第7話 レッドビーンズ

 もしかしたら……。

 僕はある予感を覚え、豆類を扱っている店が無いかを探した。

 そして見付け出した店の商品の中に、こんな面白いものを発見する。

「あっ、その豆……小豆!?」

 そう、小豆が売っていたのだ。

 それも安価で。

 僕が驚いていると、エレミーが不思議そうに訊ねてきた。

「ナギは小豆知らない?」

「いや、知ってるけど、この世界……じゃなくて、僕の地元以外にもあったことに驚いたんだ」

「ふーん」

「こっちでは小豆をどうやって食べてるの?」

「スープにして食べる」

「なるほど、小豆のスープか……」

 そういえばイタリア辺りで食べられてるって、どこかで聞いたことがあるな。

 そんなことを考えているところへ、エレミーが続ける。

「でもあんまり美味しくない」

「そ、そっか」

 確かにあまり美味しくはなさそうだ……。

 本当は小豆を美味しく食べる方法があるのにな……。

 その後僕は簡単に買い物を済ませ、まだ日中ではあったが宿探しを始めた。

 一人ならば三ヶ月は持つであろう資金も、二人になったことで単純計算をすれば一ヶ月半で尽きてしまう。ことになる

 よって近辺で出来るだけ安い宿を選ばねばならない。

 だがそう都合良く条件に見合った宿があるものだろうか? 

 暗くなるまでには見付かればいいけど……。

 不安いっぱいで街を歩き始めた僕ら。

 しかし予想に反し、条件通りの宿はすぐに見付かった。

 立ち並んだ宿屋の中でも一際目立つ、明らかに見た目がアレな外観。

 その瞬間僕は勝利を確信する。

 こうして幸いなことに、望み通り一番安くて劣悪な宿へ泊まる運びとなったのだったクソがっ。

 風呂もまともなトイレも無い。

 それどころか下水設備すらあるのか怪しい不潔な環境。

 クサイ(確信)。

 思ってた異世界と違う……。

 そんな環境ではあったが、宿のご主人と奥さんの人が好さそうなことだけが救いである。

 あと五歳になったばかりだという娘さんが可愛いよチュッチュ。

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