肉食文化がない異世界

かろん

現実の異世界

「現実世界に飽きた」

「はぁ?いきなり何を言い出すんだよ」

「いやだって、現実世界ってさ、何でもできるわけないじゃん。アニメの世界を見てごらんよ。あんなきれいな世界に……はぁ、僕も行きたい」

「……そうかよ」

現実世界に飽きたという、高橋明人。今年で15歳、だけどまだ中学生。

「それより、隼人はどうなんだい?」

「異世界について?うーん……たしかに楽しそうだなとは思うけどさ」

俺は佐藤隼人。高校1年生。なぜこいつはタメ口なのかという小学校から仲が良かったから。

今俺がいるのは、明人の家であり、明人の部屋。

俺は床に座っているが、明人は自分のベッドに腰かけている。

「異世界ねぇ。もし行けたとしたら、最初に何したいの?」

と、俺が問うと

「そうねぇ、やっぱ美少女たちと遊ぶことじゃないかな!?」

美少女と遊びたいと言う中学3年生。

「お前の頭の中には、エロしか入ってないのか」

「ははっ!かもしれないー」

「お前な……」

「それで言うと、隼人もじゃない?」

「どうして俺もなんだ!」

「だって、男の子でしょ?」

「そ、そうだけど!……エロに興味がないと言ったら嘘になるか」

「でしょー?」

なんなんだこいつは。

俺が思っていた以上に、頭の中はエロだけしか入ってないらしい。

「はぁ……っと、もうこんな時間か。俺はそろそろ帰るよ」

「えー、もう帰るの?」

「だ、だって明日学校あるし……」

「そっか。それじゃ、また明日ねー」

「お前、明日も来いって言ってるもんだろ。それ」

「あははっ!」

最後にケラケラ笑う明人の声を聞きながら明人の家を出る。

「ふぅ……ほんとにあいつは」

あいつと話をすると、基本的にエロの話に持っていかれる。

でも、俺もそういう話は嫌いじゃないからな……。

「よしっと、帰ったら何食べようかな……」

ポケットからスマホを取り出し、スマホの画面を触りながら家まで歩く。

最初はよかったんだ。最初は。

気が付かない間に交差点に差し掛かったところで、体全身に激痛が走る。

「なっ……」

見ると、一台の車が交差点のところで急停止している。

おそらく、俺があの車に轢かれたのだろう。

それが分かった次の瞬間、辺り一面が暗闇に包まれていった。





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