第17話 クッキー

 日曜日の晩。

 綾音は拓斗のためにクッキーを焼いた。

 明日、月曜日に学校で渡すためだ。


 月曜日になる。

 綾音は教室に入った。


 拓斗が席に座って数人の男子たちと談笑していた。


 綾音は拓斗に近づいた。


 「おはよう、拓斗くん」


 「ああ、おはよう」


 「ねぇ、拓斗君ってクッキー好き?」


 「あ?クッキーなんか大嫌いだよ。あんなまずいものないよ、パサパサしてるし」


 「私、拓斗君のためにクッキー焼いてきたのに…」


 拓斗は綾音の悲しそうな顔を見た瞬間、申し訳無さそうな顔をした。

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