感情のヤジロベエ

公園の公衆トイレ 甘い気配はどこ吹く風

タイルの上で踊り始める君 夏の盛り 夕陽に染まる

蝉の甲高い 演奏に合わせステップ 汗で転ぶよ?

人目を気にせず 一緒に踊る人が釣り合うだろうな


額ににじむ汗 君の汗シブキ 

塩水が素肌にみる

見守る側で立ち尽くす自分 

命の火花が胸を焦がす

君の魂にただただ惹かれてるんだ


感情のヤジロベエを指先で突く君 魂が笑う

このまま一撃で倒して 解き放ってほしいの

命の散り際は操れないからせめて 

君との喜びがそうとうになるように 笑うね


道沿いのさびれたベンチ 甘い予感は身をひそめる

映画帰りに寸劇すんげき演ず君 冬の最中 バス待つ間

夜に不釣り合い 鼻歌に合わせクルッと 雪で滑るよ?

人目を忍ばず 手拍子送る人がお似合いだろうな


頭に積もる雪 君も雪化粧 

初雪が笑顔を照らす 

見守る側の変わらない自分 

命の火花が熱を帯びる   

君の魂にただただ見惚みほれてるだけ


感情のヤジロベエを悪気なく揺らす君 魂は遊ぶ

そのままバランスを崩して 自由にしてほしいの

命の散り方も決められないからどうか

君との悲しみも走馬灯を作るよう 泣くんだ


春の雪解け 

巡るは季節  

ちっぽけな自尊心の毛皮よ サラバ

この夏自分も踊り始める

価値のない羞恥心の毛皮よ サラバ

この冬自分も寸劇演ず

君と同じ側で魂に身を委ねる自分

君と同じ側の笑って許せてしまう自分

感情のヤジロベエがまた動いた


感情のヤジロベエを柔らかくでる君 魂がなご

このままアンバランスでいて 微睡まどろみ続けたいの

命の散り顔も操れないからせめて

君との幸せを走馬灯にできるよう 生きるの


動かない感情のヤジロベエ 

いつだって揺らしてくれるのは君なんだ

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