人前では見せない裏の顔を俺だけが知っている

闇野ゆかい

第1話プロローグ『知られたくない秘密』

俺と彼女はただのクラスメイトで親密に近い関係性を築けていない、と周囲には思われているはずだ。

それもそのはず、周囲に見せびらかしている表情かおからして正反対な男女フタリなのだから。


俺は陰キャぼっちなじめじめとしたオタク、彼女はクラスの中心的な立ち位置に君臨する──いわゆる陽キャな人気者の一人である。


虐げられる日陰者が、トップに君臨する人気者に反旗を翻し──といった王道展開に持っていくのだろうと、そうお思いの方がいるでしょうが、俺と彼女にそういった展開はない。


そもそも、そんな胸糞悪い展開など起こり得ない関係性の男女フタリなのだ。


中学校が同じだった、幼馴染であるといったお約束な関係でもない。ただの──同級生で、クラスメイトという関係だ。


誤解されたくないので、もう一度言おう。



俺は、彼女──新條渚と同中でも幼馴染でもなく、ただの──同級生で、クラスメイトである。


彼女が人前で見せる表情かおは偽りに過ぎず、俺と二人きりの瞬間あいだに見せる表情かおが本物であることをまだ周囲に群がる連中は知らない。



俺が知る表情かおは──。


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