第11話 無線ルートの地図を運転中に見ると、わき見運転になるのでダメです

 13日の土曜日、安息日である。天界でもこの掟(ルール)によって職務はなく、自由に過ごせる。


 渡辺「今回は無線教習になります。初心者マークを付けたら荷物を後部座席に置いて、運転席にのあってください」


 渡辺「北田さんは先頭の5番、織江さんは6番、田中さんは7番に乗り込んで無線が来るのを待っていてください」



「今日は助手席に乗らぬのか?」


 渡辺「私は二階の無線室、あちらで3台をチェックしながら指示を出します。待合室に書いてあった無線乗車ルートに従って進んでください」


「1人の教官で3人を同時に支持するとは、人が不足しているのだな」


「合宿のしおりについていた、無線ルートを見ながら運転はできないのか?」


 渡辺「無線ルートの地図を運転中に見ると、わき見運転になるのでダメです」


「厳しいのだな…」


 渡辺「では、皆さん乗り込んでください」 ←慣れた



 無線渡辺「6番聞こえますか? こちらから個別に無線を繋いでいます」

 

「問題ない。すぐにでも発進可能だ」


 無線渡辺「先頭の5番の車が出た後に声かけますので、それまで待機していてください」


「承知した」


 無線渡辺「こちら無線室です。三人同時に無線を繋いでいます、個別の返答は聞けません、注意してください」


 …2分後…


 「それでは織江さん、無線ルートに従って車を進めてください」


 いつも通り出発し、ミラーサイド合図ミラーサイド目視寄せの通りにリズミカルに右左折する。




 おかしい、やけに多い。



 平日は教習者が多くて4台だったが、この土曜日は10台を超えていた。


 S字カーブ手前は渋滞し、その手前の信号の前でも待っている状態だ。



「あの無線教習車、5番の北田か。前輪巻き込んでリバースして進めていない」


 今までの教習では助手席で教官がサポートして、困ったら補助していた。


 それが無線で1人の運転になると、難易度が上がる。無線ルートを暗記から思い出して動かなければならない。目視と合図と寄せの先を意識しながら、地図を思い出す。

 詰まってバックミラーが車の群れだとさらに焦る。これはあと5分はかかりそうだ。


 外周と内周は1度目か2度目の初心者の遅い運転でグルグル回っている。信号を抜けて外周に出るにしても時間がかかる。


 (土日はここまで台数が多くなるのか…)


 我は、ただ目の前の無線教習車を追いかけるだけで、特に問題なく終わらせることができた。



「ふん。他愛もない」


合宿免許卒業まで、あと11日

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