435_「正しい情報を集めたら最善な判断ができる」は間違っている! #決断 #情報

「実は一浪しているアルベルト・アインシュタインは『情報は知識にあらず』と言いました。シンプルながら真理ですね。情報はただの言葉の羅列です。加工して初めて意味があります」


「やっほー、役立つ知識を伝える世界一の美女サクラです! 今回は『「正しい情報を集めたら最善な判断ができる」は間違っている!』です。よろしくお願いします」


「読者様はよりよい判断を下すために情報を集めることがあると思います」


「しかし、その情報で本当に最善の判断ができましたか?」


「実は、情報というのは多ければ多いほうがいい、ということはありません」


「大は小を兼ねると言いますが、情報が多すぎると誤った判断をすることがあるのです」


「今回は、追加の情報を与えられると、人は判断を間違ってしまう、というお話をしたいと思います」


「参考文献はアメリカのスティーブンス工科大学の研究となります」


「研究者は、参加者1718人に問題を出しました。読者様も挑戦してください」


「ジェーンは大学に入学したばかりです。授業や課外活動で忙しく過ごしています。大学の新入生は最初の一年で15ポンド(6.8kg)体重が増えると言われています。ジェーンは友達と遊んだり、宿題や勉強をこなしながら体重を維持したいと考えています」


「ジェーンが目標を達成するために必要なことは何ですか? 以下から一つ選びなさい」


「A.毎週末30分のウォーキングをする」


「B.健康的な食生活を続ける」


「C.友達との交流を避ける」


「D.テレビを見る時間を減らす」


「という問題が出題されました」


「そして、参加者を3つのグループに分けました」


「一つ目のグループは、特に追加の情報はなし。問題を読んで答えます」


「二つ目のグループは、体重を維持するガイダンスが記載されているテキストを渡されました。問題以外に文字を読んで追加の情報を得ました」


「内容としては、体重を維持するには、健康的な食生活と30分以上の運動を週に3回するといいです。また、友達との社交はアルコールの量が増えるので、体重の維持には向きません。というもの」


「三つ目のグループは、体重を維持する方法を図で見ました。二つ目のグループの情報を絵に落とし込んだ形になります。絵を見て追加の情報を得ました」


「そして、それぞれのグループの正解率を算出しました」


「読者様はどのグループが正答率が高かったと思いますか?」


「追加の情報がないグループ?」


「それとも、追加の情報があるグループ? だとして、文字と絵のどちらに軍配が上がる?」


「はたして結果はどうなったのでしょうか?」


「実験の結果、正解率が一番高かったのはーー」


「追加情報のないグループでした!」


「ガイダンスの内容が間違っていたのではありません。人は正しい情報を得ても、必ずしも正解に導けるとは限らないのです」


「むしろ、正解率が下がるので追加情報はマイナスでさえあります。追加情報に惑わされてしまったのです」


「それぞれの正解率がどのくらいだったのかと言いますと、何も追加情報がなかったグループが88.8%。文字で追加情報を得たグループが82.7%。図を見たグループが80.1%でした」


「明らかに追加の情報に惑わされているのが見て取れます」


「あっ、ちなみに正解はBです。健康的な食生活が体重維持には大事です」


「一見Aも正解のように思えますが、回数が足りないです。ウォーキングをするなら週に3回は必要です。週末だけでは足りません」


「研究者は、どうして追加情報を得ると間違った選択をしてしまうのか確認するため、追加の実験をしています」


「参加者は590人、糖尿病に関する問題を出されました。内容としては、先程の実験と同じです」


「ただし、参加者には糖尿病になったことがあるのか追加で聞かれました」


「その結果、糖尿病になったことがない人が追加の情報がない場合、正解率は69.9%でした」


「ですが、追加情報を得た場合の正解率は86.6%でした」


「一方で、糖尿病になったことがある人が追加の情報がない場合は61.5%で、追加情報を得た場合の正解率は50%でした」


「つまり、自分が経験したことがあることで追加の情報を得た場合に、間違った判断をしてしまうことが示唆されました」


「先の実験では誰しもが体重の維持に悩んだことがあります。そのため、追加情報と自分の経験と比べてしまい、誤った判断をしました」


「しかし、糖尿病になったことがない人が追加情報を得ると、シンプルに知識が増えます。その結果、よりよい判断ができるようになったのです」


「要するに、人は正しい情報より、自分の経験を優先しちゃうのです」


「そのため、時として、追加情報は害悪となるのです」


「読者様も、今までに何度も経験したことなら、新しい情報は求めずにすぐに判断しましょう。しかし、初めて触れる情報や、知識が浅い分野では貪欲に情報を求めましょう。そうすれば、最善の判断ができることでしょう」


「誤った判断をしないように情報の取捨選択を心がけましょう、という感じで今回のまとめです」


「研究者は体重維持に関する問題を出したよ」


「その結果、問題以外に追加の情報があると間違った判断を下すようになったよ」


「どうやら人には、自分の経験を元に判断しちゃう癖があるみたい。自分が今まで経験したことで判断をする場合は、追加の情報は邪魔みたい」


「でも、初めて触れる情報の場合は、何もないから追加の情報でよりよい判断ができるみたい」


「読者様も時と場合によって、情報の取捨選択をしてね」


「一つ一つの判断ミスは小さいですが、何度も間違っていると大きなミスに繋がります」


「損をしないためにも、判断を間違えないようにしましょう」


「ということで、今回は『「正しい情報を集めたら最善な判断ができる」は間違っている!』でした。知識の足しになれば幸いです」


「ありがとうございました。高評価、コメント、リクエスト、お願いします」


「次回の『会社で必要とされる人材は「能力」か「人柄」か?』で、会おうね! 目指せ、知識の完全制覇。バイバイ」



参考文献

How causal information affects decisions

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