第7話
じいちゃんは、たった一度だけ、私にブチギレた。
いつものように、じいちゃんとばあちゃんは、朝早くから、豆腐屋で働いていた。私は前日から熱を出して、寝ていた。豆腐ができあがり、配達に出かけようとしたとき、少しだけ体が楽になったような気がして、外で遊んでいた。そんなとき、じいちゃんが、大きな声を出して、怒り狂った鬼のような形相で、こちらに走ってきた。
これは、まずいなと、子供ごころでも、理解ができた。
軍隊あがりのじいちゃんは、孫の私には優しいが、自分の子どもたち(母や母の兄たち)には、メチャクチャ厳しく恐ろしい存在であったらしい。その時も、小脇に抱えられて、家に、戻った。その後は、黙って静かに寝ていた。というより、その時のじいちゃんの顔が恐ろしすぎたからだ。
次の日には、熱は下がった。
告別式が終わり、親戚みんなで昼飯を食べているときに、親戚のおじさんと、この話をした。おじさんは言った。じいちゃんは、いつも、楽しそうにお前の話をして、笑っていたんだよって。じいちゃんに会いたくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます