第39話
「私と南由以外の女性の二人の方からは、私がすでに話を聞いていますが、特に気になるような話はありませんでした。でも二人とも、怪しいのは潮田さんだ、と」
「暗いから?」
「そうですね……。でもただ暗いから、っていうだけじゃなくて、なんというか……。陰気? うまく言えないんですけど、なんとなくの印象でしょうか」
「女の勘、ってやつだね」
女の勘は侮れないが、他の女の子達と会話をした後の印象となると話は変わってくる。なぜかというと、自分が感じた印象が、話しているうちに他の人の印象に影響されて、上書きされてしまうことがあるからだ。
たとえば指に毛が生えていたとする。最初の印象では、自分は気にしていなかったのに、他の人が「すごい指毛だったね」と重大な事の様に話していると、いつの間にか自分の中でも強調されて、どうでもよかった指毛が重大なマイナスポイントに変わってしまったりする、というようなことがおこりがちなのだ。
潮田を犯人だと無意識に思いこまないようにしないと、と自分をいさめる。そもそもあの日の合コンに犯人がいるとも限らないのだ。
ふと思いついて、「あ、そうだ。南由の家の近くのコンビニで、事件があったのは知っている?」と聞いてみる。
永里はパッと顔を上げた。もぐもぐと口をせわしくなく動かしたかと思うと、ワッフルを飲み込んだ。
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