手紙〖逃避的迷子の日常〗

切り株ねむこ

親愛なる君へ。

お久しぶりです。

お元気でしょうか?


会えなくなってから

随分と経ちますね。


今、君は幸せに暮らしていますか?

きっと君の事だから、

何事も明るく良い方へと

間違うことなく暮らしているのではないでしょうか?


あの頃から変わらず優しい笑顔のまま

で。


私はというと…

君と会わなくなってから色々あり、

間違ってばかりでした。


もしかしたらどこかで会っても

分からない位、私は変わってしまったかもしれません。


今の君から見たら、

私はどんな風に見えるのでしょうか?


その返事を聞くのが、少し怖い気もします。


それでも無性に君と話したくなる時があるのです。



もし会えたなら、

最初に「ごめんね」と言わせてください。


君に会いたくなかった訳でも

忘れていた訳でもありません。


むしろ、ずっと会いたかった。


かと言って、四六時中

君のことを考えて生きてきたと言ってしまうと、それは嘘になってしまいます。


君に嘘をつくつもりはありません。


でも、私の中から君が消えたことはありませんでした。


思い浮かべなくても、

ずっとずっと変わらず

私の中に君はいました。


君が遠くへ行く時、

君は私の中に種をまいたのを気付いていましたか?

もしかしたら、無意識かもしれませんね。


その種は芽を出して

今もたまに花を咲かせます。

それを私はあの時からずっと大事に育てています。


いつか君に見せることが出来るようにと

思って。


でも、今はまだその時ではないかも

しれませんね。


だから、まずは君に手紙くことから

また始めようと思います。


日々の出来事や、

私の思った事を君に聞いてもらえると

嬉しいです。


またあの頃のように。





追伸

君が私を忘れていませんように。



2019年11月14日。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る