墓守少女は死にきれない
飛鳥文化アタッカー
墓守少女はカッコ付けたい
第1話
「──お金がありません!」
腰まで伸びた艶やかで美しい白髪を頭の後ろでポニーテールにして、右額の近くに小さな青い花の髪留めを着けている1人の少女は、仕事場として借りている小さなビルの一角の中でそう叫ぶ。
「はぁ?」
もう1人、その白髪少女の対面にあるソファーに座る黒髪ロングストレートの少女は、目の前でいつもバカみたいな事をほざいているやつが今日も一段とバカみたいな事を言っているな、と思いつつ目元の小説から目を離さない。
「おーかーねーがーなーいー!」
「うるさい」
「いたいっ!」
「バカ言ってないでさっさと仕事持ってきなさいよ。仕事ないとお金だって貰えないでしょ」
呆れた声でそう言い放ち、黒髪少女は手元の小説に目を戻す。
「だってー!お仕事こないんだもん!ネットで募集かけても猫探しすら来ないんだよ?!私はもっとこう、小さな依頼をちょっとずつ解決して、途中なにかの事件に巻き込まれたりして、それでなんかこう、凄い組織と戦うことになって………みたいな事を想像してたのに!何もない!猫探しの依頼すら来ない!なんで?!」
白髪少女は嘆くものの、既に黒髪少女は手元へと視線も意識も戻っている。一瞬だけ黒髪少女に向けてむーと可愛らしく唸るものの、黒髪少女は既に小説の内容に集中し始めてしまったので無視されてしまう。
「むー、むー………」
白髪少女は若干不満げにしつつも、机に立てかけておいた自分のお気に入りの円匙、即ちシャベルを手に取って、そのまま肩にシャベルを担ぐ。
「そんなに言うなら私、外出て依頼ありませんかって宣伝してくるから!」
「はいはい、行ってらっしゃい。猫探しの依頼でも貰ってきなさいよー」
「むー!今に見てろよ真由美ちゃん!」
「はいはい、ちゃんと宣伝してきてね、瑠璃」
黒髪少女である真由美は、白髪少女である瑠璃にそう言い放ち。
「うん!行ってきまーす!」
瑠璃は元気良く返事をして、自分の事務所の扉を開け飛び出した。
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