091_匂い次第で健康な食事も不健康な食事も売れる #食事 #健康 #マーケティング

「やっほー、賢明なる読者様。読むだけで人生よくなる知識を提供する世界一の美女サクラです! 今回は『匂い次第で健康な食事も不健康な食事も売れる』のお話をしたいと思います」


「では、よろしくお願いします」


「読者様は匂いに気を使っていますか?」


「相手を不快にさせないために、消臭剤や香水をつけている方もいるでしょう」


「え? 『香りはマナーだ』ですか。ご立派な考えだと思います」


「では、読者様は自分が嗅ぐ匂いについては気にしていますか?」


「実はですね、人の行動は匂いによって操られることが判明したのです。どうですか? 怖いですか? それとも興味深いですか?」


「今回の研究はアメリカのサウスフロリダ大学です」


「研究者は匂いによって人の行動が変わることを突き止めたのです!」


「実験の舞台はアメリカの中学校です。研究者はカフェテリアの入り口に噴霧器を置いて、アロマを嗅がせました。そして、生徒の行動が変化するのか調べました」


「用意された匂いは2種類です。一つはリンゴ、もう一つはピザです」


「この二つの違いは健康か不健康か、です。研究者が知りたいのは健康的な匂い、不健康的な匂いを嗅いだ後の行動の変化です」


「具体的には、それぞれの匂いを嗅いでだ後に、健康な食事をするのか、それとも不健康な食事を選ぶのか知りたかったのです。だからこそ、カフェテリアの入り口で実験したのです」


「どうですかか、読者様は匂いでどのように行動が変化すると思いますか?」


「お店に入って匂いに釣られて、買うつもりのなかったお菓子を買ったことなどはあると思います。匂いには、食欲を刺激する効果はありそうです」


「結論を申しますと、リンゴの匂いを嗅ぐと、不健康な食事の売り上げが増加しました。フライドポテト、ホットドッグなどが売れました」


「ジャンクフードの大勝利です」


「ピザの匂いを嗅いだ場合は、不健康な食事を選んだ人の割合が減少したのです」


「面白いですよね。ピザの匂いを嗅いだら、不健康な食事を刺激されそうなものですが、実際は選ぶ人が減るのです」


「続いて、研究者はスーパーマーケットで実験を行いました。今回の匂いは先程とは違い、イチゴとチョコチップクッキーの匂いを用意しました」


「噴霧器を設置したのは入り口の辺りです。だいたい1時間ほど噴霧されていました」


「カフェテリアの研究では対象が学生でしたが、今回は幅広い人を対象にしています」


「そしてですね、買い物客の購入品をチェックしました」


「この実験でも、先程と同じ傾向が確認されました。クッキーの匂いを嗅いだ客の方が健康的な食品を多く買って、不健康な食品の量が減っていました」


「イチゴの匂いを嗅いだ客は逆の結果となったのは言うまでもありません」


「面白い結果が出ましたが、研究者はここで満足しません。どちらの実験も噴霧器を長い間使ったため、フロアに香りが充満していました」


「つまり、買い物中ずっと匂いを嗅いでいたことになります」


「では、短い時間しか匂いを嗅がなかったら効果はないのか? どれくらいの時間匂いを嗅いだら効果が発揮されるのか? 二つの疑問を調べました」


「実験室に被験者を集めて、イチゴかチョコチップクッキーの匂いを嗅いでもらいました。この際、時間を区切っています」


「すると、先の実験とは違った結果が出たのです」


「チョコチップクッキーの匂いを嗅いだ時間が30秒未満だと、不健康な食事を選ぶ傾向が増えるのです」


「残念ながら、不健康な匂いは短時間だと悪影響が出てしまうのでした」


「ですが、安心してください。他の結果も出ています。チョコチップクッキーの匂いを120秒以上嗅ぐと、不健康な食品を選ばなくなるのです。健康な食品に興味に興味が向かうのです」


「30秒未満だと不健康な食品を選んだのは44%で、120秒以上だと22%でした。倍の差をつけていたのです」


「イチゴの匂いはどうだったのかと言います、30秒未満だと健康的な食品を選ぶ傾向はありましたが、120秒以上と比べて有意な差はなかったそうです」


「イチゴ、残念! ……イチゴが悪いわけではないので、誤解しないでくださいね、読者様」


「さらに研究者は実験を重ねました。嗅いでいる匂いによって味の好みが変化するか調べました」


「イチゴの匂いがする時と、クッキーの匂いがする時で味の好みに違いが出るか確認しました」


「すると、イチゴの匂いを嗅いでも好みは変化しませんでした」


「ですが、クッキーの匂いを嗅いだ場合は、健康的な食品を好きになっていました」


「どうやら、香りというのは人の好みにも影響があることが判明しました」


「いやー、恐ろしいですね。香りを制するものは世界を制する、かもしれませんなぁ」


「この結果はお店を経営している人には価千金でしょうね」


「匂い次第で売りたいものを売れるのですから」


「健康食品を売りたければ、不健康な匂いを撒き散らす。逆に、健康志向の人から敬遠される不健康な食品だって、健康な匂いで売れるのです」


「周りのライバル点が不健康な匂いを撒き散らしていたら、健康な食事を提供しましょう。お客様をごそっと奪えます」


「いやー、マーケティングに革命が起きますな」


「それに、恋人がジャンクフードが大好きなら、不健康な匂いのアロマを焚きましょう。知らず知らずに健康的な食事をしてくれるようになります」


「健康のためにも匂いを有効活用しましょう」


「それでは今回のまとめです。中学校のカフェテリア、スーパーマーケット、実験室のそれぞれで匂いを嗅がせてみて、その後の行動を観察したよ」


「すると、健康的な匂いを嗅ぐと不健康な食事を選び、不健康的な匂いを嗅ぐと健康的な食事を選ぶようになるぞ」


「不健康な匂いを嗅ぐ時間が30秒未満だと、むしろ逆効果だぞ。効果を発揮するのは120秒を越えないといけないぞ」


「無条件に発揮するわけじゃないから、気をつけて」


「なぜ、このようなことが起きるのかは、『飽き』が関係していると思われます」


「短い時間だと、欲求を刺激されます。ただし、時間が長くなると慣れてしまい、しまいには飽きてしまいます」


「だからこそ、匂いとは反対のものを選んだのです」


「読者様も数が多くて、逆に何度も何度も繰り返して『もういいや』って経験はありませんか? 過ぎたるは猶及ばざるが如し、ですよ」


「何かをやめる一番の攻略法は、『飽き』だと思います」


「ということで、今回は『匂い次第で健康な食事も不健康な食事も売れる』のお話でした。読者様の知識になれば幸いです」


「お付き合いいただきまして、ありがとうございます。高評価や応援コメント、質問やリクエストも待ってまーす!」


「次回の『退屈だとSっ気が増す』で、お会いしましょう」


「もしくは、読者様の気になるお話でお待ちしております。バイバイ」



参考文献

The Smell of Healthy Choices: Cross-Modal Sensory Compensation Effects of Ambient Scent on Food Purchases

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