250_記憶力をアップさせる呼吸法 #記憶 #五感
「イギリスの詩人アレクサンダー・ポープは『人間は初めて呼吸した瞬間に死ぬべき素質を受け取るのだ』と述べています。悲しいですが、人は死に向かって、人生を進めているのです」
「やっほー、人生負け組の読者様。読まないと人生損する知識を提供する世界一の美女サクラです! 今回は『記憶力をアップさせる呼吸法』のお話をしたいと思います」
「では、よろしくお願いします」
「読者様は記憶力に自信がありますか?」
「勉強したことを忘れずに覚えておけますか?」
「え? 『すぐに忘れちまう』ですか。安心してください」
「今回はお手軽に記憶力をアップさせる方法を持ってきました」
「読者様は呼吸をしますよね?」
「もしここで、ノーと答えられた読者様がいましたら、ごめんなさい。今回お話しするのは、ある特定の方法で呼吸をすると記憶力がアップするのです」
「ですので、呼吸をしていない読者様には今回のお話は無駄となります。別の方法で頑張ってください」
「ということで、今回は、スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究を参考にお話しさせていただきます」
「研究者は18歳~25歳の健康な若者を24人集めました。男女比は半々です」
「また、対照群として、19歳~49歳までの健康な成人も24人集めています」
「で、どのような実験をしたかと言いますと、匂いを嗅いでもらいました」
「異なる匂いを12種類嗅いでもらい、匂いを覚えてもらいました」
「そして、1時間ほど安静に過ごしてもらいました。この時に呼吸方法を変えて過ごしてもらったのです」
「実験のグループでは、鼻呼吸で過ごしてもらいました。対照群は口呼吸でした」
「それぞれ、口をテープで、鼻をクリップで固定して、口呼吸もしくは鼻呼吸しかできない状態にしました」
「研究者は、鼻呼吸をしていると記憶力が強化されるのではないか? と考えたのです」
「面白いですよね。鼻か口か、違いはそれだけです。こんなことで本当に記憶力がアップするのでしょうか?」
「1時間の休憩が終わりましたら、もう一度匂いを嗅いでもらいました」
「その際、最初に嗅いだ12種類の匂いにプラスして、別の12種類の匂いも追加しました」
「嗅いでいる匂いが以前にも嗅いだことがある匂いなのか、それとも新しい匂いなのか確認するテストを行いました」
「鼻呼吸で記憶力が強化されるから、鼻呼吸したグループの方が成績がよくなる……はずです」
「さて、読者様はどう思いますか? 休憩中に口呼吸をするか、鼻呼吸をするかで、記憶力に違いが出ると思いますか?」
「違いが出るなら、どちらのグループが優秀なのでしょうね?」
「それとも、呼吸を変えたくらいで記憶力がアップするはずがない! と否定しますか?」
「結果は…………鼻呼吸グループの勝利でした!」
「休憩中に鼻呼吸で過ごしていたグループのほうが匂いを抜群に記憶していたのです」
「面白い……いえ、不思議ですよね。口から鼻に変えるだけで記憶力をアップさせるなんて」
「読者様も勉強をした後などは意識して鼻呼吸をしましょう。普段より、記憶がよくなるでしょう」
「鋭い読者様なら、『鼻呼吸と口呼吸で休憩に違いが出たのではないか?』なんて考えるかもしれません」
「より、休まることで記憶力が強化された、と考えることができます」
「しかしですね、休憩中の両方のグループの被験者を観察した所、注意力に差はありませんでした。動機付け、気晴らしなども差はありませんでした」
「両方のグループで休憩中のリラックス具合に差はなかったのです」
「鼻呼吸だから、口呼吸だから、より休めた、ということはありませんでした」
「鼻呼吸でも、口呼吸でも等しく休めていました」
「では一体、どうして鼻呼吸と口呼吸で記憶力に差が出たのかといいますと…………不明です」
「残念ながら、研究者も鼻呼吸がどのように記憶に影響を与えているのか分からない、と答えています」
「詳しいメカニズムを調べるのは研究者に任せて、私たちは鼻呼吸で記憶が強化できることだけ覚えておきましょう」
「メカニズムを知ることは大事ですが、本当に大事なのは使える知識を有効活用することです」
「分からないことを考えるのは時間の無駄です。効率よく人生を過ごすために、使える部分を使えばいいのです」
「車の免許を持っていれば、車を運転できます。ですが、車の細かい仕組みを理解しているわけではありません」
「人は、理解していないものを案外使っているんだよ、という所で今回のまとめです」
「健康な成人を集めて匂いを嗅いでもらったよ」
「その後に、鼻呼吸をしてもらいながら休憩してもらったよ」
「すると、匂いに関する記憶力がアップしていたよ」
「鼻呼吸には記憶力をアップさせる効果があるみたいだよ」
「読者様も記憶力に自信がないなら、鼻呼吸をしてみようね」
「ただ問題があるとすれば、多くの人が既に鼻呼吸を実践しているということです」
「口呼吸から鼻呼吸に変えれば記憶力アップの恩恵を受けれます。既に鼻呼吸をしている人にはあまりメリットがありません」
「それに匂い以外の記憶に関しても強化されるのか不明です。匂いと呼吸が結び付いているだけで、他の記憶に関しては意味がない可能性もあります」
「これらは詳しいメカニズムが分かっていない弊害ですね」
「まあ、簡単に試せますので、一度試してみればいいのです。効果がなければ止めればいいのです」
「とにかく、試さなければ効果があるかなんて分かりませんから」
「読者様の中に、鼻呼吸が相性ぴったりな人がいるかもしれませんから」
「ということで、今回は『記憶力をアップさせる呼吸法』のお話でした。読者様の参考になれば、私はとても嬉しいです」
「最後までお付き合いいただきまして、本当にありがとうございます。高評価や応援コメントはどんどんお願いします。質問やリクエストも待ってまーす」
「それでは、次回の『あることを考えると記憶力が13%も落ちてしまう』で、またお会いしましょう。バイバーイ」
参考文献
Respiration Modulates Olfactory Memory Consolidation in Humans
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