続・恋のかたちを知りたくて〜現実の世界でも恋のお手伝いをしたいんです〜

エピローグ

　恋のかたちを知りたくてという乙女ゲームは、斬新さゆえに、発売前から話題となった。

　その内容も攻めたものではあったが、それが攻略キャラをより輝かせ、乙女達からの絶大な人気を得る。

　値段が高いながらも、購入者が後を絶たなかったのだが、製作者からは『ある仕掛けがしてある』と、謎のメッセージも添えられていた。

　確かに大ボリュームなのだが、なかなかその仕掛けに気付くプレイヤーはいなかった。

　しかし、２週目で名前を変えたプレイヤーが情報を共有し、瞬く間にその仕掛けが知れ渡る。

『さくら』としてゲームをスタートをすると、まるで世界の秘密を知れたような、壮大なファンタジールートに変化する。

　あまりにもあり得ない展開なのだが、それがファンタジーでもあるとして、不満の声は少ない。

　何より大病の少女を救えるのならと、必死にプレイしてくれる心優しいプレイヤーが多く存在する。

『菊花』としてゲームをスタートすると、ヒロインのライバルキャラとしてプレイできる。

　こちらの場合、手に汗握る展開の友情育成ルートに突入するため、攻略難易度がぐんと上がる。

　けれど、孤軍奮闘する少女の願いを叶えるべく、共に困難を乗り越えてくれるプレイヤーが続出した。

　これらのルートに合わせ、ナビの姿が白うさぎから、神竜や人間へと変化する。

　これにより、隠しキャラよりも攻略が難しい存在だと言われている。

　凄いよね。

　ここまで人気になるなんて、想像してなかった。

　それぐらい、面白いの！

　しかもね、シリーズ化までしてるんだよ！

　でもね、同級生からは私達の事だってバレてて。

　だけど、誰も気付かない。

　まさか本当の事がゲームになってるなんて、誰も思わないもんね。

　あ！

　知られちゃったらまずい事はゲームにしてないから大丈夫。

　それは今でも、私達だけの大切な思い出だから。

　あとね、アゼツが神様からの言葉を聞いたらしくて。

　夢かもしれないんだけど。

　だからこうして、あなたに話しかけているんだ。

　ずっと私達を見守ってくれて、ありがとうございました！

　どんなに遠く離れていても、私達は繋がっている。

　それを感じられる今が、とても幸せなんだ。

　こんな風に生きられる事は、まさに奇跡。

　いつこの奇跡が終わってしまうのか、考える事もある。

　けれど、奇跡の積み重ねの上に生きている私達だからこそ、毎日を後悔なく過ごしたい。

　だからね、毎日笑って過ごせる事だけを考えて、これからも生きていく。

　たまにね、泣きたくなる事もあるよ。

　そんな時、未来がわかっていたらって、思う事もある。

　でもやっぱり、自分の足で人生を歩けるからこそ、幸せを感じられるって思うんだ。

　だからね、私達の未来は幸せで溢れてる。

　それだけは言い切れる。

　でも、それがどんな幸せなのかは、知りたくない。

　やっぱり未来の事は、神のみぞ知る。だもんね！

【完】