第130話

 きっと、女社長は携帯電話が鍵だと伝えたかったのだ。


 スマホ、などと書いてくれれば分かりやすかったのだが、鉛筆でこすって浮かび上がらせる文字で伝えようとするほどだから、一見しただけではわからないようにしたかったのだろう。


 社長の言葉から推測すると、おそらく九枝家は、目に見えない呪いか何かに縛られていて、怨霊を祓うような行為はできないのだろう。


 そして、透かし文字にしてはっきり見えるように書かなかったのは、理由はわからないが、あの息子に気が付かれないように、警告したかったのだろう。


 とにかく、遊園地のどこかで、怨霊の拠り所になっているような、そんな気味の悪い携帯電話は捨ててきてしまおう。それで南由は怨霊から解放されるはずだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る