①keli/◈*ゆくえわっと


タイトル:keli

作詞作曲:◈*ゆくえわっと

動画制作:同上

ボーカル: 健音テイ、水音ラル、氷歌ナツコ(UTAU)

https://www.nicovideo.jp/watch/sm38625854

https://www.youtube.com/watch?v=mRlr4_1tV_E




 昨年からよりボカロ界隈を盛り立てている要因は複数ありますが、中でも楽曲投稿の側面という意味では、ニコニコ動画の株式会社ドワンゴが主催する「The VOCALOID Collection(通称ボカコレ)」が帆を進める風力を持っていると感じました。

 普段日刊動画やランキングで見ている程度の筆者ですら、怒涛のごとく投稿された楽曲にあっぷあっぷだったのですから、それこそ全曲チェックを決意した人の胆力は推して知るべし。歌ってみた・踊ってみた・演奏してみたなどの副次作品を含まない楽曲のみだったとしても、1000曲は下らなかったと耳にしたほどですから……。


 その中で、こちらの『keli』はボカコレ2021春の楽曲ランキングで25位、デビューしてから2年以内限定のルーキーランキングで7位を獲得した楽曲です。

 『回生』の方……と聞いてピンとくるボカロファンも多いかもしれません。


 『keli』を選んだのはひとえに好きだからの理由一辺倒ですが、よもやVOCALOIDではないUTAUの楽曲がこういった場でランクインするとは、夢にも思っていませんでした(話すと長くなってしまいますが、ソフトウェアとしてのVOCALOIDの略称であるボカロと、人間ではなくソフトウェアが歌唱しているジャンルのボカロは狭義と広義の関係となっています。正しく説明するのは骨が折れますが、要はファミ通と言いつつファミコンしか取り上げないわけではないのに似ているようなものかと)。

 あくまで一個人の憶測にすぎませんが、それこそVOCALOID一強の色が強かった一昨年であれば、UTAUをボーカルに据えているこちらが同様の結果を得られていたか分かりません。別楽曲紹介の際にも言及しますが、聞く人もVOCALOIDに限らず再生するようになった現行の環境も後押しとなったかもしれません。


 2020年のデビュー時よりタイトルにつけられている「◈*」、ひし形が特徴的なサムネイルにすっきりとしたタイポグラフィに目が引かれますが、なにより耳に馴染むのは郷愁溢れる電子音の雅やかさです。残念ながら筆者はただのボカロファンで音楽知識に明るくないですが、ボカロの和風曲としてイメージに挙げられるであろう『千本桜』などとは異なり、ポップで軽やかな反面、どこか静謐。この香り立つ響きがボカコレ投稿を目指して作られたのであれば、素晴らしい出会いの場が設けられて喜ばしい限りです。

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