第29話通学路に潜むもの(2)
七海さんを襲った通り魔の男、彼はニュースで少しながらも報じられ、誘拐やワイセツ行為目的として警察が捜索しているという。
土曜日、学校が休みの侑は七海家の近くまで向かい、聞き込み捜査を始めた。
しかし何人に聞いても通り魔の男に関する情報はなく、むしろ「探偵ごっこのつもりか?」と笑われて相手にされないこともあった。
しかし侑は諦めなかった、必ず何か手がかりがあることを信じて・・・。
「おーい、そこの少年」
「はい、何ですか?」
呼んだ声を振り返ると、そこにいたのは昨日会ったおじさんがいた。
「こんなとこで何をしているんだ?」
「あの・・・ぼく、七海さんを襲った犯人が許せなくて、情報を集めて警察にタレコミしようとしているんです。」
侑は緊張しながらも、即興で方便を言った。
「そうか・・・、お前さんは七海さんが好きなんじゃろ?」
おじさんはニヤニヤしながら侑に言った、侑はうなずいた。
「そういえばお名前を聞いていませんでしたね、ぼくは道明寺侑です。」
「わしは
「斎藤さん、あの男をよく見かけると言っていましたよね?どの辺りで見かけますか?」
「この先を真っ直ぐ歩くとな、右の角にコンビニがある十字路に出る。わしもそこのコンビニを利用するが、あの男は毎日出入りしているぞ。」
「見かけるのは何時頃ですか?」
「午前中より午後かな、二時から六時の間に見かけるぞ。」
「ありがとうございます、それではまた。」
「おう、がんばれよ!」
斎藤に励まされた侑は、教えてもらった十字路へと足を運んだ。
そして十字路に到着した、右手にコンビニがあった。
時刻は午前十時、まだ男は来ないので侑は一旦帰宅した。
そして昼食を食べた侑は、再び十字路にあるコンビニへ向かった。
時刻は午後一時四十分、男が来るまでもう少しだ。
侑はコンビニでジュースとおにぎりを買って、コンビニに近い電柱で男がくるのを待った。
侑がたいくつしかけた頃、コンビニの自動扉が開いた。
「あっ、あれは!」
黒い上着の男・・・、歳もおじさんっぽい。
だが犯人の特徴である右目の下のほくろが見えない。
だが侑は男を尾行することにした、もし右目の下にほくろが無ければ犯人ではないから、尾行は諦めるつもりだ。
尾行のコツは前にUから教わったことがある、相手の足元を見てやることだ。耳の後ろを見ると、相手から視線を感じられてしまう。
男がコンビニを出て十分、男はアパートに到着した。そして男が一瞬後ろを振り向いた時、侑は確信した。
「右目の下のほくろ・・・あった!!」
間違いない、あの男だ!!
男は階段を登っていった、侑は深追いせず男が住んでいるマンションを把握した。
「三日月壮か・・・」
侑は持ってきたメモ帳に書き記した、侑は犯人をつきとめることができて、嬉しかった。
その日の深夜、侑はまたUからの封筒を受け取った。
侑は地下迷路を進み、Uの部屋へと到着した。
「やあ、侑。また事件を突き止めているみたいだね。」
「うん、今回は通り魔事件なんだ。」
「通り魔か・・・、犯人の目的は?」
「誘拐かワイセツだって。」
「これまでにどれくらい起きている?」
「十五件起きている。」
「ふーむ、それで警察に捕まっていないとなると・・・、犯人は土地勘があるようだ。」
「となると、近所の人が怪しいね。」
「そうなるな、とにかく犯人の手がかりになるようなものを掴むんだ。」
「解ったよ、それじゃあね。」
侑は最近、Uと親しくなった気がしている。
酷い謎解きさえしなければ、Uとはいい関係でいられるのに・・・。
翌日、七海さんが登校してきた。
クラスのみんなが心配していたが、七海さんは「もう、平気」と気丈に振る舞った。
侑もほっと安心したが、そうは言っていられない。七海さんから犯人についての話を聞かなければならないのだ。
放課後、侑は七海さんに声をかけた。
「七海さん、あの日のことを教えてください。」
「えっ・・・、えっと・・・。」
七海は困惑している、生徒たちが侑と七海を見つめていた。
「ごめんなさい、その話はしたくないの。」
「そっか・・・、ぼくも急に質問してごめんなさい。」
侑は七海に謝った、やはり七海さんの心の傷は簡単には癒えない。
「やっぱり、犯人の手がかりを掴むしかない。」
侑は捜査に向けて決意を燃やした。
そして土曜日、昼食を済ませた侑は足早にあのコンビニへと向かった。
するとその途中で、あの男を見かけた。黒い色の服装に身を包み、フードで頭を隠している。
「あの男だ・・・」
侑は尾行を始めた。
男の数歩後ろを追っていく侑、そして侑はあることに気がついた。
「あれ?コンビニにいかないの・・・?」
男の足取りがいつもと違う。
侑は何か嫌な予感がすると確信した。
そして男はなんと、七海さんの家へとやってきた。
「もしかして・・・、また七海さんを狙っているのか?」
男の視線が七海家の方を向いている。
そして男は玄関前に行くと、インターホンを押した。
「すみません、新聞屋です!」
新聞屋を名乗った、何かするつもりだ!
侑はいてもたってもいられなくなり、男に向かって叫んだ。
「あーっ、連続通り魔だ!!」
「なっ!おい、お前!!」
侑は素早く走り出した、男が後を追いかける。
しかし侑は途中で、男に追いつかれてしまった。果たして、侑の運命は・・・?
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