018_少しの変化でスキル上達が倍速になる #スキル #練習

「やっほー、読者様のプラスになる知識を提供する世界一の美女サクラです! 今回は『少しの変化でスキル上達が倍速になる』のお話をしたいと思います」


「では、よろしくお願いします」


「読者様は新しいスキルを身につける際にどのような練習をしていますか? 教科書の内容を何度も繰り返したりしていますか?」


「そのスキルの上達を倍にしてくれる研究を紹介したいと思います」


「え? 『そんな都合のいい方法があるはずない』ですか? そんなことはありません、少し変えるだけで 倍速で身につけることが可能なんです。知りたくないですか?」


「それでは発表します。スキルを倍速で身につける方法とはーー」


「ーー少し変化を加えて試す、です」


「これだけだとわからないと思います。軽く説明しますと、新しいスキルを覚える際にまったく同じ内容を繰り返すより、少し変化を加えるとスキルが倍速で身につくのです」


「私もこの方法で、料理や裁縫などの家事スキルをサクッと身につけました。そのおかげで女子力が随分上がりました」


「私の服を畳むスピードは普通の人より、3倍は早いですよ。別に赤くないですよ」


「実際にどのように行うのかですが……」


「たとえば、サッカーのドリブルを練習する際に同じように練習するのではなく、視線を少しあげる、ボールを蹴るタイミングを少し早くする、蹴る力を少し弱める、など些細な変化を加えるのです」


「なぜ、この方法が有効なのかですが、変化させた部分に脳のリソースが割かれます、すると脳は頑張って変化に対応しようと頑張ってくれます。脳は働けば働くだけ、機能がアップしてくれます」


「脳が努力してくれるので、スキルが倍速で身につくのです」


「それでは、どのような実験が行われたか説明します。ジョンズ・ホプキンス大学は86人の被験者を集めて三つのグループに分けました」


「それぞれのグループにはまず、マウスの代わりになるデバイスを使用して、モニター上のカーソルを動かす、というスキルを新たに身につけてもらいます」


「このスキルを45分間練習した後、一つ目のグループには一回目とまったく同じ練習をしてもらいました。二つ目のグループには一回目に少し変化を加えた練習をしてもらいました。最後の三つ目のグループには二回目の練習が用意されませんでした」


「その結果、二つ目のグループは一つ目のグループに比べて、約2倍の正確性とスピードを身につけていました」


「もちろん、この研究では練習の量は同じに調整されています。つまり、同じ時間でも、同じ内容を練習するより、少し変化を加えた練習をすると2倍速でスキルが上達することが証明されたのです」


「ちなみに、同じ練習をした一つ目のグループと、二回目の練習がなかった三つ目のグループの上達具合の差はおよそ25%でした。この結果から、いかに同じ練習を続ける意味のなさが伺い知れます」


「この結果をもたらしたのは再固定化(Reconsolidation)が関係しているようです」


「再固定化とは、一度脳に保管された記憶を思い出すことで、記憶が不安定になるが最終的には強く頭の中に固定される現象です」


「要は、記憶するにはいろんな方法で反復するのが大事、ということです」


「ただの反復作業では脳は楽をしようとします。同じことの繰り返しを、脳は大事なことだと認識しません。自宅へ帰るのに毎回道を確認しないのと同じで、何度も繰り返したことは何も考えずに行えます」


「新しい情報をインプットしなくなって、脳に溜まっているデータで処理します。読者様も読み返したい漫画を毎回本屋に買いに行かないですよね。本棚から取り出すのと同じです」


「脳に働いてもらうためにも、スキルを練習する際は少しの変化を加えてください」


「え? 『少しと言わず、もっと変化を加えて脳に頑張ってもらおう』ですか、なるほどです」


「残念ながら、あまりに変化が大きいのは利益が得られないと、研究者もコメントしています」


「変化が大きすぎると脳が諦めてしまい、努力しなくなります。少しずつステップアップするから成長できるのです」


「いきなり高い目標を掲げてもうんざりします。ちょっと変わったかなー、くらいの変化がオススメです」


「研究チームも、バットやラケット、ボールのサイズや重さを変えることを推奨しています」


「さらに、二回目の練習は時間をあける必要があります。再固定化にはまず、長期記憶に安定して記憶を保存しておく必要があります。そのため短時間で二回目の練習を行っても、再固定化のメリットを得られません」


「最低でも6時間後、できれば翌日に行うことをオススメします」


「再固定化のテクニックは運動でも勉強でも使えます」


「運動なら研究者が推奨するように道具の重さを変える、普段より力を込める、逆に力を抜くなど考えられます」


「勉強なら、 普段とは違う順番で勉強する、ノートを8割のスペースで取るなどです。英語のリスニングの速度を変えるのは簡単にできます。是非試してください」


「それでは今回のまとめです。スキルを2倍速で身につけたいなら、二回目からは少し変化を加えて練習しよう。注意点は変化を大きくしすぎないこと、ある程度時間が経過してから練習することの二点です」


「読者様も新しいことに挑戦する際は再固定化を気にしてください。倍速で上達しますよ」


「ということで、今回は『少しの変化でスキル上達が倍速になる』のお話でした。読者様の参考になれば、私はとても嬉しいです」


「最後までお付き合いいただきまして、本当にありがとうございます。高評価や応援コメントはどんどんお願いします。待ってまーす」


「それでは、次回の『運動能力をブーストする魔法の飲み物』で、またお会いしましょう。バイバーイ」



参考文献

Motor Skills Are Strengthened through Reconsolidation

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る