拾われた令嬢

はじまり(令嬢視点の紹介文)


「私、王太子ダルダ・クニスキンは、婚約者であるメルシア・ソロシアンの婚約を破棄する事をここで宣言しよう!」


 黒髪の女生徒と共に現れたダルダ殿下は開口一番そう言われた。


「そして、私はこの愛するモナ・ドドイナカと結婚する。以上だ、さぁ卒業パーティーを楽しもうじゃないか」


 静まり返る周囲に構うことなく、ダルダ殿下はモナと呼ばれた女生徒とフロアの中央を陣取る。このままファーストダンスを始めるつもりなのだろう。殿下の側近達が楽団を急かす。やがて音楽が流れだし、ダルダ殿下と女生徒が踊り出した。


 本日は王立学園の卒業パーティー。パーティーではあるが学園の行事である為に当然事前に予定が組まれ、ファーストダンスの時間も決められている。まだその時間になっていないので、踊っているのはたった一組だけだ。


 …この現状を、国王夫妻はどう見ているのだろうか。


 まぁ、婚約を破棄されたのなら私にはもう関係ないわね、とメルシアは他人事のように思った。


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