199_どうして「知らんぷり」するのですか? #ビジネス #言葉

「イギリスのロマン主義の詩人ウィリアム・クーパーは『知識は非常にたくさん知っていると誇り、知恵はなんにも知らないとへりくだる』と述べています。知識は使ってこそ意味があります。誇るものではありません」


「やっほー、賢明なる読者様。読むと人生が変わる知識を提供する世界一の美女サクラです! 今回は『どうして「知らんぷり」するのですか?』のお話をしたいと思います」


「では、よろしくお願いします」


「読者様は職場で同僚に何かを分からないことを聞くことがあると思います。ですが、相手が明らかに知っているのに、知らんぷりされた経験はありませんか?」


「明らかに知っているであろうに、知らない振りをされて、困った経験はありませんか?」


「同時に『どうしてこんな意地悪をされるのだろう』とも思いませんか?」


「普通に考えて、職場では連携したほうが仕事がスムーズに進みます。早く終わらせるためにも、知らんぷりして得なことはありません。何より人間関係に罅が入ります」


「ですが、時として人は知らんぷりをするのです」


「ということで、今回はどうして人は知らんぷりをするのか? についてお話しします」


「今回、研究をしてくれたのはドイツのロイファナ大学リューネブルクです」


「研究者は、様々な仕事をしている101人を集めて調査を行いました。女性の割合が65.3%、平均年齢38.6歳、平均職歴12年、週の平均労働時間は38.5時間、同僚の平均人数は6.3人でした」


「参加者の職業は、会計士、事務員、エンジニア、医者、教師、など多岐に渡っています」


「集めた人に何をしてもらったのかと言いますと、10営業日に渡って、朝と夕方にアンケートに回答してもらいました」


「朝のアンケートでは、その日のネガティブ具合を調査しました。夕方のアンケートでは、対人関係のストレス、仕事のプレッシャー、知らんぷりをしたかどうかを調査しました」


「つまるところ研究者は、朝の気分が仕事に影響するのではないか? と考えたのです」


「考えれば納得です。清々しい朝を迎えたら、その日は一日中気分がよくなったります。逆に、朝からついていないと一日中悪いことが起こるような気がします」


「読者様も朝の気分にその日の行動が影響することはありませんか? ありますよね? あると思います? ある、と言いなさい!」


「……ごほん、変なスイッチが入ってしまいました。話を戻します」


「えーっと、どこまで話したんだったか、ああ、そうそう、アンケートを行った所まででしたね。アンケートをしたことで研究者の元には615日分のデータが集まりました」


「そして、どのような時に知らんぷりをするのかも判明しました」


「さて、読者様はどんな時に知らんぷりをしますか? 知らんぷりをすると困りますので、同僚に嫌なことをされた時ですか? 余裕がある時に、同僚で遊ぶために知らんぷりするのでしょうか? それとも、根っ子から性格が腐っている、意地悪な人が困らせるのでしょうか?」


「結果は……人間関係のストレスがある時に知らんぷりすることが判明しました!」


「知らんぷりが起こるのは人間関係が原因だったのです」


「面白いことに仕事のストレスでは知らんぷりは起こらなかったのです」


「つまり、仕事がきつくても人間関係が良好な職場なら、知らんぷりは起きません。ですが、仕事が楽でも、同僚とギスギスしていたら知らんぷりは起こるのです」


「いやはや、興味深い結果ですよ。仕事をスムーズに進めたいなら、同僚と仲良くしましょう、ということですね。…………ありきたりじゃん」


「で、もう一つ面白いことが判明していまして、被験者が知らんぷりをした日の夕方のアンケートでは、疲労感やネガティブな気分が改善していました」


「どうやら、知らんぷりすることでストレス解消になるようです。人の困った姿を見ることで、ストレスが解消できるみたいです」


「何か人間関係で嫌なことがあると、知らんぷりをして同僚を困らせて、ストレスを解消する、という流れのようです」


「知らんぷりするほうが気分がいいかもしれませんが、知らんぷりされるほうは堪ったものではありません。仕事は進まないし、知らんぷりされてイライラが募ります。知らんぷりされた従業員もストレス解消のために知らんぷりをすることで悪循環が起きます。会社にとってマイナスしかありません」


「研究者も、『知らんぷりは一時的には効果があるが、長い目で見たら会社に悪影響を及ぼします。知らんぷりはオススメしません』と述べています」


「読者様もストレスを感じたら、知らんぷりをするのではなく、他の方法でストレスを解消しましょう。ストレスの解消方法は以前に"100_【簡単ストレス解消法】もうストレスは怖くない。充実した人生を送る100のストレス解消法"で、お話ししています。よろしければ、今一度確認をお願いします」


「同僚相手にストレス解消していたら未来がないよ、と語った所で今回のまとめです」


「働いている人を集めて、知らんぷりについてアンケートを行ったよ」


「すると、人間関係のストレスがある時に人は知らんぷりすることが判明したよ」


「しかも、知らんぷりすることでストレスを解消していたんだよ。でも、長い目で見れば嫌われたりするから、オススメできないよ」


「ストレスは正しく解消してね」


「読者様は本当に分からない時以外に『分っかりませーん!』と言うことはないようにしましょう。嫌われますよ」


「今回の実験は職場で行われました。ですが、人間関係の問題で知らんぷりが起こるのなら、職場以外でも人間関係に問題を抱えている人は知らんぷりをすると思います。覚えておいてください」


「……ふと、気になったのですが、知らんぷりをして『分かりません』と言うのと、素直に『知っているけど、教えたくない』と言ってしまうのでは、どっちが嫌われるのでしょうか?」


「とっても気になりますね」


「…………はっ! ごめんなさい、読者様に要らぬ疑問を残してしまいました」


「ということで、今回は『どうして「知らんぷり」するのですか?』のお話でした。読者様の知識になれば幸いです」


「お付き合いいただきまして、ありがとうございます。高評価や応援コメント、質問やリクエストも待ってまーす!」


「次回の『親友になるには一緒にいる時間が200時間を越えること』で、お会いしましょう」


「もしくは、読者様の気になるお話でお待ちしております。バイバイ」



参考文献

Be smart, play dumb? A transactional perspective on day-specific knowledge hiding, interpersonal conflict, and psychological strain

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