アノ小説はなぜドラマ化・映画化・漫画化されたのか? ~あんな事、こんな事が書かれてた! あの人気作はこんなにエッチ?! これであなたの小説も映画になるかも!
北島 悠
第1回 蛇にピアス その1
やはりドラマ化・映画化・漫画化について考えるには、この作品を外す事は出来ないでしょう。
「蛇にピアス」は、金原ひとみのデビュー作です。第27回すばる文学賞と、第130回芥川賞を受賞した作品です。女優の吉高由里子主演で映画化もされました。
吉高由里子と言えば、先日最終回を迎えたドラマ「最愛」の主演女優であり、他にも近年多くの人気ドラマで主演やヒロインを務める人気女優です。今でも最愛の最終回を思い出すと涙が……
「蛇にピアス」はそんな彼女が体当たりの演技でブレイクするきっかけとなりました。
タイトルのとおり肉体改造がメインです。スプリットタンや入れ墨の描写は秀逸。まるで本当に自分の舌を割ったり、入れ墨の痛みを感じているかのような錯覚に陥ります。性については副次的な扱いに過ぎません。
であるにもかかわらず、とてもキワドい性描写に溢れています。
大変お恥ずかしい話ですが、こんなメジャーな作品を最近まで通しで読んだ事がありませんでした。
読んだ時には、あまりの性描写のキワドさに絶句すると共に、こんな感想を持ちました。
「自分が書きたかったのはこういう物語である」と。
なぜもっと早く読まなかったのだろうと悔やみました。自分はあまりにも流行り過ぎている物は逆に読まない、と言うちょっとひねくれた所があります。マイノリティなだけに。
例えばセカチュー(世界の中心で愛を叫ぶ)とか、キミスイ(君の膵臓を食べたい)とかですね。
子供の頃から文章を書く事が大好きで、読書感想文が学校代表になったりした事もあります。でも、本になるくらいの長編の物語を書くなんて絶対無理だ、そんなふうに考えていました。
蛇にピアスを読んでからは、「絶対に小説家になりたい!」と思うようになり、初めての長編小説である「ひとり遊びの華と罠~俺がセックス出来なくなった甘く切ない理由」を書き上げる大きな原動力になったのです。
蛇にピアスの魅力は他にもあります。かなりキワドイ性描写にあふれているのです。これでも大丈夫なら思ったよりリアルな描写が許されそうです。
例えば、男性や女性のアソコの俗称(どちらも3文字のアレです。チ〇〇とマ〇〇)が伏字なしで使われたり。
ちょっと特殊な性癖について具体的かつ詳細に記述したり。(例えばカタカナ6文字のおしりを叩く行為とか。ス×ンキ×グ)
これが芥川賞を受賞した作品ですからね。もう嬉しくなりませんか?
ここで、もう一つ重要な学びがあります。ここまでキワドいにもかかわらず、喘ぎ声が表現されていないのです。会話よりも地の文の方がゆるいのはどうやら間違いなさそうです。
あとはとんでもなく過激ですが、量的に全体の中で占める割合はかなり小さく、必要最小限の範囲に留められています。
このあたりは他の作品と比較するとよりはっきりするのですが、もしかしたら官能小説と文学とを分ける重要ポイントになるのではないでしょうか。
こんな感じでそそる表現が満載です。
◇◇◇◇◇◇
読んでいただきありがとうございました。
次の第2回は引き続き「蛇にピアス」の秘密に迫ります。お楽しみに。
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