第五話『足音と現状報告』


【???視点】


「逃げろー!敵襲だ!」


 けたたましく鳴り響く鐘の音と、誰かの叫び声で目を覚ます。

いつもしずかな夜の音は消え、かわりにザッザッという土をふむ音や、いろんな人の慌てる声が聞こえてくる。


「なんだろう……?」


 何が起きたのかわからなくて怖かったけど、とりあえずベットの上からおりて歩き出す。

外のようすが気になってこのままじゃ眠れない。


「……」


 お父さんもお母さんも、今日は村の集会に行ってて家にはいない。だから、私が家をまもらないと。


……でも、外には出ちゃいけないよと言われているので、部屋にある窓から確認することにした。


おそるおそる窓に近づいていく。



───ザッ、ザッ、ザッ、ザッ……



 あの変な音はまだ続いている。


私は隠れるようにして窓の外を覗くと、そこにはしんじられない光景がひろがっていた。


「……なにこれ?」


 ショックで後ろに倒れこむ。

今見たものがしんじられなくて、怖くて、私はいそいでベットに隠れた。



───私の見たもの、それは、とてもおそろしい光景。



 村の人たちがつぎつぎに赤くなる景色。

黒の鎧を着た十数のなにかが、倒れた村人に剣を振り上げる瞬間。


そして、その中には、私の……


私は今見たものを忘れたくて、信じたくなくて、どうしようもなく恐ろしくて、ぶるぶると震える体を抱きしめながら声を殺す。


声を上げて泣きたいと思った。

だけど、私がだめだって、声を出したら殺されるって言ったから、歯を食いしばった。


ザッザッザッという足音は消えない。


私は何もできずにただ、ベットで震える事しかできなかった。



その後、みんなの叫び声は日が昇るまで続いた。

その恐ろしい音がなくなったあとも、わたしのみみには、あのザッザッザッ……という音がこびりついて離れなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【主人公視点】


「ふんふんふーん♪ふんふふふーん♪」


 【ガスコンロ】の火を調節しながら、調理台(石)の上に乗せたヴリエの実を箸で裏返す。綺麗な焼け目が付いていて、とても美味しそうだ。


最初のうちは焦がしてしまったり、焼きが甘かったりで上手く出来なかったが、もう火魔法も慣れたものだな。

今では鼻歌を歌いながらでも作れるほどに習熟してしまったのだよ!


火魔法の制御は何となく掴めたし、そろそろ攻撃に応用してもいいかもしれないな!

技の案としては炎の球を飛ばしてみたり、炎の矢を放ったり、黒炎ダークフレイムだったり……


いや、それじゃ普通すぎるか?


……ならば、口から火吹くとかどうだろうか?

きっと見たやつ全員度肝を抜かすぞ!はっはっはっ!


そんなことを考えながら、出来上がった焼きヴリエの実を皿(石)の上に盛り付けていく。


「よし完成!じゃ、いただきまーす」


 盛り付けられたヴリエの実を口に運ぶ。

うむ!今日もよく出来ている!美味しいな!


そんな風に食事をしながら、私は今日することについて頭の中で整理していく事にした。


さて、では初めに留意事項いまのじょうきょうから……



───緑の変態との闘いから約10日が経った。



初めて故意に命を奪った、初めて生存競争に勝利したあの日。


それについても思う事や話したい事なんかがいっぱいあるのだが、とりあえずは置いておくとして。

私が変態共に勝てるとわかったあの日から、森探索の活動範囲を大きく広げることにしたのだ。


まず日課として、探索中に発見したはぐれ変態の討伐。

これは、おそらく集落の先にあるであろう人族の村に行くために、集落の戦闘力を少しでも削る目的である。


……だが、ただ殺し回っている訳では無いぞ!

少しでも素の状態での戦いになれるため、私手製の木槍で戦うようにしているのだ。


今まで殺し合いなんてしたこと無かったからな。こっちで生き残るためには慣れていかないと……!

そのために、変態共と戦いを繰り広げているわけだ。


……まぁでも、危なくなったら【手裏剣】を使って対処しているので、ちゃんと身の安全は確保してある。

私だって馬鹿ではない。その点は安心して欲しい。


死んだら元も子もないからな。保身は大事だ。


あとは、探索範囲を広めたことにより、ヴリエの実以外の色んな植物を見つけることが出来た。

その中でも個人的に重要な発見を紹介していこう!


まずはこれだ!


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       〔辛苦草〕


通称『にがり草』

主にグリム大陸の南側に分布している植物。

その瑞々みずみずしい薄緑色からは予想できないほどに独特な風味を持っており、その鼻にくる味わいは特定の人々に絶大な人気を誇っている。


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 魔物の集落周辺で見つけたこの植物。

傍からでは雑草にしか見えない植物で、私も何気なしに拾ったのだが……それが持ち帰ってみると思わぬ収穫だったのだ。


[ 研究 ]はとりあえず使わなければ詳細が確認できないので、一口齧ってみた時のあの衝撃ときたら!


鼻腔をつんざくような刺激がツーンと私を襲ったのだよ!

涙が出たね!そりゃもう涙が出た!あれは明らかに迂闊だった!


……だが、私は思ったのだ。

そう、これを使えば、あの調味料ができると踏んでいるのだよ!


日本の象徴、わさびの代用品がね!


私は食事の中でも刺身とか野菜とかさっぱりしたものを好む傾向にあるから、刺身に合うわさびはすごく好きなのだ。


物心ついた頃から刺身にはわさびをつけていてね?

サビ抜きは寿司じゃないっていう話で姉妹と小一時間口論したことがある。とにかく、それぐらい好きなのだよ。


因みに刺身には直接はつけず、醤油に溶かして刺激を味わう派閥に属している。


……まぁそれはいいとして、1番重要なのは次の植物だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

       〔アカジャの実〕


グリム大陸の各地に群生している小さな赤い実。

赤蛇教の赤蛇神が好んで食べたとされており、舌がピリつくような辛さは、赤蛇教の『いつ何時も熱く在らねばならない』という教義の元になっているらしい。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 地球に存在している胡椒の実から、水気を奪って、赤く染めたような小さい球体。

ひとたび口に含めば舌をヒリつかせる、他の味覚とは違う特別な刺激を秘めたその伝説級調味料。


うん。これはあれだ。


もう説明の時点でわかると思うが、唐辛子に成りうるものだ!


やはり自然由来のものなので、地球にあったものよりかは雑味があるのだが、如何せん調味料など無かったのでこれは本当に嬉しい。


これを見つけた日から、一日に1度はこれと併せて焼きヴリエの実を食べている。

私はお子様では無いので辛いものも苦いものもいけるのだよ!


……まぁ、ブラックコーヒーは苦すぎて呑めないけど。


そ、それは体質的なやつだからノーカンである!

きっと、私の体がカフェインを拒むのだよ!うん、多分絶対そうだ!


……話を戻そう。


このふたつの実を見つけ[研究]したことで、その内容から恐らくこの場所がグリム大陸だということがわかった。


まぁ、知ったところで何にもならないけども……


しかし、とにかくこれで食のレパートリーが増えたわけだ!


焼きヴリエの実に、焼きヴリエの実(ワサビ付き)に、焼きヴリエの実(唐辛子付き)……


うん。


ヴリエの実しかないね。




次の話に行こっか……?




よし、というわけで気持ちを切り替えて次はステータスの話だ。


ちゃんと話を聞いていればわかって貰えたと思うが、私はこの10日間大量の変態と戦ってきたので、ステータスも相当上がっている!

さっきも言った通り、槍を使ったりもしてたのだよ!

私の見立てではきっと色んなスキルが増えているはずだ!


さぁ、ご覧遊ばせ私のステータス!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

永巳 叶夢(ながみ かなむ)  性別︰女  種族︰人間


レベル︰8  MP︰75


スキル

〘研究︰8〙〘思考︰9〙〘集中︰MAX〙〘睡眠︰9〙

〘火魔法︰6〙〘創作︰3〙〘回避︰2〙〘槍術︰1〙

〘悪食︰1〙


固有スキル

〘ふとん召喚〙



スキルポイント︰16   スキル検索︰


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

         《取得可能》

精神耐性[10]記憶[10]歌唱[10]

土魔法[10]風魔法[15]



       《スキルポイント不足》

水魔法[30]殺生[50]


        《進化可能スキル》


〘集中〙⇒〘熟考強化〙・・・1ポイント


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

         〘ふとん召喚〙


MPを消費し ふとんを召喚する


消費MP︰10


ふとんポイント︰36


ねごこち︰6 射出︰7 硬度調節︰7 結界︰5



取得可能(消費ポイント)


 回復(5) 浮遊(10) 消費MP軽減(15) 走行(30) 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 いちいち出すのがめんどくさいので一気に出してみました!

手際が良くて大変偉い!私偉い!


おっとそんな事より……


ふっふっふ……!どうだお前ら!

強いだろ?強くなっているだろう!?


そうだろう、そうだろう。

なんたって、この私が寝る間も惜しんで頑張ったからな!


……ん?


どのくらい寝る間を惜しんだのかって?

……あぁ!ちゃんと毎日8時間しか寝なかった!



え?

長い……?8時間が…………?




……え?




……いや、それよりもだ!

こんなにスキルポイントもあるし、何やらスキル進化という見慣れない項目もある。


そして、ふとんポイントに至っては36もあるのだ!

これは年に一度の大強化祭を開催するしかあるまい……?


「ふふふ……どう強くするか?とりあえず進化はするよな……」


 ニヤニヤと笑い呟きながら、スキル欄の下にある進化可能スキルをなんの躊躇もせずにタッチする。


すると、なんとすぐに変化が見られた。

私のステータスに、何やら見慣れないもうひとつ欄が追加されたのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

永巳 叶夢(ながみ かなむ)  性別︰女  種族︰人間


レベル︰8  MP︰75


スキル

〘研究︰8〙〘思考︰9〙〘睡眠︰9〙

〘火魔法︰6〙〘創作︰3〙〘回避︰2〙〘槍術︰1〙

〘悪食︰1〙


2次スキル

〘熟考強化︰1〙



固有スキル

〘ふとん召喚〙



スキルポイント︰15   スキル検索︰


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 2次スキル、〘熟考強化〙……!


何が2次なんだろうか……?!


2次といえば私はしたことないが二次会……?

私は新年会は愚か同窓会にすら顔を出したことがないが、その後に行くとされる二次会というやつだろうか……?


気になるな……よし、詳しく見てみようじゃないか!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

         〘熟考強化〙


思考の深度を強化するスキル。

作業効率を上げ、思考のより深くまで到達する効果がある。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 おぉ〜?なんだなんだ?

ちょっと分からないぞこれは。


思考の深度?より深くまで到達する……?


うーんなんだろうこの感じ。


なんか久しぶりにあった友達がめちゃくちゃ変わってたみたいなこの感じ……

話がちょっと噛み合わないみたいなこの感じ……

いや多分強くなってるっぽいし、いいんだけど……


「しかしどこが2なんだ……?」


 ううむ……わからん!

単純に進化したから2なのだろうか?


1→2という単純な考え方?

そんなもんでいいのか世界の理……?


……まぁいいや!

これは2のスキル!それでOKだ!


で、とりあえず進化は完了したが……

これは余っているスキルポイントを使うか、すごい悩みどころだなぁ?


それに、このスキル取得欄にあるスキルはなんなんだ?

明らかに他と一線を隠しているスキルが……


おっと!

気になるみんなのために、もう一度スキル表を表示してあげよう!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

         《取得可能》

   精神耐性[10]記憶[10]歌唱[10]

     土魔法[10]風魔法[15]


       《スキルポイント不足》

      水魔法[30]殺生[50]

    

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ……ご覧頂けただろうか?


これを見る限り、魔法系スキルは以前と変わりがない。

以前と同じように、高いスキルポイントを要求してくる水魔法と、それ以外の魔法たちしかいない。それは一目瞭然だ。


そして、なんの効果があるか分からない耐性系のスキルや、その他諸々……一見、あまり代わり映えしていないように思える。


……しかしどうだろうか!

きちんと見てみれば、前まで無かったスキルが出てきているではないか!


そのスキルは、記憶、歌唱、そして殺生……


このスキルたちは、なぜ出てきたのだろうか?!

気になる。非常に気になる。

こんなことを見逃していては、気になりすぎて夜しか眠れないだろう!


そこで、なぜ出てきたのか少し考えてみたのだが、私はひとつの憶測にたどり着いた!


それは……自らがとった行動によって出てくるスキルがある!


……ということだ!


え?

じゃあ、なぜ歌唱なんていうスキルがあるのかって?


ふっふっふ……よく気がついたなそこの君。

目敏い君にはヴリエの実十年分を差し上げようじゃないか!


……それで、歌唱の理由なんだが。


そう、何を隠そうこの私!

料理を作る時には、何となく鼻歌を歌ってしまう癖があるのだよッ!


……とまぁ、料理の時とかすごく暇な時に、朧気ながら頭に残っていたアニメとかの歌を歌ってたのだ。

そして、その時に出てこない歌詞があったから記憶の中を探ったし、当然ながらどれだけ上手く歌えるか思考を巡らせたりして遊んでた。


……恥ずかしくないぞ?洞窟にはひとりだからな!


というわけで、このスキルが出てきたと私は思う!

まぁ殺生とやらも、生命体を殺したことで出たとしたら辻褄が合うし……


「全く、物騒なスキルだ」


 青い板に表示されている、"殺生"の二文字。


その字面に気圧されるように、私は思わず呟いた。


……しかし、それにしても殺生君。

君スキルポイント使いすぎじゃない?


明らかにヤバめな名前だし、ちょっと周りと雰囲気違うよね?

クラスでいったら転校生的ポジションだよね君?

後々になってサイコパスな一面が見えてくるタイプのヤバいやつだよね……?


だから、ちょっと見せてもらうよ?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

          〘殺生〙


敵意の無い生物を殺した者に与えられるスキル


『業に堕ちるべからず』


身体能力上昇、殺気、精神無効、《殺生戒》取得


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 うーん?


効果内容としては強い……

けど、なんかやばそう(小並感)


いや、世界の理ちゃんに"業に堕ちるべからず"言われるとか、これを取るなって言ってるようなものだろう?

殺生戒と言ったら、確か仏教のやっちゃいけないことみたいなやつだし……


しかし、そうか。

このスキルは50ポイントもするでは無く、50ポイントで取れてしまうのか。

Lvが上がりやすいからと言って意味無く生物を殺しすぎると、これを取得してしまうということだな。

別に殺さずともなにか行動をすればLvは上がったりするし、スキルはたくさん使えば強くなるし……


だが、敵意の無い生物を殺した時か。

確か、はぐれの変態を奇襲した時に戦わず逃げようとした奴がいたな……


あの時は、戸惑いなく戦ってしまっていたが……


あれは罪に値するのだな。


まぁ、変態たちも生きてるだけだもんな。

そこに、私というイリーガルな存在がやってきている訳だし……


うむ、少し殺すことに対するタガが外れかけてたようだ。


これからは気をつけよう。

殺生戒なんてものを貰うのはごめんである。

きっと、ものすごいバットステータスだ。たぶん頭とか弾け飛んだりするんだ。


しかし、50ポイントがでてきたとなると、もっと強くて取得が難しいスキルが出てくるかもしれないな?


青い板に書かれている、スキルポイントを確認する。


うーん……今あるのは15ポイントか。

あんまり強いスキルは取れない……だとすれば。


よし、貯めるか!


うんうん、それがいいな。

本当に欲しいものが出てきた時になかったら悲しくなるし……

何よりこの前、創作や槍術をスキルポイント使わずに取れたということは、安いものはすぐに取れる可能性があるだろうし!


じゃあ、そうなったら最低30ポイントは貯めておくことにしよう。そしたら取りたい時にスキルが取れるだろ!


そんなことを考えながら、ステータスを下にスクロールしていく。

さてと、スキルの裁定も終わったことだし、次はお待ちかねのふとんポイントだ!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

         〘ふとん召喚〙


MPを消費し ふとんを召喚する


消費MP︰10


ふとんポイント︰36


ねごこち︰6 射出︰7 硬度調節︰7 結界︰5



取得可能(消費ポイント)


 回復(5) 浮遊(10) 消費MP軽減(15) 走行(30) 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ふっふっふ〜!ふとんポイント圧巻の36!


今なら走行も取れるときた!

ていうか、今出てるスキル全部ポイント圏内だな。

なんでも出来てしまうじゃないか!?


私の理想である、完璧布団パーフェクトふとんを目指すため、走行を取ってしまいたいのだが……


しかし、今は生きることが優先だ!

ロマンは二の次……!


まぁとりあえず、ねごこち、射出、硬度調節をレベルMAXにしてと……


……お?


なんだこれ?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

         〘ふとん召喚〙


MPを消費し ふとんを召喚する


消費MP︰10


ふとんポイント︰26


ねごこち︰MAX 射出︰MAX 硬度調節︰MAX 結界︰5



取得可能(消費ポイント)


 回復(5) 浮遊(10) 消費MP軽減(15) 走行(30) 


進化可能(消費ポイント)


ねごこち ⇒ 疲労軽減 (5)


射出 ⇒ ホーミング (5)


硬度調節 ⇒ 材質変化 (5)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おぉ……!」


 これは、さっきのあれだな?!


2次になるやつだな?!

しかし、5ポイント……いや、だが、、、


「ええい!ままよ!」


 私はワクワクした勢いのまま、進化の表示を押した!


……3つとも!


「……やってしまった!

勢いでたくさん使ってしまった!


いや、しかし強くなるんだ。これは仕方の無いことなんだ!」


 そんな風に謎の言い訳を虚空に話しながら、進化したスキルの詳細を調べていく。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

疲労軽減


ふとんの半径Lv,kmにいる間疲労を軽減する。

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ホーミング


ふとんが狙った対象に自動追従する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

材質変化


ふとんの材質を変化できる。

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 おぉ〜!

すごい……のだろう!

なんというか、材質まで変わってしまったら、それはもうふとんなのかという疑問も出てくるが、まぁいいだろう!


きっと、自分がふとんだと思えばそれはふとんなのだよ?

偉い学者もたぶん絶対そう言ってた!


しかし、ホーミングか……!

自動追従するとかすごい嬉しいんだが?

布団手裏剣を使った時に、一度狙いを外して危うく殴られかけたことがあったので、対策を練らねばと思っていたのだ。


それが無くなるのはでかいな!

疲労軽減というやつも地味に嬉しいし!私体力ないからな!


「うむ!僥倖僥倖!」


 あとの残ったポイントはどうしようか?


うーん……残しとくか!

突然必要になったら困るしな!


必要になった時に振り分けられたら助かるし、今は欲しいものもあんまりないし!


ポイントは減ることもないしいいだろ。よし。決定!



───という訳で、私は一通りの準備を済ませ今日の行動を開始するのだった。



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