流れ星キラキラ
TiLA
輝星
静かな夜の中で、その女性は思い出を探ろうとしてその思い出がないことに溜め息をついた。女性の腕には少しくたびれた人形が抱かれている。
とつぜん彼女の目の前が光輝くと、その中にニコニコマークの顔をした星があらわれた。
「あなたは……、だれ?」
「やぁ、こんばんは! ボクの名前はキラキラ。暗い暗い闇を照らしてみんなを救うのがボクの仕事なんだ。悲しそうなキミを助けにきたよ」
「助けに? えっと……キラキラだったかな?」
「そう。忘れないで、ボクの名前はキラキラ。
さぁ、すてきな星空の冒険に出かけよう!」
キラキラがそう言うと辺り一面がまばゆい光に包まれていった。
気がつくと女性は星空の海の中にいた。足の下には青い地球とうず巻く白い雲が見える。夜の暗い部分には街の灯りがまるで朝日に照らされた蜘蛛の巣のように輝いていた。明かるいのはもっぱら北半球ばかりだったけれど。
宇宙では大気がさえぎらないため、たくさんの星が見える。女性は星を見ることが好きだったが、上も下もない宇宙では知っている星座がどこにあるのかよくわからなかった。
「こと座のベガはどこ? アルタイルは? デネブはどこかしら?」
「あそこと、あそこの向こうだよ! あっちのほうに見えるでしょ?」
キラキラが星形のとがった先で指さすように星座の方向を示した。
「ほんと! どっちを向いているのかわかったわ。ねぇ、キラキラはいつもどの辺に輝いているの?」
「ボクはいつもキミの心で輝いているよ」
「うそよ。わたしの心にあなたみたいな星が輝いているわけないわ」
絵に描いたようなキザなセリフに女性はからかわれたのだと思った。しかしキラキラは大真面目な顔で続けた。
「みんな忘れてるだけだよ。青空のときには星が見えないように心がブルーに染まっていると気づかないんだ。本当はその青い空の向こうにずっと星が輝いてることにね」
女性はそう言われてもよくわからなかったが、ちがう質問をすることにした。
「あなたのように他の星ともお話できるの? もしそうならしてみたいな」
「オッケー。じゃあ、まずは火星くんに会いにいってみよう! アルタイルをはさんでアンドロメダ銀河を背中に、いて座とへびつかい座の方角だよ」
キラキラがそう言うと光の速さで飛んでいる二人はほどなくして火星に到着した。
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