第17話 [1] [2] [3] [6]
1度目の修了検定模擬試験は難しく64点、2度目は簡単な問題が多く94点で合格できた。
修了検定の筆記試験は、それらよりさらに易しくなっていた。
学科で習う以前の道徳的な問題が2割ほどあり、「必ず」「しなければならない」という否定しやすい問題が多く、判断しやすい。
試験の前に教官が、ひっかける問題は少ないから素直に答えるほうが良いよ、というアドバイスを思いだした。
10分ほどで50問を解き終わり、間違っている可能性がある問題は5問ほど。最初から見直し、1問の見間違いを訂正した。3度目に軽く見直して、20分ごろに解答用紙と問題用紙を置いて退室した。
5分後、女性3人と沢畠が階段から降りてきた。
前田「ではここで採点するので、少しお待ちください」
沢畠「あー、おわりましたね。ちょっといけそうな気がします」
「やれることをやって、全力でやった。我に悔いはない」
「沢畠は今日4時半から、ずっと勉強してきたのだな。その努力は報われるはずだ」
沢畠「そうですね」
20分後。
前田「採点が終わりましたので、右上の電光掲示板を見て下さい。合格した受験番号が点灯しますので、合格した方は残って手帳を受け取ってください」
ドキドキ…
人の子の学科試験なんぞに負けるわけがない。そうわかっていても、この人間の器ゆえに、不思議な不安がわずかに残る。
教官は、事務のエリアに戻り、奥で何かし始めた。
パッ
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受験番号は高瀬が1番、我が2番、沢畠が3番、女性3人が4・5・6番だった。
「よかった。男性陣は全員合格だな」
「ああああ…。合格していました!!」
教官が前に現れ、顔のそばまで寄って点数を伝えた。
高瀬と我は94点、沢畠が92点。問題ない合格であった。奥にいた女性陣の声はわからない。
「合格者は15時40分の路上解説に入りますので、忘れずに集まってください」
実技を終えて戻ってきた教官たちが、通り過ぎる。
荒川「沢畠さん、合格できましたか! おめでとう!」
沢畠「ありがとうございます。昨日、荒川さんたちが6回の模擬試験付き合ってくれたおかげです」
荒川「いえいえ。第二もがんばってください」
沢畠「はい!」
これが人情というものか。
何度やっても80点で、情けで通してくれた模擬試験。
夜と朝で必死に勉強してつかみ取った92点だ。
努力の結果であろう。何かグッと心にくるところがあった。
これでオッサン3人組は修了検定を通過した。
※中川はマニュアルのため2日遅れで修検を受ける
合宿免許卒業まで、あと7日
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