ネコ氏、干支について再び囲み取材を受ける

七海けい

ネコ氏、干支について再び囲み取材を受ける


 ──ネコ氏、ネコ氏! 今年の干支は寅に決まりましたが、今のお気持ちは?


「今年のオイラは一味違うにゃ。今から重大発言をするにゃ。おめぇらみんなケモ耳かっぽじってよく聞くにゃ……」


(((記者一同、ざわつく)))


「今年から、寅年は猫年になるニャ!」


(((鳴り響くシャッター音)))


 ──ネコ氏、それは一体どういうことですか? 一昨年、ネコ氏はトラ氏についてこう言っていました。


『寅サマは同じネコ科の先輩だにゃ。ネコ界隈は自由人の集まりに見えて、本当のところは超縦社会だにゃ。先輩には頭が上がらにゃい。男は辛いにゃ』


「確かに、そんなことを言ったにゃ。でも、その発言は撤回するニャ!」


(((鳴り響くシャッター音)))


 ──ネコ氏、トラから干支の座を奪うというその発言自体、相当な勇気が必要だと思われますが、何か心境の変化があった、ということでしょうか?


「あるにゃ。ありまくりだにゃ! 例えばおめぇら。今まで、動物耳の萌えキャラと言えば『猫耳』と相場が決まっていたにゃ。ライバルと言えばせいぜい『ウサ耳』と『イヌ耳』。狐もいるが、干支ではないからライバルではないにゃ。……それが、今やどうなったにゃ? まさかまさかの『ウマ耳』が大ブームときたにゃ!! あんなのズキュン・バキュンで人気が出るに決まってるニャ!!」


 ──あー。ウ●娘のことですね?


「そうだにゃ。イノシシの野郎も鬼●の刃に混じって、猪突猛進、猪突猛進! とか連呼しているにゃ。アニメにおけるネコの地位は明らかに下がっているにゃ。妖怪●ォッチのジバニ●ンだけじゃ太刀打ちできないにゃ」


 ──しかし、ネコ氏にはサ●リオ社のキテ●ー氏という盟友がいらっしゃいます。アニメではなくても、ネコ派の有力なコンテンツは健在なのでは?


「それでも油断はできないにゃ。ファミリー受けもするゆるふわなキャラクターなら『す●っコぐらし』との競合は避けられないにゃ。あいつらはもう、真ん中ぐらしだニャ!」


 ──なるほど。ネコ氏としては、色々と後がないというわけですね。


「そうだにゃ。もう先輩だからどーだとか言えなくなってきたにゃ。……実際、トラ先輩は脇が甘いにゃ。プロ野球団と通信教材と魔法瓶を蹴散らせば、ネコ科の覇権はいただきニャ!」


 ──プロ野球団というと、阪神タ●ガースのことですか?


「もちろんだにゃ。でも、アイツはオイラが直接手を下すまでもないにゃ。新聞屋のウサギと、乳製品を売っている鳥と、名古屋の竜で徹底的に包囲してやるニャ!」


 ──名古屋の竜って、響きだけは強そうですよね。響きだけは


「おめぇ、それ以上言ったらシャチホコでぶん殴られるニャ」


 ──すみません。ところで、通信教材の方は、あまりピンとこないのですが。


「ベネ●セの『しまじろ●』のことだにゃ。あいつには『ドラゼ●』で対抗してやるにゃ」


 ──し、しかし、ネコ氏。『ド●ゼミ』は2018年度を以てサービスを終了しておりますが……


「にゃっ、ニャに!?」


 ──『ドラ●ミ』の後を引き継いだ『まな●With』というサービスでは、ドラ●もん氏に代わって江●川コナン氏が出演されているとかで……


「これ以上カドカワ系列のサイトで小●館をネタにするのはヤメにするにゃ……」


 ──すみません……。魔法瓶というのは、ずばりタ●ガー魔法瓶のことですか?


「その通りだにゃ。あれには象の印をぶつけてやるにゃ」


 ──戦場は炊飯器にも拡大するということですね。


「そういうことだにゃ」


「──おい! ネコ野郎ッ!」


 ──この声は、トラ氏! ネコ氏の前にトラ氏が現れました!

(((鳴り響くシャッター音)))


「にゃ! にゃぜトラ先輩がここに!」

「てめえ、……これを忘れていないか」


 ──今、トラ氏が、トラの仮面を被りましたっ!


「ま、まさか……、タ●ガーマスク! それは反則だにゃっ!!」

「虎の尾を踏んだ報い、受けてもらうぜ」


「にゃぁあああああああああああああああああああああああー!」


 ──以上、今年の干支について、ネコ氏のコメントでした。


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