第13話:装備を探して
前の世界では装備はみんな作ってもらってたし、
こっちの世界ではお貴族様だったからね。
服を防具屋で買うという発想がなかったんだよ。
確かに、マーガレットさんの作る服は鋼の鎧よりも強かったけど・・・
服も靴も防具だとは思わなかったね。新発見なんだよ!
うーん、普通の冒険者としての経験が薬草採取で終わってるから、
思ったよりも冒険者としての常識が足りないみたいなんだよ。
もっとも、前の世界とは違うかもしれないし、ギルドの講習とか無いのかな?
そんなことを考えているうちに防具屋さんに到着なんだよ。
鎧ばっかりなんだよ?盾や兜もあるけど・・・
「何探してるんだ?」
今着てるような感じの冒険者の服なんだよ。服屋に行ったら防具屋に行けって言われたんだよ。
「なるほど、あるにはあるが嬢ちゃんのサイズは無いな・・・」
困ったんだよ。どうしようか?
着替えが無いんだよ。
よし、諦めよう。どうせ防具なんて要らないんだよ。
あってもなくても1撃だからね。
それだったら、服屋さんに売ってた普通の服を着れば良いんだよ。
靴も歩きやすいのにしておけば良いんじゃ無いかな?
普通の冒険者じゃ無いんだから、武器や防具にこだわる必要は無いんだよ。
そういえば、ノアールは武器とか防具とかは要らないのかな?
私自身を強化するよりも、ノアールを強化した方がより安全なんだよ。
スライムってどんな武器を使うの?
体当たりと、まとわりついて溶かすとかそんな感じしかイメージ出来ないんだよ。
でも、ノアールは魔法が使えたよね?
あれってどんな魔法なんだろ?初めて見たスキルだったんだよ。
まあ、名前からして凶悪な感じがするんだよ・・・
それに、ユニークスキル。あれは絶対にヤバいやつなんだよ。
どんな効果か気になるけど、ノアールとはお話し出来ないし。
試しに使ってもらうわけにもいかないし。
誰か知ってる人居ないかな?
もっと大きな街のギルドに行かないとダメかな?
やっぱり王都?
王都って遠いよね?それに馬車の大金も相当な額になると思うんだよ・・・
地理的な知識としては知ってるんだけど、実際には行ったことが無いしね。
そもそも、王都ってアストリア様も居るんだよ?
王子様だからばったり会うこともないと思うけど、もし会ったら気まずいんだよ・・・
他の国の方が良いのかな?スキルやスライムに詳しい人がいる国・・・
魔法の事だから、母様が詳しそうな気もするけど・・・
ダージリン領には入れないし・・・
だとすると、魔導王国かな?
間にいくつか国があってかなり遠いよね?簡単には行ける場所じゃないんだよ。
他には・・・そうだ、ガーネットさんに聞いてみよう!
「ここ以外の大きな街?」
ノアールのスキルについて調べたいんだよ。
スキルが分かれば今後の冒険の役に立つかもしれないしね。
「なるほど、そもそもノアちゃんの種族も不明だったわね・・・」
黒いスライムも色々な種類があるみたいだね。奥が深いんだよ。
「迷宮都市でも詳しい人が居そうね」
迷宮都市?それは知らないんだよ。
「巨大なダンジョンを中心にできた巨大な街ね。世界中の冒険者が集まる場所よ」
なるほど、色々な魔物やスキルの資料もあるかもしれないと?
「でも遠いわよ?馬車で20日以上かかるし、料金も金貨5枚くらいはするわよ?」
うん、無理なんだよ。そんなにお金は無いんだよ・・・
でも、別に一気に行かなくても少しづつ近づいていけば良いんだよ?
お金を貯めて、隣の街に行って、依頼をこなしてお金を貯めて、また隣の街に・・・
いや、一瞬良い考えかと思ったけど、お金が稼げない街に出くわしたら詰むんだよ・・・
何せ、私に出来ることは少ないからね。やっぱり一気に行かないと。
とりあえずは路銀の金貨5枚と生活費も考えれば金貨6枚かな?
いやいやいや、迷宮都市での滞在費とかも必要なんだよ。
多分、私にはダンジョンの探索とかは無理なんだよ。
仲間に入れてくれるパーティーとかも無いと思うしね。
それに、ここに戻ってくるとしたら帰り道の旅費とかも・・・
そうすると莫大な金額が必要になるんだよ!金貨15枚くらい?
それを目指して薬草採取なんだよ!出来れば鑑定を覚えられると楽になるんだけど、
贅沢は言ってられないんだよ!どうせ呪いが禁則事項で残念炸裂なんだよ!
オークが討伐出来れば楽かもしれないけど、無理なんだよ・・・
ノアールは確かにオークよりも圧倒的に強いけど、私がオークよりも圧倒的に弱いんだよ・・・
1対1なら大丈夫かもしれないけど、それ以上は危険なんだよ。
1匹をノアールが倒してる隙にもう1匹に私が殺されるんだよ。
それに、私のランクじゃオークの討伐依頼は受けられないしね。
納品すれば素材は買い取ってくれるけど・・・
んー?でも、ゴブリンの攻撃なら避けられるかな?それなりに剣術の訓練はしてたからね。
それと魔法もあるから、ノアールが1匹目を倒してる間くらいならどうにか凌げるかも?
よし、基本的には薬草の採取、出来ればそれ以外にも素材があれば採取。
魔物に襲われても、角ウサギやゴブリン2〜3匹くらいまでなら戦ってみよう。
それ以上に強い敵の場合は相手が単体ならノアールにお任せで、
複数だったり、ノアールでも敵わないほどなら逃げよう。
近くの森にはどんな魔物が出てくるかも調べておかないとね。
それと取れる素材もどんなのがあるのか調べよう。
もう、いっそのこと近くの森の詳細な地図を作るような感じで!
「リーゼちゃんはパーティー組まないの?」
私のことを仲間に入れてくれるとは思えないんだよ。何も出来ないし。
「そんなこと無いわよ、みんな最初はそんな感じよ?」
でも、みんなはレベルも上がるし、ランクも上がるんだよ。
それに比べて、私は今が最高レベルなんだよ。ランクを上げることも出来ないんだよ・・・
「レベルは無理だけど、ランクは上がるわよ?」
え?ランク昇格の最低レベルって無いの?
「そんなのは無いわよ?」
じゃあ、私もランク上げられるの?
「オークの討伐もギルド貢献度が高く評価されてるわ」
おお!ノアールのおかげなんだよ!
「ギルド貢献度のポイント数と依頼の達成回数その他で総合的に判断されるのよ」
もしかして薬草採取だけでもランクSになれる?
「流石にそれは無理ね、依頼書に推奨ランクの欄があるでしょ?」
ああ、そうか。ランクに見合った依頼じゃ無いとダメってことなんだね?
「そういうこと、薬草採取がカウントされるのはランクFまでよ」
じゃあ、頑張れば薬草採取でもランクEにはなれるってこと?
「そうね、今まで薬草採取だけでそこまで行った人は居ないけど・・・」
よし、希望が見えてきたんだよ!
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