第84話 ある解説者の困惑
「SMC側はハイオークを石碑の守りにつけ、オルトロスとレッドキャップが相手の魔石を狙うようです!! 機動力に優れた2体で相手の石碑を狙う算段でしょうか?」
「そうですね。鮒田選手のハイオークは強者として知られていますがやはり足は遅いです。一方、段田選手のオルトロス、水野選手のレッドキャップは現状では最速の召喚モンスターと言っても過言ではありません。この2体に押し込まれると厄介ですよ」
コメント:ゴジロウ、いけえええ!!
コメント:うおおおおーー!!はじまったーー!!
コメント:はええええ!!
コメント:武蔵、暇そうでやんの
コメント:オークは遅いからな。お留守番よ
コメント:武蔵、鼻くそほじってるwww
「一方のスーパー・サモン・シスターズですが、これは……どういうことだ!? ヴァンプもラミアもハーピーも全員が石碑を守らず、森へと入って行きます!」
コメント:マジかよ。挑戦的じゃん
コメント:え、石碑の魔石はくれてやるってこと?
コメント:コロッセオの中央で戦闘になれば3対2で有利
コメント:ゴジロウとオルトロスは止められないっしょ!
コメント:これ、戦うの?スルー?
コメント:おもしれえええ!!
自陣の石碑の100ポイントは捨てて、相手の石碑と武蔵の150ポイントを3体で狙うってこと? 数字の上では有利だけれどそんなに上手くいくかしら?
「それではカメラをコロッセオの中に切り替えていきましょう! SMC側はレッドキャップとオルトロスがバラバラに相手陣地を目指しています! しかし速い!! カメラで捉えきれません!!」
モニターには森の中を駆け抜けていくゴ治郎、そしてオルトロスの姿が映し出される。カメラは目まぐるしく切り替わりどんどん敵陣へと近づいていく。
「さぁ、このままではあっという間に石碑の魔石が奪われてしまうぞ! スーパー・サモン・シスターズはどんな手を考えて──」
その時、敵陣の森が急に暗闇、いえ、影に包まれモニターに何も映らなくなる。これはあのヴァンプの仕業!?
「なんだこれは!? 一体何が起きたのか? スーパー・サモン・シスターズ側の森が黒い影に覆われてしまいました!!」
「おそらくヴァンプの能力でしょう。影を操ると聞いたことがあります」
「ヴァンプにそんな力が! おーっとしかし、SMC側は構わず影の中に突っ込んでいく!!」
水野君、ちょっと軽率よ! ゴ治郎のスピードを過信しすぎじゃ──。
キエエエェェェェ!!
耳を塞ぎたくなるような奇声がコロッセオ、いえ、サモナーズ・フィールド全体に響く。一瞬だけど軽く視界が回った。人間にも効果があるぐらいだから、召喚モンスターはやばいわね。視界を奪われ、方向感覚も失う。……これはマズイわ。
「今度は何だ!? 次々と想定外の事態が発生しています!! そしてえぇぇ、影からハーピーとラミアが抜けたようだー!!」
コメント:ちょおお!!何が起こってるの!?
コメント:うおおおおお、武蔵が狙われるううう!!
コメント:なになになに?どゆこと?
コメント:ヴァンプが特殊能力でゴ治郎とオルトロスを足止め
コメント:その間に武蔵を襲撃か
コメント:あの声、ハーピー?
「ラミアとハーピーがどんどんSMC陣内に入っていきます! SMC、大丈夫か!? このままでは1対2の戦いになるぞ!!」
モニターに石碑を背にした武蔵が大写しになる。敵の襲来を感じたのか、急に表情が引き締まった。
「来るぞ来るぞ来るぞおお!! ついに衝突だあああ!! ラミアが正面から突っ込むううう!!」
ドンッ! という衝撃音をマイクが拾い、ラミアが大きな弧を描いてゆっくりと飛んでいく。
「ハイオークの一撃いいいいい!! 拳の一振りでラミアが吹き飛んだあああ!!」
コメント:武蔵!!!!!!!!!!
コメント:つええええええ!!!!!
コメント:鼻くそほじった拳で一撃!
コメント:ヘムちゃん軽率だ!武蔵はただのヒールじゃないぞ
コメント:maーちゃん、援護しないと
コメント:ハーピーの攻撃くるぞおお!!
キエエエェェェェ!!
またあの嫌な奇声。maーとかいう子、見た目の割にえげつないわね。
「またです!! ハーピーの声にハイオークが酔っ払ったように石碑にもたれ掛かるううう!! これはSMC、ポイントを奪われ──」
「えっ!」
コメント:えっ!
コメント:えっ!
コメント:えっ!
コメント:嘘だろ武蔵いいい!!
コメント:すげえええええええ!!
コメント:うおおおおおおおおおお!!
「ハイオークが石碑を引っこ抜いたああぁぁぁ!! それを持ったまま回転するううう!!」
なんて怪力! 無茶苦茶じゃない!! 意表を突かれたハーピーが石碑で殴られ、ラミアと同じように飛ばされる。この戦い──。
「どうなっているんだあああ!! ハーピーがやられ、ハイオークもそのままぶっ倒れてしまったぞおおお!!」
先が見えないわ。
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