君パチはどうスロるか?

ナカノ実験室

パチンコ編

第1話「学校の勉強なんか役に立たない!」

午前中から、人生について語り合った太一(たいち)くんと恵那(えな)博士は、夕方頃に、散歩も兼ねて食事に出ることにしました。今日話したことは、勉強に関してです。


和食が中心のファミリーレストランに向かう途中に、太一くんは、話の続きを続けます。


「足し算とか引き算とかできなくても、壁紙に糊は塗れますし、ペンキ塗るのに掛け算、割り算は使いませんよ」


「まあ、それはそうなんだけどね。なんと言うか、足し算とか引き算があるから、糊やペンキがお店に並んでいるわけでね」


「材料買ってるのは親方なんで、僕には関係ないんですよ」


どうしたものか……と恵那博士は考えます。国道を左に曲がるとファミリーレストランがあります。博士は、右側を見て、しばらく考えて言いました。


「太一くん、食事にはちょっと早いから、パチンコでも打っていかないかい?」


「パチンコですか?いいですよ。給料もらったばっかりなんで、僕おごりますよ」


「いやいや、太一くんにおごってもらう訳にはいかないよ。お金は私が出すよ」


「本当ですか?あざーっす」


「うん。だけど、今日に限っては私の言うことを聞いてもらっていいかい?」


「分かりました!」


二人は、国道を右に曲がり、パチンコ店・ユニバースⅢに向かいました。


「何打ちますか?今日は勝てそうな気がするので、並んで大工のヤツを打ちませんか?」


「そうだね。じゃあ、店の中を見て回って、それぞれ打ちたい台を決めようか?後で休憩コーナーで集合だよ」


「はい!」


二人は、入り口で手を消毒した後に、店の中を見てまわりました。太一くんは、打ちたい台が決まっていたので、早々に休憩コーナーに向かい、漫画を読みはじめました。


博士は、パチンココーナー、スロットコーナーを見て回り、打つ台を決めて、休憩コーナーに向かいました。


「あ!博士遅かったですね!大工のヤツの角と隣にスマホとバッテリーを置いといたので、早く行きましょう!」


「太一くん、2台確保するのはだめだよ。早く戻しにいこう。あと、今日打つべき台は見つけたよ」


太一くんのスマートフォンとバッテリーを回収しました。そして、博士が向かったのは、1円パチンコの海物語コーナーでした。


「えー?!海のヤツですか?しかも1円!今日は勝てるんで4円の大工にしませんか?」


「まあまあ、夕飯前にまったり遊ぼうじゃないか」


「まあ、いいですけど」


太一くんは、学校の勉強なんて役に立たない言います。博士は、パチンコを通じて、学ぶことの大切さを、太一くんに伝えようと考えたようです。


スタートチャッカーに玉が入り、三列に並んでいる魚達が泳ぎだしました。なんだかんだで、太一くんは楽しそうです。博士は、スマートフォンのメモ帳アプリを立ち上げました。


太一くんは、午前中から話していた内容も、勉強の大切さも、一切、頭から抜けたようですが……?

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