327_VR酔いを軽減させる簡単な方法 #VR #気分

「ルネサンス期のフランスの哲学者ミシェル・ド・モンテーニュは著書の『エセー』にて『もしも誰か自分より下を見て、自分の知識に酔っている者があるなら、目を上げて過去の幾世紀を見るがよい。彼はそこに彼を足下に踏みにじる何千という精神を見いだして、角を垂れるであろう』と記しています。人を下に見ていると、自分も下に見られます」


「やっほー、人生の悩みが解消しているに違いない読者様。知ってて損のない知識を配達している世界一の美女サクラです! 今回は『VR酔いを軽減させる簡単な方法』のお話です」


「では、よろしくお願いします」


「読者様はゲームが好きですか? ゲームの中でも特に、VRゲームはプレイしますか?」


「VRゲームはまるで自分がゲームの中に入っているような没入感をか感じることができます。とても楽しいものです」


「しかし、VRゲームには弱点があります」


「それは、酔いです」


「テレビ画面でプレイするゲームに比べて、VRで酔ってしまう人が大勢います」


「大変楽しいVRゲームですが、体質の問題でプレイできていない人もいるのでしょう。今回はそんな読者様のためにVR酔い対策を持ってきました」


「『VRは酔うから、やらない』という読者様の手助けができれば幸いです」


「今回の研究はドイツの研究チームが調べてくれました」


「研究者は77人を健康な人を対象に、VRゲームをプレイしてもらいました」


「ゲームはヘリコプターを操縦するシミュレーションゲームです」


「上空でヘリコプターが上下左右に揺れ、画面がグルグルするので、酔いやすい体質の人には大変厳しいゲームでしょう」


「ですが、プレイの際にあるものを与えた所、VR酔いが和らぐことが判明しました」


「さて、読者様は被験者に何を与えたと思いますか?」


「ゲームをプレイ中に何をすれば、VR酔いが軽減されるのでしょうか?」


「目と耳はゲームで塞がれているので、空いている鼻にアプローチするため、リラックスできるアロマでも焚いたのでしょうか」


「それとも、VRから気を逸らすために、体でも触ったのでしょうか?」


「では、正解発表です」


「研究者が与えたものとは…………ガムでした!」


「被験者にチューインガムを与えて、プレイ中にガムを噛んでもらいました」


「被験者には定期的に気分を報告してもらうのですが、ガムを噛んでいるグループはVR酔いのレベルが有意に低かったのです」


「ガムには酔い止め効果があるのです」


「VRゲームがしたいけど、VR酔いに悩まされている読者様はガムを噛んでみてください。気分よくプレイできるかもしれません」


「え? 『今すぐガムを買ってくるぜ』ですか。それは少しまってください。ガム選びのポイントを話していません」


「今回の研究では様々な種類のガムを噛んでもらいました」


「その結果ですね、どのガムでもVR酔いを和らげる効果が確認されました」


「しかし、軽減効果には差がありました」


「被験者がガムを美味しいと感じるほど、VR酔いを和らげる効果が高かったのです」


「つまり、ガム選びのポイントは自分の好きな味のもの、ということです」


「わざわざ眠気覚ましのスースーするガムは買わなくていいのです。美味しいガムを買えばいいのです」


「美味しいガムを噛めて、さらにVRゲームも楽しくプレイできる。まさに一石二鳥です」


「どうしてガムでVR酔いが軽減されるのか、研究チームは4つの仮説を立てています」


「前庭器官への刺激、有効成分による生理学反応、注意変化による気晴らし、美味しいものによるポジティブ感情の発露、の4つです」


「それぞれを軽く説明します」


「前庭器官への刺激とは、前庭器官とは重力と直線加速度を司る感覚器官です。要するに平衡感覚のことです」


「VR酔いや乗り物酔いは、目から入ってくる情報と体の動きに齟齬が出るため起こると考えられています。目からの情報では体が動いているのに、実際の体はまったく動いていない。この矛盾によって脳が混乱してしまうのです」


「ですが、ガムを噛むと平衡感覚が刺激され、目からの情報と体のリンクが分断されます」


「そのため、齟齬が減ったことで酔いも少なくなった、という考えです」


「有効成分による生理学反応とは、ガムに含まれている成分に何かしらの酔い止め効果がある、という考えです。ちなみに乗り物酔いには生姜が効くそうで」


「注意変化による気晴らしとは、ガムを噛むことで意識がVRとガムの二つに分散します。いい感じにVR酔いを忘れさせてくれた、と考えられます」


「ガムを噛む行為は、ゲームのプレイを妨げませんが、程ほどに意識を傾けさせます。この程ほどが効果的だったのでしょう」


「刺激が弱いと意識が分散しません。刺激が強すぎるとゲームがプレイできなくなります。ちょうどいいのがガムのようです」


「美味しいものによるポジティブ感情の発露とは、人は美味しいものを食べると幸せになります」


「ガムの美味しさで幸せを感じて、ポジティブな気分になります。その気分がVR酔いの気持ち悪さを上回ってくれた、という考えです」


「まあ、詳しいメカニズムは不明ですが、とにかく酔いやすい人はガムを噛みましょう」


「ガムを購入した所で手痛い出費にはなりません。一度試すくらいなら問題ないでしょう」


「試さないと使える知識かどうか判明しませんよ、という所で今回のまとめです」


「健康な人を集めて、VRでヘリコプターのシミュレーションゲームをしてもらったよ」


「ゲームの際にガムを噛んでもらったら、VR酔いが軽減されることが判明したよ」


「特に、ガムを美味しいと感じているほど、酔いを軽減する効果が高かったよ」


「読者様もVRが苦手なら、ガムを噛みながらプレイしたらいいよ」


「これからどんどんVRゲームは開発されるに違いありません。VRゲームを楽しむためにも、ガムを準備しておきましょう」


「今後、VR酔いに特化したガムが販売されるかもしれませんね」


「ちなみに私は、VRでは一切酔わない体質です。なので、ガムを噛んでも効果は確認できませんでした。てへっ」


「生まれながらの体質を変えることは難しいです。しかし、受け入れたり、和らげたりすることは可能です」


「体質だからと諦める必要はありません。知識で体質に打ち勝ちましょう」


「ということで、今回は『VR酔いを軽減させる簡単な方法』のお話でした。読者様の人生の潤いになれば嬉しいです」


「最後まで、ありがとうございました。高評価、コメント、お願いします」


「読者様の『あれが知りたい』というリクエストも受け付けてます!」


「次回の『大きなロゴが入ったシャツを着ている男性はモテない』で、会いましょう!」


「もしくは、読者様が気になるお話でもいいですよ。目指せ、知識の宝物殿。バイバイ」



参考文献

Chewing gum reduces visually induced motion sickness

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