール」
ザケルが火球を撃つが、オークは棍棒で打ち払いかき消した。
「駄目か。マーク、おまえ囮になれ」
「そんな」
どすんと背中を蹴られて、僕は転がった。
首を向けるとジャス君が笑っていた。
どういう事。
「面白かったぜ。お前から話を聞くのは。秘密から金まわりの事まで漏らしてくれてありがとう。おかげで小遣いに不自由しなかったよ」
確かに不思議に思っていた。
ザケルは貴族の息子。
金には困ってないはずだ。
ジャスが僕の情報をザケルに漏らして、カツアゲのお金を受け取っていたんだな。
ジャスとザケルは裏で繋がっていたんだ。
最初から裏切っていたのか。
ちくしょう、復讐してやる。
憎い、憎い、憎♯%&$……。
心がどす黒い何かで塗りつぶされていく。
そして、僕はオークの棍棒に殴られて、目の前が真っ暗になった。
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