132_仕事が忙しくなくても忙しいアピールをしたら得をする #ビジネス #有能

「16世紀のルネサンス時代の哲学者ミシェル・ド・モンテーニュは『知識のある人はすべてについて知識があるとは限らない。だが、有能な人はすべてについて有能である。無知にかけてさえも有能である』という言葉を残しています。有能な人に隙はないようです」


「やっほー、賢明なる読者様。読むだけで人生よくなる知識を提供する世界一の美女サクラです! 今回は『仕事が忙しくなくても忙しいアピールをしたら得をする』のお話をしたいと思います」


「では、よろしくお願いします」


「読者様は忙しい生活を送っていますか? それとものんびり平穏な生活を送っていますか?」


「え? 『超優良なホワイト企業に勤めている』ですか。それは、とても羨ましいですね」


「ですが、忙しくないことが必ずしもいいこと、とは限らないのです。余裕があるに越したことはありませんが、余裕がいいとは限らないのです」


「今回の研究はハーバード大学のものです」


「どんな研究かと言いますと、忙しさをアピールするとすごいと思われる、というものです」


「つまり、忙しくて全然寝れてない、仕事が立て込んでて休日返上だ、などとアピールすると仕事ができる人に見られるのです」


「どうですか、面白くないですか?」


「このような忙しいアピールというのは、間接自慢と言います。読んで字のごとく、直接的に自慢せずに間接的に自慢する手法です」


「たとえば、自撮り写真に見せかけて、高級な腕時計をしたり。コーディネートの写真に見せかけて、スタイルのよさを自慢したり、間接自慢の方法は無数にあります」


「読者様もご自分で行ったり、間接自慢の投稿を見たことがあると思います」


「まあ、私も知識をひけらかしているので、間接的に頭がいいアピールをしているようなものです。つまり、間接自慢はどこにでもあるのです」


「忙しさのアピールには、仕事をたくさん割り振られるのは有能だからだ、みたいに間接自慢が含まれるのです」


「はたして間接自慢に意味があるのか? どのように思われるのか? と疑問に思った研究者は調べた、というわけです」


「研究者が最初に何をしたかと言いますと、被験者にSNSのアカウントを2種類見てもらいました。その2種類とは、仕事が忙しいアピールをしているアカウントと、仕事が全然忙しくないアカウントです」


「具体的な投稿内容ですが、仕事が忙しい方は、1週間ずっと働いています、忙しくて昼食の時間が10分しか取れません、金曜日の夕方なのに仕事が終わりません、などです」


「対して、忙しくないアカウントは、昼休みを満喫しています、仕事は既に終わりました、みたいな投稿をしていました」


「これらのアカウントを見てもらい、アカウントの管理者のステータスを判断してもらいました。要は、この人ってすごいの? すごくないの? を評価してもらいました」


「面白いですよね。さて、読者様はアカウント主に対して、どのような感情を抱きましたか?」


「忙しいのはあなたが無能だからだ、ですか? それとも、仕事が暇そうで羨ましい、ですか?」


「結果は先に述べた通り、忙しいアピールをしている人は仕事ができる人、と思われました」


「ですが、仕事ができる人以外の評価は忙しくても忙しくなくても、変わりませんでした」


「誠実さ、優しさ、魅力などの評価はどちらのアカウントも差がありませんでした」


「つまり、読者様が仕事ができる人と思われたい場合に限り、忙しいアピールは有効なんです」


「忙しいアピールをしても、モテることはありません。残念!」


「もし読者様が仕事ができるのに、評価されていないようなら、忙しいアピールが足りてないのかもしれませんね。今後は仕事をサクッと終わらせても、『全然、仕事が終わらないよー』とアピールするのもいいかもしれませんね」


「研究者はさらに実験を行います。それは、無能な人でも仕事が忙しいアピールは効果があるのか? というものです」


「つまり、仕事が忙しいのは、有能だからたくさん仕事を頼まれる。のではなく、仕事が遅くて、単に他の人より時間がかかっているだけ、でも有能に見られるのか調べました」


「どうなんでしょうか? この人は仕事が遅いから、忙しいのです、と告げられた人を有能だと思うのでしょうか?」


「二つ目の実験では、仕事が忙しいアピールをしている人のアカウントを見てもらうの同じですが、その後にアカウント主が仕事が早いか遅いか、説明の違うプロフィールを見せました」


「そして、アカウント主がどのような人か評価してもらいました」


「さて、読者様は仕事が遅いと教えられた人を、有能だと思いますか? 能力が低いのだから、有能と思われなさそうですよね」


「結果はですね、依然として評価は変わらなかったんです!」


「つまり、仕事が忙しいアピールをしている人は、その人の能力に関わらず有能だと思われたのです」


「いやはや、面白い結果ですね。読者様も有能に見られたければ、忙しいアピールを忘れないでください。同僚や先輩から『あの人、すごい!』と思われうこと間違いなし」


「ただし、滅茶苦茶冷静な人がいたらピンチです。忙しいアピールをする時間があるなら、その分を仕事に回せ、と思われてしまいます。揚げ足を取る人がいない場所でアピールしましょうね」


「研究者は人種の違いでも調べています。アメリカ人とイタリア人を調べた結果、アメリカ人のほうがより忙しいアピールが効果的だと判明しました」


「文化の違いはいかんともしがたいですね。イタリア人のほうが家族を大切にする、という文化が根強いみたいです。その結果が反映されたと思います。決して、アメリカ人が家族を大切にしない、と言いたいわけではありません。誤解なきようお願いします」


「さらに研究者は買い物の違いでも、実験しています。食料品を店舗のスーパーマーケットで買うか、オンラインのネットスーパーで買うか、の違いで調べました」


「結果、オンラインで買い物をするほうが優秀だと思われました。オンラインで買い物をするのは、時間がないから、と思われたそうです」


「時間は誰に対しても等しく貴重です。その貴重な時間をスーパーにも使えないことが、有能に見られるようです」


「まあ、今の時代、時間がないからネットで買い物、がどこまで通用するのか疑問も残ります。ですが、時間がないアピールをすると、優秀と思われるのは間違いなさそうです」


「ちょっとばかし研究に疑義を呈した所で、今回のまとめです」


「仕事が忙しいアピールをしている人を、他の人が見た時どう思うのか調べたよ」


「すると、忙しいアピールをしていると、仕事ができる人と思われたよ」


「さらに、その人が特に優秀じゃないと伝えても評価は変わらなかったよ」


「本当に優秀で仕事を他の人より、数倍早く終わらせても忙しさをアピールしないと損です。余った時間でアピールしたらいいかもしれません」


「是非、読者様も忙しいアピールをして有能な人と思われてください。その一身に尊敬の眼差しを集めてください」


「ただ、有能に思われるので、仕事が余計に割り振られる可能性があります。自分で自分の首を絞めないでくださいね」


「研究者はこの結果に対して、ブランド品を買うより、お手軽に自慢できる、とコメントしています」


「ブランド品を身に付けるのと簡単にアピールできます。ですが、お金がかかります」


「読者様のお好きなように自慢してください」


「ということで、今回は『仕事が忙しくなくても忙しいアピールをしたら得をする』のお話でした。読者様の知識になれば幸いです」


「お付き合いいただきまして、ありがとうございます。高評価や応援コメント、質問やリクエストも待ってまーす!」


「次回の『自分から自慢するのは最悪だが、相手から切り出してきた場合は別だ』で、お会いしましょう」


「もしくは、読者様の気になるお話でお待ちしております。バイバイ」



参考文献

Conspicuous Consumption of Time: When Busyness and Lack of Leisure Time Become a Status Symbol

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