卒業

私は、卒業式で異例の行動を起こした。

これからの自分自身を奮い立たせるために。


きっかけは、担任の先生の話だ。

私の学校では、卒業生が卒業証書をもらったあと自分のこれからの抱負を語るという儀式があった。抱負は事前に考えて、卒業式の練習の時にも何回か言う機会がある。

かつての卒業生に、卒業式本番で練習とは違うことを言った子がいた。

「将来、先生のような教員になりたいです。」と言われて、卒業式で号泣してしまったという話だった。

この話を聞いた時、私もやろうと思った。

別に先生を泣かせたいわけではないけれども、自分自身にプレッシャーをかけたい。

自分自身を奮い立たせたい。そう思ったのだ。


卒業式の練習では、「このクラスで友達関係の大切さを学んだ。中学校でもこれらのことを生かして頑張りたい」というようなことを言っていた。

担任の先生にも、卒業式で言葉を変えることは言っていなかった。

でも、クラスの数人には相談した。

すぐに面白がって賛成してくれて、応援してくれた。

「ずっと先生のこと観察しておくわ。」とも言っていた。


卒業式本番、ついに儀式の時がやってきた。

「将来、〇〇先生のような音楽の楽しさを伝えられる音楽の先生になりたいです。中学では音楽の授業を特に頑張り、知識を深めていきたいです。」

中学では、と言ったところで、次のセリフを忘れてしまい、少しだけ間が出来てしまった。

でも、先生を見ると号泣していた。

なんとか成功させることができ、すごく嬉しかった。

これから、この経験をもとに頑張ろう。そう決意を新たにした。


卒業式後、担任の先生は私に成績表を渡す時に、「お前、やったな。」と言ってくれた。

最初、「やったな。」の意味がわからず、キョトンとしてしまったけれども、意味が分かってからは、素直に嬉しかった。

〇〇先生は、というと卒業式後に話す機会があって、感想を伝えてくれた。

「最初は、すごくびっくりしたけれども嬉しかった。」と。

担任の指示なのか、と疑いもしたらしいけれど・・・。

「ありがとう。」そう言ってくれた。


小学校を卒業しても、担任と〇〇先生のことは絶対に忘れない。

私が大人になって、先生として一緒にお仕事したい。

そう思った。



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