125_ホラー映画を見ると予測する力が鍛えられる #思考 #能力

「ピーターラビットの生みの親のビアトリクス・ポターの言葉を紹介しましょう。『私は子供の頃、半信半疑ながらも、もっぱら妖精と遊んだのを覚えている。幼少期の精神世界を持ち続け、知識と常識を加えてバランスをとり、夜の恐怖をもはや恐れず、それでも命の物語を少し、ほんの少し理解することが出来たら、そんな天国はほかにないでしょう』だ、そうです。読者様はどうですか?」


「やっほー、人生よくなってるはずの読者様。毎回タメになる知識を提供する世界一の美女サクラです! 今回は『ホラー映画を見ると予測する力が鍛えられる』のお話をしますよ」


「では、よろしくお願いします」


「読者様はホラー映画が好きですか?」


「え? 『わざわざ恐怖を味わう意味がわからない』ですか。確かにその通りですね」


「ホラーが嫌いな人からすると、どうして怖いと分かっているのに体験するのか理解できませんよね」


「ですが、ホラーにはメリットがあることが分かっています。ホラーにはメリットがあるんですよ、はぁ……」


「ホラー好きの人がメリットを理解しているとは言いませんが、無意識のうちに何かを感じ取っている可能性はあります。そのため、自ら怖い思いをするのかもしれません」


「そんなわけで今回はホラーのメリットについてお話ししたいと思います」


「ホラー映画には2種類の恐怖があるということです。これはフィンランドのトゥルク大学が明らかにしました」


「37人の被験者にホラー映画に関するアンケートに答えてもらいました。そして、ホラー映画を見てもらいました」


「視聴の際にはfMRI(磁気共鳴機能画像法)をつけてもらい、脳の血流を測定しました」


「アンケートの結果ですが、72%は半年に一回はホラー映画を見る、と解答していました。結構な頻度で見ていますね」


「見る理由で多かったのは、興奮したいからでした。他にも、怖い思いをしたい、などの理由があったそうです」


「世の中には自ら、恐怖体験に飛び込む人が結構多いみたいです。なのですが、一人で見るより誰かと一緒に見たいとも多くの人が解答しています」


「やっぱり怖いものは怖いのでしょう。怖さを紛らわせるために、誰かと一緒がいいのだと思います」


「そして、ホラー映画を見ている時の脳を測定した結果ですが、何かが突然現れる恐怖と何かおかしいことが起きそうな恐怖、の2種類があるとのことです」


「前者の恐怖は、道端でいきなり大声を言われるような恐怖ですね。普通に歩いてたら、『わっ!』と言われる恐怖です」


「何も準備をしていない、無防備な状態で受ける恐怖です。これから驚かしますよ、と予告されたら怖くないですもの」


「後者の恐怖は、予測できない恐怖です。ゲームをしていると、この先に進んだら何かが起きる、とゾワゾワすることがあります」


「何かが起きるのは間違いない、でも何が起きるか分からないから恐怖を感じるのです。不気味な演出で怖がらせます」


「予測ができないから怖いのです。幽霊の正体見たり枯れ尾花です。正体が明かされれば、何てことはありません」


「この2種類の恐怖では、それぞれで脳の活発になる領域が違います」


「突然現れる恐怖では、感情処理、脅威の判断、意思決定に関する領域が活発になりました」


「何かが起きそうな恐怖では、視覚と聴覚に関する領域が活発になっていました」


「へぇー、ですよね。ホラーは色々な機能を高めてくれるのです。何と関連があるかと言いますと、予測する力です」


「つまり、ホラー映画を見ることで、予測する力を鍛えているのです」


「何かが起きそうな恐怖で視覚と聴覚に集中することで、観察力を鍛えます。些細な違和感を見逃さなくするトレーニングになるのです」


「突然現れる恐怖で、感情を素早く安定させる能力、本当に驚異があるのか即座に判断する能力、最適な行動は何か素早く決める能力、それぞれが鍛えられます」


「面白いですね。この結果はホラー映画を見るより断然面白いです」


「ホラー映画を見ると、現実で起こる様々な問題を観察する能力、対処法や慌てたりしない泰然自若な態度、よりよい決定をするための力が養われるのです」


「どうでしょうか? 読者様の身近にホラー好きはいませんか? もし、いましたら、その人の能力はどうでしょうか?」


「問題解決能力が高かったりしませんか?」


「こんなにホラー映画にメリットがあるなら、見てやらなくもないこともないかもしれないわね」


「え? 『怖いの?』ですって。べべべべべ別に、こ、怖くないし」


「……嘘です。怖いです。ホラー映画なんて、1ミリも見たくないです。たとえ、メリットがあっても見たくないものは見たくないのです!」


「そろそろホラーについて話すのがしんどくなったので今回のまとめです」


「ホラー映画に関するアンケートをしたら、意外とホラー映画を見ている人は多かったよ。それにホラー映画を一人で見たくない人も多いそうだよ」


「ホラー映画にかこつけてデートに誘うのもよさそう」


「それと、ホラー映画を見ている時の脳を調べたよ。すると、恐怖には2種類あることが判明したよ」


「それは、突然現れる恐怖と何かが起きそうな恐怖だよ」


「しかも、恐怖には予測力や感情処理、意思決定に関わる能力のトレーニングになることも明らかになったよ」


「読者様もホラー映画が問題ないようなら、是非楽しみながら各種スキルを鍛えてください」


「恐怖が人の能力を鍛えてくれるなら、何もホラー映画に限定する必要はありません。その他の恐怖でも有効かもしれません」


「以前に”074_悪夢を見ると現実の恐怖に強くなる【夢のトレーニング】”で、悪夢には人を成長させる効果があるとお話ししました。これに通ずる部分もあると思います」


「ホラー映画や悪夢に限らず、お化け屋敷、ジェットコースター、スカイダイビング、バンジージャンプなどなど」


「これらの絶叫アトラクションでも似たようなメリットが得られるかもしれませんね」


「……私はごめん被りますが。自ら恐怖に飛び込むなんて、気が知れません。バカなんでしょうか?」


「いえ、これは言い過ぎました。申し訳ありません、先程の言葉は撤回します」


「気が狂ってる、の間違いでした。……あれ、余計にひどくなってる?」


「ま、まあ、たまには、私の意外な一面を見せるのも悪くないでしょう」


「ということで、今回は『ホラー映画を見ると予測する力が鍛えられる』のお話でした。読者様の人生の潤いになれば嬉しいです」


「お付き合いいただき、ありがとうございます。高評価や応援コメント、質問やリクエストも待ってまーす!」


「次回の『自らお化け屋敷に入る人はリラックスして気分がよくなる』で、お会いしましょう!」


「もしくは、読者様が気になるお話でお待ちしております。さようなら」



参考文献

Dissociable neural systems for unconditioned acute and sustained fear

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