第4話 とつる

 「噂?」


 俺が呟いたその時だった。


 「おい!今年の1年生に凄いかわいい子がいるらしいぜ」

 「あ、それ俺も聞いた!」

 「まだ入学式始まってないし、とつろうぜ!」


 前の方に集まっていたたくさんの男子が教室を飛び出していく。


 「噂が広まるのってほんと早いわねー」

 「噂って今あいつらが言ってたことか?」

 「そうよ、今年の1年生に物凄い美少女がいるらしいわよ」

 「なるほど、どうりであいつらが教室を飛び出していくわけだ」


 興味はあるけど俺はさっき走ったばかりで疲れている。また別の機会に見に行こうと思ったその時、突然春が俺の腕を掴んできた。


 「じゃあ私たちも見に行こっか!」

 「え?」

 「ほら、早く早く!」


 俺は春に引っ張られながら教室をあとにする。


 「なあ、俺も行かないとダメなのか?」

 「え、あんた見たくないの?」

 「そりゃ見てみたいけど……」


 もう階段まで来ているのに今断ったら春の機嫌が悪くなるのは予想出来る。俺は仕方なくついていくことに決めた。


 「その1年ってそんなにかわいいのか」 

 「私もまだ見てないけど、たぶん私よりもかわいいってことはないわね」

 「……すまん、俺、こういう時何て言えばいいか分からないんだ」

 「おい」


 階段を降りて一階に着いた俺たちは、たくさんの男子で賑わっている1年4組の廊下を見つけた。


 「うおっ、凄い数の変態だ」

 「あんたもそのうちの一人でしょ?」

 「お前が無理やり連れてきたんだろ?それに俺は変態紳士だからいいんだ」


 ほんの少し(?)変態ではあるものの、あんな鼻息が荒いやつらと一緒にしないでほしい。

 廊下に着いた俺たちは、教室の後ろのドアの隙間から美少女を探し始める。


 「美少女美少女……あっ!」

 「いたのか?」

 「たぶんあの子じゃない?後ろ姿しか見えないけど」

 「何で後ろ姿だけで美少女って分かるんだよ」

 「だって一人金髪だし」

 「金髪?!どこだ?!」


 金髪というワードを聞いた俺は脳裏に一人の少女の姿を思い浮かべる。


 「ほら、ベランダ」


 まさか!

 嫌な予感はしたが、俺の予想は見事に的中してしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る