インスタントフィクション

@hirop1111

第1話 あっちむいてホイ

あの子はじゃんけんが弱い。

というより一回も勝ったところを見たことがない。そんな君とじゃんけんをして泣かれても困るので、僕はあっちむいてホイをすることにした。

毎日…毎日…。

「あっちむいてホイ」

なぜいつも、君は僕の指差す方を向いてくれないのだ。

「あっちむいてホイ」

たまにはこっちの方向を見たらいいじゃないか。

「あっちむいてホイ」

僕が指差す方向を分かっているくせに。


なるほど、君が向く方に指を差すことにしよう。

「あっちむいてホイホイ」

後出ししたのに、あの子は笑顔になった。

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