第24話学校の裏トライアングル(3)

真澄が殺された日の合宿を知った源田先生、侑は源田先生が犯人である可能性を考え、捜査を進めることにした。

「源田先生のこと・・・?」

侑は担任の利刀先生りとうせんせいに質問した。

「うん、どんな先生なのか知りたくて・・・。」

「うーん・・・、普段は男気があっていい先生なんだけどね。ただ、問題があるといえば女癖が悪いことかな。」

女癖が悪い・・・、そういえば真澄はパパ活をしていると言っていた。

もしかしたらそれを知った源田先生は、真澄に近づいて付き合いだしたのか?

「これはますます源田先生が怪しくなってきたなあ・・・。」

しかしいくら怪しくても証拠がなければ、源田先生が犯人とは言えない。

侑は証拠探しを始めた・・・、とはいえどこを探せばいいのかわからない。

殺された現場には真澄の遺体の痕跡しかないし、真澄が持ってきた荷物は警察に押収されている。

「でも、どこかに証拠があるはずだ・・・。」

侑は真澄のロッカーを調べた、すると小さなメモ帳を見つけた。

「これは・・・?」

侑は小さなメモ帳を家に持ち帰った、そして自分の部屋でメモ帳を開くと・・。

「これは・・・!!」

侑は息を飲んだ、そこには真澄のパパ活の予定が全て記されていた。

「あっ、見つけた!!」

そこには源田先生の名前があった、これで真澄と源田先生が互いに会っていたということが判明した。

これなら源田先生を追い詰められる・・・、侑は確信したのだった。





その日の夜、侑はUからの地下迷路への封筒を受け取り、地下迷路へと向かった。

Uの部屋に入るとUが待っていた。

『侑、犯人について何かわかったのか?』

「うん、犯人は源田先生だよ。証拠だって手に入れたんだ。」

『ふーむ・・・、侑よ、これではダメだ。』

Uの言葉に侑は驚いた。

『確かにこれなら源田先生とやらが犯人である可能性はあるが、ここに記されている人全員が犯人だという可能性があるということもある。源田先生が犯人だと決定するのはまだ早いぞ』

Uの言う通りだ・・・、侑は反省した。

『だが、源田先生に詳しい話を聞くいいブツを手に入れた。これはいいぞ』

Uの言うとおりだ、これを源田先生につきつけたら、何か吐くかもしれない。

そして侑は地下迷路から出ると、すぐに眠りについた。







そして翌日の部活が終わるころ、日の暮れた体育倉庫にて、侑は源田先生に例のメモ帳をつきつけた。

「源田先生、これはなんですか?」

源田先生は顔が青ざめ、半歩後退りした。

「お・・・お前、それはどこで見つけたんだ?」

源田先生の唇が動揺で震えている。

「真澄さんのロッカーの中に入っていました、ここにはあなたの名前も入っています。あの日、ぼくたちの合宿を知っていたあなたは、真澄さんを無理矢理連れ出して酷いことをした、そして真澄さんが抵抗したからナイフで刺したんだ!」

「・・・侑の言うとおり、おれは真澄と付き合っていた。だけど、殺してはいない!」

侑は今更しらを切る源田に怒りを覚えた。

「それは嘘だ、真澄さんに手を出したことがバレるのをおそれたお前が、真澄を・・」

「侑・・・、まさかお前にバレるなんてな。」

侑の言葉を遮ったのは、なんと真澄の死を嘆いていた宮坂の声だった。

彼の声は無機質で冷たかった。

「あの日、真澄を殺したのはおれだ。」

宮坂の口から衝撃の事実が告げられた、侑と源田先生は驚きで口が動かせなかった。

「おれは真澄の不貞行為がどうしても許せなかった、だから殺すことにしたんだ。」

「そんな・・・、だってあの時君は、みんなと一緒に野球の練習をしていたじゃないか!」

「そうだ、真澄を殺したのは侑の家についてから野球の練習を始めるまでの二時間だ。真澄を呼び出して『パパ活なんて止めて、おれだけと付き合え』と言ったんだ。でも金がどうしても必要と頑なに言い張って、それでカッとなって持っていたナイフで刺した。」

淡々と告げる宮坂に、侑は震え上がった。

「ナイフは自分で持ってきたの?」

「ああ、でもあくまで脅す目的だった。最初から、殺すつもりはなかったんだ。」

「酷いよ・・・、確かに君の言うとおりだと思うところもあるけど、それで命を奪うのは間違っているよ・・・」

「おれは間違っていない!!全部、真澄が悪いんだ!!あいつが、いつまでたってもおれのものにならないから!!おれは間違っていないーっ!!」

宮坂は醜い心の叫びをあげた。

侑はその迫力に困惑し、何も言い返せなかった・・・。







それから宮坂は警察に連れていかれて、保護観察所に送られた。

一方の源田先生も不貞行為のため、翌日に教師を辞職した。

この一連の出来事は世間に報じられ、侑の学校は一週間の臨時休校となった。

『ほう、今回も犯人を捕まえられなかったのか。』

「うん、しかも宮坂くんが犯人だったなんて思わなかったよ。ただ、ぼくが見つけたメモ帳のことは知らなかったけどね。」

『そうか、まあそれもよしとしよう。なあに、私も生きていた頃は解決できなかった事件がたくさんある。何事も経験だ。』

「うん、わかったよ。ところでUは地下にいるのに、どうして地上で起きている事件のことがわかるの?」

『それは、私の勘がすごいからだ!』

Uは胸を張って答えた。

侑はどういうことなのか、答えがわからなかった。














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