当て馬と親友

杜咲凜

当て馬と親友

ここは帝光(テイコウ)学園。

 国内有数のお金もちの学校で、学校にいる人間の総数は数万人規模になる。

 幼稚舎から大学までの施設をもち、病院から製薬会社、商社、金融、観光、娯楽など系列会社は多岐(タキ)に渡る。

 国内を支配するといってもいいこの学園は、一部の人間によって支配されていると言っても過言ではない。

 学園を組織し施設に莫大な費用を投資している人間には、特別に『プレジール』という組織に入ることが許可される。

 そのプレジールの中において、幼稚舎から在籍し大きな勢力のトップに君臨するもの達が数名いる。

 男のトップは行く末は、企業のトップや総理大臣候補。女のトップも同様であろう。



******


薫子は小説を読むのが好きだ。だが、恋愛小説が特に好きだ。きらきらした世界を想像するのが楽しい。だが現実はそんなにきらきらしたスポットライトになど浴びる機会もない。


 この世界で優れた人間というのは、明らかにスポットライトを浴びたようなキラキラとしたオーラを持っていて、なぜか物語の主人公のようにすてきな恋愛が降りてくる。


 それ以外のどうでもいいモブは、その主人公たちの影に隠れながら、そんなに変わらない日常を毎日過ごす。

 もし自分にスポットライトが浴びるとしたら、主人公たちの日常にでてくる一コマ。あわよくばラッキーをシェアしてもらう、いや、情けなくおこぼれを授かるくらいがちょうどいい。


 端的に言えば、主人公のクラスメイトであったり、主人公の幼なじみであったり、主人公の家族であったり、主人公の友達であったり。


 喜嶋 薫子(きじま かおるこ)は、帝王学園の二年生である。今までそれなりの家庭に育ち学歴も恵まれ、カースト制がはびこる学校であってもそれなりのクラスに配属された。それなりの人生を送ってきた高校生である。


 薫子の生活が一変したのは、高校2年生のクラスがえであった。そこで出会ったのは、美少女。流れるようなブラウンの艶やかな長い髪の毛を揺らめかせ、二重まぶたの美しい瞳。バサバサのまつ毛が生えた天然物の美少女である。


 彼女は美しく、性格もよかった。難を言えば少しだけ鈍感で、多くの男性がとりこになっているにも関わらず、男性に対しても平等で、女性に対しても分け隔てなく優しい女の子だった。


 彼女の名前は、北岡(きたおか)マリア。祖母は北欧出身らしく、全体的に色素が薄い、日本人離れした姿形であった。


 まるでその美しさは、恋愛漫画に出てくる主人公。いや、それ以上であり、異世界ファンタジーの世界にいれば、お姫様に違いない。


 出席番号が近いことから、新学期から薫子とマリアは近い席になり、親しくなってきた。薫子はマリアの性格を知れば知るほど、完全無欠のスペックな少女ではあるが、年相応の可愛らしさもあり、薫子はマリアが大好きになった。


 昼休みになれば、お弁当を食べ、友達とみんなで話したり、高校生活は充実したものになる。マリアはモテてはいるが、対応に慣れていたもので、大きなトラブルもなく穏やかに時間が過ぎていく。


 またマリアには、幼なじみがいた。彼はマリアの家の正面に家があり、幼稚園からずっと一緒に過ごしてきた。


 彼を、守谷 啓太(もりや けいた)という。守谷君は、マリアと必ず一緒に登校し、帰りも一緒。

 薫子から見れば、守谷君は明らかにマリアに片思いをしている。マリアも守谷君のことは好きであるようだが、あくまで家族愛のようなもので、異性としては考えられないようだった。


 守谷君自身も、マリアとの進展は焦る様子もなく、無理に告白をしたりというのは考えていないようだ。


 守谷君も爽やかイケメンで、身長もそれなりにあって、優しいし勉強はできるしスポーツもできる。であるからマリアがの存在がなければ、彼女もとっくにいるだろうと思われる。


 だが守谷君にとって、マリアが一番であり、他の異性は考えていないようだった。少女漫画でいったら、完全に当て馬ポジションであろう。その微妙な関係はずっと続くかと思われた。しかしそのバランスが崩れるきっかけがあった。


「薫子ちゃん、私今度お見合いすることになったんだ」


「え……、お見合い?」


 帝光学園では古くからの家があり、生まれてからすぐに許嫁(いいなずけ)を決められてしまう人はいる。


 だが、マリアも薫子もそこまで厳しい家柄ではないため、交友関係なども決められたりはしていない。薫子は驚きかマリアを見た。


 放課後に話があるって言われたのだが、最近どことなくマリアが元気がないとは思っていた。


 薫子はてっきり上級生から強引な告白を受けたのかなと思っていたのだ。


「しー、まだ誰にも言ってないの。おじいさま同士の古くからの約束で、お父様の事業の資金を出資してもらうための条件なの」


 マリアの家は地元では有名な、和菓子専門の会社である。近くには有名な寺社があり、そこにお参りに行くと必ずそのお菓子を買うと言う習慣がある。


 その和菓子専門店は、最近外国人にも人気で海外へも進出しようとするらしい 。そこで新しい事業資金が必要になるのだが、古くからの知り合いである綾小路家に資金を借りられることになったらしい。


 綾小路家も、事業資金を貸すことは問題ないらしいが、祖父同士の約束はあり、現在も存命である当主の意向から、マリアを嫁にしたいと言う。


「それは、もう決定事項なの?」


「うん………お父さん私も乗り気で。来週の日曜日にお見合いなの。学校卒業したら、大学に通いながら花嫁修行をすればいいって」


「家は誰が継ぐの?弟さんまだ小さいわよね?」


「弟たちの進学のお金も出してくれるらしいの。2人弟がいるでしょう?海外の事業まで考えて、海外へ留学したらどうかっていう話もあるの。綾小路(あやのこうじ)家の人は、あちらにも別荘もあって、知り合いもいるらしいの」


「綾小路家って海外のセレブとの縁があるって聞いたわ。すごいわね」


「私の実家では、さすがにそこまで弟たちの進学先を選ばせることもできないし。家の事を考えると、いいお見合い話だと両親も会社のみんなも喜んでくれていて……」


「マリアはそれでいいの?」


「うん……。ここまで何不自由なく育ててもらえたし、会社のみんなのためだったらって」


 美しいマリアの顔がどこか不安そうに陰る。相手もよくわからないのに結婚なんて、時代錯誤もいいところだと薫子は少し怒りが湧いてくる。

かといって、マリアが両親たちを振り切って飛び出すなんてことは考えられない。


「守谷君には言ったの?」


「え、なんで?」


「いや、なんとなく……」


 マリアは不思議そうに首を傾(かし)げた。薫子はマリアにとって守谷くんの立ち位置がわかり、不憫だなと思った。


「マリアがそれでいいんだったら反対はしないけど、もし変なおじさんだったりしたら、一緒に逃げようね」


「薫子には迷惑はかけられないよ。でも気持ちは嬉しい……」


 薫子たちは笑顔を無理やり作って笑い合った。


 それから一週間、事情を知った守谷くんは薫子のお見合いを阻止しようと、薫子に逃げようと提案し続けた。しかし守谷君も、いいところの坊ちゃんであり、逃げようとしたところで、結局親の保護のもとに入る。


 マリアもよくそれがわかっていた。

 子供のできることなど限られているのだ。守谷君は憔悴しきったようで、薫子も声をかけられなかった。


 そして薫子のお見合いが行われ、あくる月曜日マリアが学校へ登校してきた。


「マリア!お見合いは問題なかったって、どういうこと?」


 休日であるのに、薫子は何かあったらすぐにマリアのもとへ駆けつけようと、スマートフォンを眺めながら落ち着きなく家で勉強をしていた。


 ところが、夕方になるとマリアから「お見合いの話を受けることにしました」


 メッセージが届いた。薫子は状況はよくわからなかったが、二人で逃避行と言う事態にはならなくて良かったとは思った。


「うん、綾小路さんって帝光学園の先輩で。大学の方で研究をしてる方なんだって。将来は会社の製薬部門を任されるみたいで、とても素敵な方だったの」


 それはそうだ。マリアはとても綺麗で気立てがいい。マリアは自覚がないようだが相手に好意を持っているというのが分かる。


 マリアがどんなに色んな人に告白をされようと、興味を持たなかったのに珍しい。それだけマリアにとっていい人に出会えたということだろう。


「よかったわね」


 それからマリアと綾小路さんは、交際を開始したらしく、休日になればデートに楽しそうに出かけていくマリアからのメッセージが届く。


 一方で、守谷君といえば相変わらず登下校はマリアと一緒で、実りのない恋心に頭を悩ましてるようだった。


 あまりの不憫さに、最近はマリアとのお昼の食事も、守谷君に譲ったぐらいである。学校卒業するまであと一年。


「ねえねえ薫子ちゃん、今度の夏休み予定はある?」


「そうね、部活があるぐらいだけど」


「実は綾小路さんの別荘にお呼ばれしたの。お友達もどうかって言うんだけど、薫子ちゃんも行かない?」


「いいの?」


「うん、守谷君も誘ったんだよ」


「えっ!守谷君も?」


「来るって言ってたよ」


「本当に??」


 守谷君が不憫(ふびん)でならなくなってきた。

 マリアは恋をしているようで、もともと綺麗だったのにさらに綺麗になっていく。


 小さい頃からずっと守谷君は、マリアの変化に一番気が付いているに違いない。それでもマリアを守るように、登下校は一緒である。


 薫子とマリアはご飯を一緒に食べるようになってから、守谷君を含め3人でご飯を食べるようになっていた。


 薫子は最初に、守谷君は友達がいないのか?とすら思ったが、守谷君は頻繁に部活動の助っ人を頼まれているし、体育の時は一緒に組む相手もいる。マリアがいない時は、男友達と数人でじゃれあっていることもあるので、友達がいないわけではなさそうだ。


 あまりの一途なマリアの思いに、幼稚舎から一緒である友達たちは、守谷君の思いを遠巻きながら見守っているらしい。帝光学園の生徒たちは、育ちがいいのでいじめというものもあまりない。


 一般生徒の方は、たまに芸能人の息女たちが入り派手な振る舞いをしているということも聞いてはいる。


 ただ一般人と幼稚舎からの生徒には、大きな壁があると言っていい。さらに幼稚舎からの生徒が中心となるプレジールでは、いじめというものが成り立たない。


 トップの人を中心に組織が成り立ち、崇拝し敬愛する関係で、いじめという下賤なことは許さないという雰囲気がある。


 薫子もマリアもプレジールに勧誘されたこともあるが、役割を全うできるか不安だったので、辞退を申し上げたことがある。


 プレジールには特権的な力はないものの、卒業後の進路や、コネクションなど、卒業してからも大きな影響力がある。


 とはいえ、それに見合うような勉学を励まなくてはならなく、プレジールらしくしなくては生徒の模範となるような立場ではいられない。

 プレジールでやるためには、ずっと居続けるための努力も必要なのである。


「うん、毎年冬休みは守谷君の家族と一緒にスキーに行ったりしていたのだ。今年は綾小路さんが別荘に誘ってくれて、だからもう啓ちゃん……守谷くんもどうする?って聞いたら行くって」


 マリアにとっては守谷君と一緒にいることは、当たり前の事実であるので、恋人との別荘の旅行に、守谷君を誘うのはそれほどおかしなことではないのだろう。


 マリアにとって綾小路さんは初めての彼氏であるので、幼なじみが一緒についてきたいと言っても不思議ではないのだろう。


(守谷くんどんな気持ちで誘いを受けたのだろう)


 薫子はさすがに綾小路さんとマリアと守谷君を三人にするわけにはいかなく、断れない状況になっている。


「わかったわ。楽しみにしているね」


 薫子は綾小路さんに会えるのは楽しみだが、どんな展開になるのか予想ができなかった。

 夏休みが始まり綾小路さんが車を運転してくれて、四人で軽井沢の別荘に行くことになった。


「こんにちは、初めまして。薫子さん」


 薫子は綾小路さんをみて、一瞬固まってしまった。綾小路さんは、マリアと同じくらいの身長で、男性で言うと少し背が低いほうであるだろう。マリアは平均身長よりもやや大きい。


 守谷君はとても身長が高いので、綾小路さんと守谷君は身長差があった。そして綾小路さんは、色がとても白く、肌がとても綺麗で、一瞬性別がわからなかった。


 今はやりのジェンダーレスな雰囲気の人であり、マリアと綾小路さんが並ぶと、カップルというより姉妹のようにも見える。


 だが、綾小路さんのしぐさはとてもスマートで、マリアをエスコートしてくれていて、二人はとても仲が良さそうに見えた。


 車で四人で話していると、最初は驚いた薫子だったが、綾小路さんの真面目な性格や誠実な人柄を知り、二人がお見合いがきっかけであっても、普通のカップルと変わりない交際をしているように思えた。


「薫子さん、疲れてない?もう少しで到着するから」


「ありがとうございます、綾小路さん」


 薫子が寒さで少し体が冷えて体調を崩していても、マリアや綾小路さんは気を使ってくれた。

 別荘に到着して、四人で散策をしたり、バーベキューをしたり、楽しい時間が過ぎていった。


「マリア、今日はとても楽しかったわ」


「私もとっても楽しかった!でも薫子ちゃん、最初に綾小路さんを見たとき驚いてたよね」


「ごめんなさい、ちょっとイメージが違ったから」


「うん、私も最初そうだったんだ」


「もうちょっと冷血で怖い人なのかと思っていた」


「私も大企業のご子息で、援助と引き換えにお見合いなんて言うから、どんな人なんだろうと怖かったの。でも実際に会ってみたら、とてもいい人で、話があったんだ」


「二人ってなんとなく似ているわよね」


「実は綾小路さんの趣味って、美容関係なんだって。私が使ってる化粧水も、実は綾小路さんがプロデュースしたもので。雑誌でも綾小路さんの記事を見たことあったってあとから気が付いたくらい」


「そうなの?」


「製薬会社も最近は美容や健康食品に力を入れ始めて、その中でも化粧品は海外でも評価が高いんだって。綾小路さんのお肌すごく綺麗だよね。趣味と実益をかねて、いろんなお化粧品を試してるみたい」


「研究熱心なのね」


「うん、研究ばかりであまり恋愛をする時間もなくて。親からお見合いを勧められたらしいの。綾小路さんと一緒にいるとすごく楽なんだ」


「守谷君くんよりも?」


「守谷君は戦友というか、親友と言うか……」


「でもいつも守谷君はそばにいるじゃない」


「そうだね、薫子ちゃんは守谷君のことどう思ってんの?」


「え、いい人じゃない?」


「でしょ?」


「いや私なんかのことをより、マリアは守谷君のことと思ってるの?」


「好きだよ」


「え………」


 薫子は思わずマリアを見た。マリアはまっすぐ薫子を見ている。


「びっくりした?」


「だって綾小路さんがいるじゃない」


「うん、綾小路さんも好きだよ」


「守谷君も好きなのに?」


「私は薫子ちゃんのことも好きだよ」


「それは友達ってことでしょう?」


「だから、守谷君も薫子ちゃんもみんな好き」


「それじゃあ守谷君の気持ちは………」


「薫子ちゃんこそ守谷君の気持ちを知ってるの?」


「それは……」


 薫子は守谷君の気持ちを伝えることなどできない。守谷君の気持ちは、守谷くんがマリアに伝えるべきものだから。薫子が勝手に伝えるものではない。


「マリアはすごくモテるから。気が付いてないのかもしれないけど……」


「薫子ちゃんがそれを言う?」


「えっ……?」


 マリアの顔を見ても、マリアの感情がわからない。薫子は何と言えばいいかわからない。


「薫子、綾小路さんが呼んでるぞ」


「啓ちゃん、わかった。薫子ちゃんよろしくね」


 不意に守谷君の声がして、その場の雰囲気が変わった。くるりと踵を返して、建物の中に入っていた。薫子は守谷君と二人きりになることは、今まで数えたきりしかない。


 守谷君と会話をするのは、マリアを通してだけであるからだ。そもそも薫子は初等部や中等部では、女子校に通っていたのだ。であるから、あまり男性と一対一で話す機会がなかったのだ。


「喜嶋さん、今日は体調は大丈夫だった?」


 爽やかなイケメンの守谷君。薫子もマリアよりは背は低いが、平均身長よりは小さい。であるから身長差が大きく、守谷君を見上げてしまう。


 守谷君こそマリアと一緒に並ぶと、お似合いな王子様なのだろう。マリアは理想のお姫様。守谷君は王子さま。


 薫子はお姫様の友達。二人がうまくいけばいいのにと思う。だけれども、お姫様には別の運命の人ができてしまった。


「ええ、大丈夫よ。こうやって外に出ることもあまりないから」


 薫子はなぜか胸が痛くなる。持病の喘息は、中等部のころには治ったはずなのにおかしい。病状がよくなりやっと帝光学園に入学することができた。

 もともとは初等部から入る予定だったか、病院の兼ね合いもあり、病院から近い女子校へ通うことになったのだ。


 高等部に入って、新しい友達、今までほとんど交流がなかった男子生徒。なかなか慣れないため、距離をどういう風にとったらいいのかあるか薫子はわからなかった。

 薫子には、姉と妹がいるが男性といえば、祖父と父ぐらいしか近くにはいないのだ。

後は使用人がいるが、この近くにいるのはほぼ女性である。

 マリアを通してだが、一番長くいた異性は、守谷君かもしれない。


「今日は喜嶋さんと一緒にいられて楽しかったよ」


「えっ………」


「喜嶋さんって男子が苦手なのかなと思って。なかなか話す機会がなくて。クラスの男子も、喜嶋さんと話をしたがっている」


「そうなの?」


「うん、マリアが喜嶋さんを独り占めしてるからね。というか女子が、喜嶋さんを男子に近づかせないようにしてると言うか」


 薫子は守谷君の言っていることがよくわからなかった。確かにクラスの女子生徒は優しくて、薫子はそんなクラスメイトが好きである。


「そうかしら?マリアの方がみんなに人気があると思うけれど」


「確かに昔からマリアはみんなに優しいね。俺とマリアは似ているかもしれないな、興味のあるものへのこだわりとか。それに綾小路さんを見て、俺とマリアって趣味が似ているなって」


「どういうこと?」


「小さくて可愛らしいものが好きだということ」


「???」


「もしよかったらなんだけど、またこうやって四人で一緒に出かけられたらと思うけれど。喜嶋さんはどう思う?」


「わたしは構わないけど。嫌ではないの?」


「まさか、すごく嬉しいよ」


「守谷君って少し変わってるわ」


「それを言うなら喜嶋さんこそ」


 にっこりと守谷くんが笑う。

 すると花火が空に舞った。近くの商業施設で、花火をあげているのだろう。薫子は見入ってしまう。その横顔を見つめているのは、王子さま。

 王子さまの表情は甘い。


 しかし、花火をみている薫子は気がつかない。当て馬のふりをして、想い人に強かに近づく王子さま。相手はお姫様の大切な親友なのである。


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当て馬と親友 杜咲凜 @morinoki

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