第14話 流れゴブリン討伐準備
館と入口の城壁の中間地点。ゴブリンたちが崖を降りてきている。館側の崖下へアルたちが到着した。ここまで浮遊兵にアル達十数名の上空をゴブリンたちの矢届かないところで崖側を監視ししてもらいながら、崖伝いにここまで来た。
崖を降りてきているゴブリンたちは浮遊兵に気を取られ崖下のアル達には気が付いていないようだ。
「一旦止まれ」
アルが右手を挙げて後方に合図した。先頭からアル、テト、ミラの順で後方には軽装兵が十人続いている。
アルは手招きでミラの後ろの兵アミを自分の横へ呼び出した。
「浮遊兵と連携しながらゴブリンが見えるところまで行ったら、入口の城壁までのおよその距離を見て一旦戻って来い」
うなずくと崖伝いに走っていった。それと同時に浮遊兵も動き出した。
今のうちに水分補給の指示を出した。
しばらくして先を見に行ったアミが戻ってきた。
「およそ三百メートル先の崖をゴブリンたちが下りてきています。最下部は地上までおよそ百メートル浮遊兵からおよそニ十体とジェスチャーあり。ここから入り口の城壁までおよそ一キロ半」
「アミご苦労。少し休め」
「はっ」
アルは崖を背にして、日ごろ入り口の城壁から館まで向かう幅一キロほどの平らな山道の方に左腕を出し。
「テト、ミラ、ホス一旦北方面この角度で二百メートル進んでそこから入り口の城壁へ向ってくれ。ここから入り口の城壁までおよそ一キロ半。幸運をいのる」
ミラがアルに向かって。
「アルも無事で。行ってきます」
アルは後方に向かって。
「あと百五十進む、アミ、先頭で行ってくれ。頭上の落石に注意しながら前に出るぞ」
アルたちの位置からテト達が入り口の城壁へ向って全速で疾風のごとく走っていくのが見えた。
テト達が城壁に着くとすでに連絡水晶で受けたテルユキの作戦内容の準備が整っていた。
アルたちの方へ向かう新人弓兵全員とその半数の手練れの弓兵。大量の矢。新人軽装兵十人と熟練兵を十人を準備していた。
「側仕えのミラとテトです。彼女はホス土魔法の術師です。こちらの隊長はどなたですか?」
「私だ」
周りの兵達よりも全体的に一回り大きいというよりはでかい妖精がミラの前に出てきた。
「大剣使いのドルホ様でしたか。すでにアルたちは所定の位置で待機中。十分程度で手前の浮遊兵のところまで行けます。停止位置はその浮遊兵と確認してください。
あとこちらのホスと、アルの元に居るアスがこの形で城壁を作ります」
テトが紙をドルホに渡した。
「ミラ様たちはどう動くんだ」
「新作戦が追加されたので、私とテトはここから一旦南下、そこからこの崖を登って崖の上部に残っていると思われるゴブリンを殲滅します。この作戦に合う兵を五人貸していただけませんか?」
「良し判った。ラミルお前この新人のお守を頼むわ。俺はミラ様達と行く。おい弓っ子ライトそれでいいな」
「良いも悪いも決定でしょ」
ライトがすねながら言った。
ラミルがドルホに向かって。
「私、上がいいんですけどぉぉぉドルホ」
「あぁダメだ。そんな棒きっれみたいなお前には荷が重いわ。ここら辺の地形はお前より詳しいからな、十五分しない内に上からこのお手てを振ってやるわ」
「はいはいわかりました。暴れたいだけでしょ」
ラミルがドルホから紙を引き取って振り返った。
「じゃぁみなさぁぁん。水袋と簡易食は持ちましたかぁぁぁ。行きますよぉぉ。遅れないで、ちゃぁぁぁんと付いてくださいねぇぇぇぇ。しゅっぱぁぁぁぁつ」
ラミルとライトが兵達を引連れて出口に向かった。
ドルホはラミル達を後方から見送った。
「この作戦内容なら一人減っても問題ないな。ポイズ城壁を任せた」
「あいよ。任された」
崖の上。ドルホに案内を頼んだミラとテト。城壁の兵五人が到達していた。
「ドルホ様の言った通り十五分でここまで来れましたね」
テトが感心した。それに対しドルホが。
「ミラ様、テト様も大概だね。この俺に余裕で付いて来て、息切れもしてねぇ。対してあいつら五人ときたら。おっせいなぁ。帰ったら訓練増し増しにしてやっから覚えとけ」
息が上がった五人はへたへたと座り込んでしまった。
「たったくしょうがねいな。これから戦闘だぞ。大丈夫かこいつら」
崖下を伺っていたミラが。
「城壁が出来上がってますね」
「おおそうか。あの半円状の城壁の中にゴブリン達が吸い込まれて行くんだな?」
ドルホが覗きこんで感心している。そしてドルホが城壁内に新人と一緒に居るラミルに。
「おぉぉぉい。ラミルぅぅぅ。元気にやってるかぁぁぁ」
と手を振りながらでかい声をだした。
下でラミルが
「開始二分前」
と言ってプイと横を見た。その横に新人兵十人とその後列に熟練兵八人が立っていた。
「がんばれよぉぉぉ」
ドルホは下を向いて両手を振って笑っている。
座り込んでいた一人が右腕を伸ばし。
「ドルホ様。この先十時から一時方向敵です。距離二百。七体。弓無し」
「お前ら五人は休んでいろ。ミラ様とテト様はこいつらの面倒見てやってくれますか?」
「はぁ。解りました」
ミラとテトはあっけにとられながら返事した。
すでにドルホの姿は無く、声だけが響いて来た。
「追加が出たら大声で叫べ」
もう既に二体を仕留めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます