第5話
「わたし、ひとりでいることをなんとも思ってないですし」
笑顔。
「この生き方に満足してますよわたし。いいんです、これで」
でも、ぼろぼろと涙が落ちてきている。そして、彼女はそれに気付いていない。
「そうですか。じゃあ、あなたのひとりの生き方を邪魔しない程度に、お友達になりましょう」
「お友達?」
「そう、友達」
こうやって普通に喋っていても、彼女の目からは涙があふれて、とまらない。
きっと、ひとりで生きていくのが、つまらなくなってしまったんだろう。
「友達って、なにするの?」
はずかしそうにしている。
「それは反射ではないですよね」
「ばれた」
いきなりそんなことをするやつがあるか。
「こうやってベンチに座って、お話しするんですよ。友達同士」
「そうなのか」
「まあ色々ですけど、今日はそんな感じで」
「あ、はい。よろしくおねがいします」
「そんなに、かしこまらなくても。いいんですよ普通で」
「いや普通がわかりません。反射しちゃうし」
「どうぞ?」
「え?」
「いくら反射されても、私にはあなた本来の、反射ではない心の動きが見えますし」
「え、はずかしい」
「え、ごめんなさい」
「キャンセルできないの、それ」
「心を見るのを、ですか?」
「うん」
「たぶんできますけど、あまりやらないですね」
「なんで?」
ようやく、雑談っぽくなってきた。
「任務なんですよ」
「にんむ」
「正義の味方なので」
「せいぎのみかた」
「まあ、街の平和守る関係上、常に心がみえてたほうが」
彼女。無表情になる。反射してるのか。
「やめましょ、任務の話は」
「え、気になる気になる」
「めっにゃつまらなそうな顔してましたけど」
「いやそれは反射してるだけだから」
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