第15話 一目惚れ
結局のところ、劉清と福珍が合体することは無かった。
福珍が泣きじゃくりながら「後ろの穴でもいいので!」と、ケツを差し出したところ、劉清が「汚ねぇもん、見せるんじゃねぇ!」と、本気で殴って福珍は気絶。そのまま部屋へと送り返されて、今に至る。
「……」
放心状態の福珍。愛する劉清との合体が不可で、更には殴られて追い出されると、散々な結果だ。
「まあ、あの程度の男に惚れる方も悪いわよね?もう少し、まともな男に惚れれば良かったのにね」
里華が追い討ちをかけるが、福珍に反論する程の力は残っていなかった。
本気で…愛した男にこの仕打ち…福珍は再び泣き出した。
「おろろ〜ん!「おろろ〜ん!」
「あーもーうるさいわね!あんな男の事なんかとっとと忘れなさいよ!」
「わ…私は本気で劉清様を愛してたんです!一目惚れした劉清様と合体する事だけを夢見て!その目前で!絶望の谷へと叩き落とされたんですよ!いくら泣いても泣きたりませんよ!」
「一目惚れって…あんな男のどこに一目惚れで恋に落ちたっての?」
「そう言えば私と劉清様との出会いについては、まだ話してませんでしたね」
「そうね。別に聞きたくも無いけど」
「あれはそう、私がまだ仙界にいた時…私は望遠鏡を使って、人間界を観察していました」
「ふーん。何の為に観察を?」
「イケメンを探す為です!」
「あ、そう」
「高貴なイケメンを探していた私の手元は東上皇国にて、ピタリと止まりました。そうです!そこで劉清様を初めてお見かけしたのです!」
「それが一目惚れだって言うの?」
「はい!丁度、劉清様は間食の時間でお菓子を召し上がっていました。そう、私に似た…大福を食べてたんです!」
「おい、ちょっと待て!ひょっとして…」
「そうです!その姿を見て、私も劉清様に食べて貰いたいと、ベッドの上で美味しく私を召し上がる劉清様を妄想したのです!」
「……」
「そんな妄想を私は毎日繰り返し…そして、いても経ってもいられなくなり、合体する為のあらゆる手段を模索して傾城傾国の美女、里華様の所に辿り着いたのです!」
「おい…その話が本当なら、別に他のイケメンに大福を食べさせればイイだけの話なんじゃないの?」
「まあ、確かに、その通りですが…」
「アホかー!そんなんで簡単に恋に落ちるなー!その程度の想いで泣き喚くなー!」
「里華様は振られたことが無いからそんな事が言えるんですよ!どんな動機での恋だろうと、振られるって事は辛いんですからね!」
「振られる辛さぐらい知ってるわよ!私に告った男は、皆んな振られて辛そうだったからね!」
「それ、ただの自慢じゃないですか!」
「自慢じゃ無いわよ!あんたを蔑ろにした劉清にも、その辛さを味合わせてやるって言ってるの!」
「え?まさか、私の為に…」
「いや、別にあんたの為じゃないわよ?劉清は私の用意した折角の御膳立てを蔑ろにしたからね。私の面子を潰すって事がどれだけの大罪か、見せつけてあげるだけ。ああ、ついでに福珍の仇にもなるから一石二鳥ってこと」
そこで里華は劉清への報復計画を福珍に伝えた。そう、傾城傾国の美女だからこそ成し得る、報復計画を…。
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