第12話:黄色いリンゴ

さてと、とりあえず街に戻ろう。

ギルドに帰るまでが冒険です。

ノアールが持ち上げられなくなってしまったので、一緒にポテポテ歩いて帰る。

うーん、見た感じは全く重さを感じさせないのに、とても不思議な光景なんだよ・・・


「いらっしゃいませ、冒険者ギルドへようこそ!」


ガーネットさんのカウンターに並ぶ。

「リーゼちゃん、どうしたの?」

ああ、そうか。手ぶらだったから何をするのか分からなかったんだね。

「ゴブリンは倒せたの?」

ゴブリンは見つからなかったんだよ。でも、オークを倒したんだよ!

「ノアちゃん強いのね!」

1匹だけだったからどうにかなったんだよ。

いっぱいいるとノアールは大丈夫でも私がヤバかったと思うんだよ・・・

で、オークを持って来たんだけど、どこに出せばいい?

「持って来たって?」

ノアールが持ってるんだよ。丸ごと。

「丸ごと!?」

ここに出しても大丈夫?

「出すなら裏口に回って、ここはダメ!」


そんなわけで裏口にやって来ました。

「さあ、ここなら出して大丈夫よ」


ぺっ・・・でろん


「これ・・・」

オークなんだよ。

「もしかして生きてない?」

え?そんなことはないんだよ?

生きてると収納スキルには入らないんだよ?

「動いたぞ!」

なんで?

ノアール、トドメを!


ずどごむっ!


今度こそやった?

「動かなくなったわね・・・」

これ、買い取ってくれるの?

「ギルドで解体するとなると解体料は貰うけどね?」

それでいいんだよ。私じゃできないしね。

「じゃあ、素材と魔石を買取ね」

よろしくなんだよ。

「オークの素材が金貨1枚で魔石は銀貨50枚ね。ちなみに解体料で銀貨10枚が必要よ」

ということは金貨1枚と銀貨40枚。おお!すごい大金なんだよ!

これでしばらくは宿屋に泊まれるんだよ!


「これからもオークの討伐をするの?」

でも、毎回こんなにうまくはいかないんだよ。

今回はたまたま運が良かったんだよ。

まずは地道に採取依頼をこなそうと思うんだよ。当面の生活費は心配なくなったからね。

出来れば鑑定スキルを手に入れたいからね。

薬草の採取を続けてると覚えるかもしれないんだよ!

前回はそれで覚えたからね。まあ、他にも色々と条件が違うからダメかも知れないけど・・・

とにかく鑑定と収納があればどうにかなるんだよ!


ノアールの収納スキルがすごいことがわかったし、鑑定が出来ればひょっとするとお薬が作れるかも!?

まあ、作れたとしても前みたいにとんでもない性能のは作らないようにしないとね。

とにかく今度は神様に目をつけられないようにしないと。

今回はともかく、平穏な生活をしたいんだよ。


とりあえず、ある程度のお金が手に入ったから、冒険のために必要なものを手に入れよう!

まずは着替えかな?服屋さんを探そう!


さて、服屋さんはどこかな?

せっかくだし、この街のお散歩もしてみるんだよ!

しばらくの間はこの街に居るんだし、この街の地理も覚えないとね。

ギルドと宿屋以外はあんまり行ったことがないんだよ・・・

最低でも道具屋と服屋と武器と防具の店を見つけよう!あとは美味しい露店も!


りんごのお店を発見!

今の時期にりんごが採れるのかな?以前は季節に関係なく採れてたからね。

元々りんごが取れる時期っていうのがよくわからないんだよ。

「1個銀貨1枚だよ。爽やかな酸味だよ」

酸っぱい系のりんごみたいだね。それに思ったよりもだいぶお高いんだよ。

でも、りんごは大好きだから買ってみよう。ノアールも食べる?

肩に乗ったノアールがほっぺにすりすりしてきたから多分食べたいんだよね?

おじさん、りんご2個ほしいんだよ!

「毎度、銀貨2枚な!」

おじさんからりんごを受け取る。

まだ食べたことがない黄色いりんごなんだよ。

前の世界では赤いりんごと緑のりんごは食べたことがあったけど、黄色は初めてなんだよ!

「珍しいだろ?黄色のりんごはちょっと高いけど爽やかな味がするんだ!」

ああ、やっぱり珍しいりんごだったんだよ。


シャリッ・・・もぐもぐ・・・ピシャーン!!!


おお!一口食べたらすごい衝撃的な味だったんだよ!

これは今ままでのりんごとは違うんだよ!

「どうだ?美味いか?」

とっても美味しいんだよ!

あ、そうだ。おじさん、服を売ってるお店を知らない?

「服?」

今着てるような旅人の服なんだよ。

「ああ、向こうの通りに古着屋があったな」

ありがとう!行ってみるんだよ!


ここかな?服が色々と並んでるね。

私のサイズの服はあるかな?

大人サイズの服ばっかりだね。そもそもお子様の冒険者が少ないんだよ。

なかなかサイズが合うのが見つからないね。店員さんに聞いてみよう。

「子供用の冒険者の服?無いよ?」

無いの!?

「そういうのは古着屋じゃなくて防具屋に行かないと」

そうなの?防具って鎧とか盾とかじゃないの?

「冒険者用のは服や靴なんかも防具だよ」

それは知らなかったんだよ・・・

なんせ前の世界では全部作ってもらってたからね。買ったこと無かったんだよ。

仕方ない。防具屋さんに行ってみるんだよ。

その前に・・・可愛い感じの子供用の服はない?

「それならこっちだよ」

流石に猫耳付きフードとかは売ってないよね?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る