第42話 デワルズ討伐 計画と準備
バーベキューからおよそ二週間後。
その間、ティナ、カノメス、テルユキ、ゲットーオスメ達が毎日忙しく屋敷を出入りをしていた。
ノーデスがロスフォン・ウッドとカラチョム・タキシカンを連れて屋敷に戻っていた。
ノーデスの屋敷の食堂。夕食を終えて。
カノメスも食事に参加していた。
「みなに伝える明日の昼食後、ここで主要人物により会議を行う。主要人物はすでにこの用紙に記載しているので後で見て欲しい。席順は恒例で構わん。こちらに居ない者はすまないが、バト頼む」
「畏まりました」
全員が頭を下げた。
翌日の昼食後。
食堂に一同が会した。一番奥からティナ、カノメス、スピランス、ミルル、テルユキ、アイエ、ドルホ、ラミル、ライト。
テーブルを挟んで、ノーデス、ロスフォン、カラチョム、エルモア、ヤルトス、イテリス、フラポット、ゲットーオスメそしてシャルガット。
バトスメルはティナの後ろで立っている。
ドルホは椅子を二つ使っている。
「すでに皆にはこの二週間色々動いてもらった。いよいよデワルズとその仲間を地獄へと誘ってやる。我が知る限りの悪事を働き、この大陸に混乱を巻き起こした悪の根源。それをここで打ち滅ぼす」
「おお」
集まった全員が雄たけびを上げた。
「まずはシャルガット。最新報告を」
「はっ。ヴィヴィアンズはすでに捕らえました。ヴィヴィアンズの子飼いたちは今、入り口の城壁門の前の急ごしらえの村に集結中です。もう三日もすれば大陸中から集まる予定です」
「次にドルホ」
「はっ。入り口の城壁前の村に集結中の子飼いの半分はすでに処刑を終えています。奴ら自体が他の顔を知らないので仕事が楽です」
「フラポット」
「はい。デワルズは東の町、ワストンから取り巻き兵千人程度と大陸北中央のイエローロックへ進軍中あと一週間程度で着くと思われます。こちらの策に乗り女王ティナ陛下を捕らえるべく目的地は妖精族の森。今現在はこちらの動きには気づいていない模様。兵士の成りは殆どが冒険者風情。ランクB級以下。取り立てての強者はカジルダット。後は周辺の数人です。転移魔法が使える者は確認できず。連絡水晶も無く隠し玉も居ない模様。ただ戦闘開始前後に悪魔の粉を使用する模様。潜らせている間諜からの報告」
「ノーデス」
「シーウエスト、ウッド、タキシカンの警備隊総勢八百が三方に分かれてイエローロックを取り囲むように一日程度の所に向かい待機の予定。現在、進軍中予定地まで三日の距離におります」
「ゲットーオスメ」
「イエローロック周辺の村落の住人達は他の場所へ避難完了。私の隊の兵三十名が先鋒隊としてすでに西側一日の距離に陣営済み」
「テルユキ」
「イエローロックの東側の平原に地雷原を設置完了。戦闘地域を千五百メートル四方に絞ります。戦闘開始とともに魔法解除で起爆します。その数およそ五百。一発で一人以上の爆死効果。突撃の際は起爆封印します。また敵の後退を防ぐため東側には対水風魔法と火魔法の術師を多数待機。側方面も対処可能です」
「バトスメル」
「食料などの兵站はすでに分配完了。各隊が各々移動中。後方支援も随時投入準備も完了です。私はこの屋敷に残り支援物資担当です」
「カノメス」
「私とシーウエスト隊。スピランスとタキシカン隊。エルモア様はゲットーオスメ隊。テルユキはウッド隊の各隊長。全員テルユキ開発の連絡水晶にて常時通信可能。
後方支援としてノーデス様、ロスフォン様、カラチョム様が各々の隊後方で支援指示。ミルルはメデス様と戦場医療隊。怪我人の位置確認はハルミットと部下二名。
怪我人の搬送はキャリアド。医療隊の護衛にラミル様ライト様が付きます」
「我からだ。フラポットの報告にもあったように、あ奴の目的は我だ。エルラルの痺れ薬と、リアティナの件で妖精族の森に帰った事にした。故に今回のデワルズの討伐には直接参加できん。しかし、我は後方よりお主達の勇姿を応援している。後詰も用意されている。取り逃がしたとしても、我達が地獄の果てまで追いかけて必ず処刑する。絶対に深追いや無理をするな。厳命だ。良いな」
「御意」
「テルユキ。戦況予測と注意事項」
「東西南北の四方からの突然の同時攻撃と地雷原突入による混乱。戦力比は同等。大半が冒険者上がりなので魔獣相手や魔物狩り程度と推測されます。また過去においてこのような大規模戦闘は全くなかったので、相手は戦略無しの突撃敢行だけと思われます。よって攻撃目標を絞れないまま混乱し殲滅できると思います。しかし、これは戦争。何か小さな弾みで形勢が逆転します。必ずどのような状態でも連携と指示の間違いがない事。また功を焦って個人プレーに絶対走らないことなどが必勝条件となります。この部分はノーデス様達が隊に重々言い聞かせてください。あとはお日様が味方になってくれることのみです」
「以上だな。質問は?」
「ドルホです。俺 すいません。私もイエローロックに行きたいのだが ですが」
「ドルホ。お前の仕事は村の掃除だ。しかも城壁を守ってもらわねばならん」
ティナが困った顔をしてテルユキを見た。
「ティナ陛下。ドルホ様はデワルズの顔をご存じなのでしょうか?」
「ああ知っている。ラミルもライトもな」
「ではドルホ様ラミル様ライト様にデワルズ討伐をしていただくと言う事で」
「ほうほう。策は」
ティナが聞き入った。
「ドルホ様もラミル様達とまずはミルルの戦場医療隊の護衛に付いてもらいます、戦闘開始後、頃合いを見て私がデワルズの位置を知らせます。お三方で一気に出て頂き雑兵には目もくれずデワルズの周りに居るB級を叩いてもらい、その後は流れでデワルズを打ち取る。そのころになれば戦場医療隊は一般兵で十分のはずです。入り口の城壁前の村はヤルトス様、イテリス様、エルラルさんでどうでしょうか?」
「なるほど。村には三下ばかりが集まるから、その三人の練習台になってもらう。三人とも顔見知りだしな。村にはすでに我の兵がおるからな、ドルホどうだ?」
「いやぁ話がわかるテルユキ様よ。ほんと神様だねぇ。ティナ陛下、村の隊長を勉強がてらヤルスでどうです?ボイズは城壁に残したい」
「うむ。問題ないぞ。これでお主が奴を打てば本懐だな」
「ティナ陛下、ドルホ様が個人的な恨みでも?」
ティナはドルホを見た。
「ああテルユキ様、昔あいつが森に侵入してきたとき、俺がまだ若くてぴちぴちのころ、この美乳を揉んで美ケツをただで触りやがったんだ。付けの払いで股間蹴り上げて首を落としてやる」
食堂内がむせぶような苦しい雰囲気に包まれた。
「ドルホあのさ、今回のデワルズってあなたが目的なんじゃない?もう結婚してあげたら?」
「ラミル。お前かもしれんぞ、もしくはライトか?ほっそいのがいいとも言ってたしな特にライトみたいに起伏のない奴とか」
「ちょぉぉぉぉと。ドルホ。何であたしに振るかなぁぁぁぁぁ」
ミルルがマントで全身を隠した。
「おいおい会議中だ。私語は慎め」
ドルホとラミルが下を向き。
「申し訳ございません」
「テルユキ。今の提案でいいか?ヤルトス、イテリスはどうだ特にノーデスとエルモア」
「御意に」
「よし。そっちは決まりだな。他に質問は」
「アイエです。現状、森の警備ですが他にお手伝いできることは?」
「今はありません。全力で森でティナ陛下とリアティナ様をお守りください」
「テルユキ、提案だが我は館ではダメか?」
「万が一、前回のようなゴブリン襲撃もあり得るので、ティナ陛下の全力が確実に出せる森でお願いいたします」
「そうだな。そうしよう。アイエ良いか」
「畏まりました」
「アイエ確認だが、現状森の兵力は?」
「はい。私、アル、ミラ、テトの主要四名他に高兵二十名、中兵二十名の予定です。館の方はキラ、ミナ、アス、ホス、アミ他総勢三十人が北方警戒に当たります。一応言いますと入口の城壁には先程のボイズを隊長に軽装兵、弓兵合わせて百人が詰めています」
「わかった。問題無かろう。他に質問は?」
テルユキが手を挙げた。
「テルユキ」
「これより先、連絡は密にして、聞き漏らしや報告漏れが無いように。また、思い出したことがあればいつでもカノメスや僕に言ってください」
ティナが全員の顔を見渡し
「質問や確認事項は無いか?」
「エルモアです。ゲットーオスメと先鋒を務めますが久しぶりの戦闘と初めての団体共闘作戦なので、できればもう少し詳細を願いたいのです」
「そうだな。その前に一旦休憩にしよう」
「了解」
「ミルル。一緒に来てくれ。リアティナに食事を与える」
「畏まりました」
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