第4話 王太子の再教育
待てど暮らせどモナに会えない。しびれを切らして両親にもう一度、訴える事にした。
すると、何故か私も教育を改めて受ける事になった。面倒だと思ったが両親が納得出来る成績を収める事が出来たなら、すぐにでもモナと会えるよう取り計らうと言われてしまうと、私は弱かった。
王太子宮に家庭教師達が来た。昔私を教えていた教師達と異なり初めて見る顔ぶれだが、モナの王妃教育にも関わっている教師陣のようで両親からも信頼されているようだ。時間割を決められ、その日の内に早速授業が始まった。
私は王立学園を卒業したのだぞ、簡単だろうと考えていたが…ほとんど、分からなかった。授業は教師と私だけで、私の代わりに答えるべき側近達が居ないせいだ。そもそもどうしてこんな勉強が必要なのだろう。
語学? 側近に翻訳させてばいいだろう。貴族録の暗記? それも側近に任せておけばいい。治水や災害時の対応? それだって側近に考えさせればいい。経済や法律も同じ、側近が覚えておき、私の代わりにやらせればいいのだ。私は王となるのだから、良い案であれば採用し、悪い案だったら叱責するだけで良いではないか。え? 案の良し悪しの判断はどうするか? それも側近に詳しく説明させれば分かる事じゃないか。バカだな。
一ヶ月後、私の成績が両親に知らされたらしい。その結果、私はモナと会えなかった。
どういう事だ、と教師陣に詰めよれば、私の成績を詳しく教えられた。どの授業も落第点でとてもじゃないが合格等与えられないと言われた。それは教える側が悪いのではないか。あんな授業では誰も良い成績等取れないだろうと反論すれば、元婚約者であるミニシアは教えた内容を完璧に把握し吸収して見せ確かな成績を収めていたと言われ、モナもまだ成果を成していないが、現時点で私より成績は上だと言われた。そんなバカな。
私の教育は続行される事になったが、いつまでたってもモナに会えない事実に私は怒り、教師共を王太子宮に入れないように命じた。数日は教師共も王太子宮の出入り口に集っていたが、やがて誰も来なくなったようだ。ふん、あのような授業内容なら側近達にやらせてしまえばいいのだ、私がやるべきことじゃないだろうに。あぁどうしたら、愛しいモナに会えるのだろうか…。私の悩みは尽きない。
後日、両親に呼び出された。教師共を王太子宮に入れなくした理由を問われ、私は正直に答えた。私はモナに会いたいだけなのだ、教育を受けたい訳じゃない。では、モナと共にであれば教育を受けるのかと問われ、頷いた。これで愛しいモナに会える! それだけで良かったので私は大いに喜んだ。
三日後、まだ日も昇っていない時間に起こされ、身支度の用意を要求される。まだ眠いと言っても、ではモナ様との時間は取り止めに致しますか、と聞かれると嫌だったのでしぶしぶ起き出して身支度を整える。
簡単な軽食を取って移動し、王宮内の部屋に案内されればそこに愛しいモナがいた。思わず駆け寄り抱きしめた。やっと会えたと再会の喜びを分かち合おうとしていたら、無粋な教師が離れるよう言ってきたので部屋を出るよう命じた。これで二人きりになれると思ったが、部屋を出されたのは私の方だった。部屋前に立っていた王宮を守る王宮騎士を呼ばれ、あっさり摘み出されたのだ。何故だ!?
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